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山寺宏一「自分を追い込み、いい仕事をやり続けたい」若手声優への危機感も吐露

2019/8/23 07:30 日刊大衆

 声優としてデビューして30数年。本当にたくさんの役を演じてきました。劇場版の『ポケットモンスター』にいたっては、1998年公開の第1作目から、全作品に出演していますからね。それもすべて違う役なので、ポケモン映画だけでも、21役あります(笑)。

 今回、出演させていただいた『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』は、シリーズ第22作目。第1作目の『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』を、フル3DCGでよみがえらせた作品で、当時と同じく、「ミュウ」役を演じています。

 ミュウというのは、かわいらしい外見を持つ幻のポケモン。僕はいつも、演じる役柄の外見から声質を決めていきます。ですから、ミュウ役は、僕の声の中でも最も高い、ハイトーンボイスなんです。

 21年の時を経て、再びミュウをやらせていただくことになった。“はたして、今もあの声が出せるのだろうか?”というのがちょっと心配でしたね。幸い、大丈夫だったので、ホッとしました。作品自体に関しても、21年前のアニメ映画で、こんな深いテーマを扱っていたのかと、改めて驚きました。「自分はどうあるべきか」なんて、大人こそ、悩む問題じゃないですか。「原点にして最高峰」という今作のキャッチフレーズは、まさにピッタリですよね。

 声優という仕事にとって、声のケアは大切なこと。ですから、声のために、ありとあらゆることをやっています。まず、睡眠。これは本当に大切ですね。次に、喉を乾燥させないこと。トローチやのど飴などは常に持ち歩いていますし、なるべく温かい食べものや飲みものを摂るように心がけています。そして、お酒の量をなるべく控えること……なんですが、これが非常に難しい(笑)! いい仕事をしたな、という日にみんなで飲むお酒は、本当においしいじゃないですか。だから、飲むときはできるだけ声量を抑えてしゃべる……ぐらいを心がけています(笑)。

 今、僕は58歳ですが、できるだけ長く声優を続けていきたいし、いい仕事をどんどんやっていきたい。

 外国映画の吹き替えで、「ハリウッドスターの声をたくさん担当してますよね」とよく言われますが、ジム・キャリーやエディ・マーフィーが毎年ヒット作に出るわけじゃない。その代わり、新しいスターがどんどん登場してくるわけです。そういう、最近の人気スターの吹き替えが自分に回ってこないで、若手の声優がやっていたりする。「なんでオレじゃないんだ!?」と、すごく悔しくなりますよね。

 ただ、悔しいけれど、今の若い声優たちは、すごくうまいんですよ。声優人口も増えていて、実力のある新人が次から次へと出てくる。だから自分も追いやられないように、スキルを上げて踏みとどまっていかなくてはならない。若手に負けられないという、危機感はありますね。

 でも、そう思いつつも、昨日も楽しく飲んでしまったという(笑)。日々反省ですね。ただ、落ち込んでいても仕方がないので、自分を追い込んで、鼓舞して、ひとつでもやれることを増やしていく。それを繰り返していくしかありません。

 声優の仕事は、たくさんの人たちが長い時間をかけて作り上げてきたものへ、最後に命を吹き込むこと。オリジナルアニメでも海外作品の吹き替えでも、自分が声を入れるまでの間に費やされた時間と想いと情熱を、胸に刻んで声を出さなければいけないと、強く思っています。

やまでら・こういち
1961年6月17日生まれ。宮城県出身。“七色の声を持つ声優”としてアニメや外国映画の吹き替えを担当する他、バラエティ番組の司会やナレーション、ラジオDJ、俳優、歌手としても活躍。代表作は、『アラジン』(ジーニー)、『それゆけ!アンパンマン』(チーズ他)、『かいけつゾロリ』(ゾロリ)など多数。

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