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石原さとみ「Heaven?」が問いかける「おもてなし」より大切なもの6話(生首演出にまだ慣れない!)

2019/8/20 09:45 エキレビ!

イラスト/まつもとりえこ イラスト/まつもとりえこ

石原さとみ主演の火曜ドラマ「Heaven? ~ご苦楽レストラン~」。墓地の裏にあるフレンチレストラン「ロワン ディシー」(この世の果て)に集まった一癖も二癖もある従業員たちとオーナーが繰り広げるコメディーだ。

いろいろな意見があるようだが、個人的には石原さとみが演じる自分勝手で高飛車で負けず嫌いで健啖家のレストランオーナー(本業は三流ミステリー作家)というキャラクターがようやく目に馴染んできた。彼女のためにコロッケを買いに行きたい……と思うおれのような人間は少数派だろうか?(少数派でいいです)

一方で、「生首演出」に代表されるトリッキーな仕掛けは一向に慣れない。画面に登場すると、「あぁ……」という気分になる。石原自身が「演出に納得がいかない」として「視聴者に刺さっていないので、止めたほうがいいのではないでしょうか?」と進言したという報道もあったが(デイリー新潮 8月13日)、報道が事実だとしたら、まさに彼女の言う通りだろう。先週放送された6話の視聴率は7.5%。

天山広吉と「丼太郎」のコラボレーション


6話は「ホスピタリティ」がテーマ。ホスピタリティを一言でいえば「おもてなし」だろう。ドラマの中で描かれた議論は非常に興味深いものだった。

店長の堤(勝村政信)は、「ロワン ディシー」を訪れてくれた、かつての勤務先である牛丼屋の仲間たち(デビッド伊東、浜野謙太ら)の前で張り切って働く。

堤が働いていた牛丼屋の名前は「猛牛太郎」チェーン。キャッチフレーズの「OK! カマーン!」はプロレスラー、天山広吉の口ぐせ。ポスターにはちゃんと天山が顔出ししている。メニューにある「アナコンダだ丼」「モンゴリアン牛丼」なども天山の技にちなんだもの。いかにも木村ひさし演出らしい。

店舗は茗荷谷にある「丼太郎」を使用していた。営業停止してしまった激安チェーン「牛丼太郎」の元スタッフが経営しており、チェーン店グルメ評論家の村瀬秀信氏もこよなく愛する店。天山広吉と「丼太郎」のコラボレーションというわけだ。

変なスイッチが入ってしまった堤は、がぜんやる気を示す。

「店長として経営を預かっている以上、俺がこの『ロワン ディシー』をさらなる高みへと連れていく!」

それを冷ややかに見つめるオーナーの仮名子(石原さとみ)と何が起こるかとハラハラしながら見守るシェフドランの伊賀(福士蒼汰)たち。

それにしても牛丼屋では社長賞を3回受賞し、まったく経験のないフレンチレストランでも経営のみならず、サービスもほぼ完璧にこなしてしまう堤という人は、相当優秀な人だと思う。

お誕生日サービスは是か非か


堤の提案は「誕生日特典」だった。牛丼屋時代も誕生日特典でポテトサラダをつけて好評を博し、社長賞を受賞していた。しかし、仮名子の返事は「却下」。

「拍手や歌でまわりの人を邪魔するのは絶対にイヤ。お店に来るのは誕生日の客ばかりじゃないでしょ?」

これは正論。フレンチレストランではなかったが、筆者もかつて訪れた飲食店で他人(たぶん常連)の誕生日のために店の照明を落とされてイヤな気持ちになったことがある。故人をしのんで食事をする人だっているかもしれない、と仮名子は説く。

バースデープレートは大好評だったが、4番テーブルの客・真由美(黒川智花)の待ち人が一向に来ない。

「いる場所はわかっているんです。裏に。裏の……やすらぎ会館の地下に」

やすらぎ会館の地下にあるのは納骨堂。店は恋人・大五郎(加治将樹)が真由美の誕生日に予約してくれていた。ということは、大五郎は……。彼女の気持ちも知らず、他の客の誕生日を祝い続けていたことを知り、堤は衝撃を受ける。いい人だ。

伊賀たちは手作りバースデープレートと歌で真由美の誕生日を祝うが……そこへ大五郎がやってきた。やすらぎ会館の地下の水道修理で来られなかっただけだった。

バースデープレートはあればうれしいが(別料金でもいい)、過剰なサービスは不要というのが個人的な結論。適切な距離感が最大のサービスだと思うのだが。

ホスピタリティよりも大切なもの


「ホスピタリティを重視すれば店は繁盛する。それは牛丼でもフレンチでも同じはずです。それを立証するためにも、この店の経営を1週間、俺の好きなようにやらせてもらえませんか?」

誕生日騒動を乗り越え、あらためて仮名子に直訴する堤。辞職を覚悟しての訴えだ。それに対して仮名子は、

「でもね、レストランはホスピタリティだけではダメよ」

と意味深な言葉を投げかける。それでも堤は止まらない。ホスピタリティ向上を目指した1週間が始まった。

従業員たちは客に求められるまま、割り箸、マヨネーズ、煎茶を求められるまま出し、スマホの充電、料理の切り分け、ワインのしみ抜きを引き受け、さらにはケーキの持ち込みまで許可することになってしまう。フレンチレストランなのに! 1週間後、店は繁盛しているが、ほぼ無法地帯に。店員たちも疲労困憊だ。

「サービスの限度を超えると、店が壊れる……」

これが堤の達した結論だった。仮名子はキッパリと言う。

「ホスピタリティより大切なのは、店のあり方」
「お客様に寄り添うのは結構。でも、一番大事なのは……自分よ」

少子高齢化で労働力不足が叫ばれている現在、「従業員満足度」が話題に上ることが増えてきた。福利厚生、マネジメント、職場環境、仕事のやる気、モチベーションなどといった面で従業員の満足度を向上させることで、業績も向上させるという考え方である。「お客様は神様」と真反対の考え方とも言える。クレーマーより従業員を大切にするという態度だ。

とはいえ、仮名子はそんなこと1ミリも考えていないだろう。

「さらに言えば、この私が快適かどうか」
「は?」
「それが、この店のあり方よ」

仮名子が言う「自分」とは「私」という意味だった。教訓めいた話にならないのが「Heaven?」らしい。唯我独尊とはいえ、パワハラを働くわけでもない(そういう部分もあるかもしれないけど)仮名子の態度は広がっていき、どんどんユルユルになっていく。そしていきなり9ヶ月後(!)。「ロワン ディシー」はめでたく1周年を迎えることとなった。

今回の「生首演出」は20分過ぎ、23分過ぎ、29分過ぎ、30分過ぎ、32分過ぎ、41分過ぎ、43分過ぎ、45分過ぎ。やや控えめだった分、安心して見ていられた。別に感動的な話も教訓の話もビジネススキルの話もいらないから、のんびりと笑える話が見たいのですよ。

7話は伊賀が「すべてのお客様に誠実にありたいです!」と声を張ったり、仮名子が「最後まで食事を楽しんでもらいましょう! いいわね!」とドスを効かせたりと、なんだか最終回みたいな雰囲気。まさか……? 今夜10時から。
(大山くまお)

「Heaven? ~ご苦楽レストラン~」
出演:石原さとみ、福士蒼汰、志尊淳、勝村政信、段田安則、岸部一徳、舘ひろし
原作:佐々木倫子 『Heaven?』(ビッグスピリッツコミックス刊)
脚本: 吉田恵里香
音楽:井筒昭雄
主題歌:あいみょん 「真夏の夜の匂いがする」
演出:木村ひさし、松木彩、村尾嘉昭
プロデュース:瀬戸口克陽
製作著作:TBS

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