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災害時、被災現場との通信手段に。高校生・中嶌健さんの、“救援鳩”を育てる研究。

2019/8/20 14:25 ソトコトオンライン

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昭和初期、新聞社や軍で通信手段として活用されていた伝書鳩。今は、レース鳩として愛鳩家に育てられている鳩の能力を、被災地の救援活動に生かす研究を続けている高校生がいます。

鳩の帰巣本能を生かして、孤立集落の状況を伝える。

山梨県南アルプス市に住む高校2年生の中嶌健さんは、物心ついたときから鳩に囲まれて育ってきた。鳩レースの趣味を持つ父親の健司さんが庭に建てた鳩舎で、多い時期には200羽ほどの鳩を飼育しているのだ。中嶌さんも小学生になると鳩のエサやりや水浴びを手伝い、週末には鳩がレースでいい成績を収めるための飛翔訓練にもついて行った。

訓練とは、家から数十キロメートル離れた場所へ20〜30羽の鳩を車で運び、そこで鳩を放し、家まで飛んで帰ってこさせるというもの。箱から飛び立った鳩は優れた帰巣本能を発揮し、時速キロメートルほどのスピードで集団で家に向かって飛んでいくのだ。中嶌さん親子が車で家に戻ってくる頃には、すでに鳩たちは鳩舎に帰って来ていて、「クルックー!(遅かったじゃないか)」とエサをねだるそうだ。

飛び立った鳩は家から数キロメートルの範囲を1時間ほど「散歩」すると、戻ってきて専用の窓から鳩舎に入る。これぞ、鳩の帰巣本能。飛び立った鳩は家から数キロメートルの範囲を1時間ほど「散歩」すると、戻ってきて専用の窓から鳩舎に入る。これぞ、鳩の帰巣本能。

春から夏の週末に行われる訓練で力をつけた鳩たちは、秋に開催される鳩レースに出場する。レースは、鳩舎から数百キロも離れたスタート地点まで鳩を運び、参加者が持ち寄った数百、数千羽の鳩を一斉に放し、それぞれの鳩舎に帰るまでのスピードを競う。鳩が無事に、しかも早く帰ってくると参加者の喜びもひとしおだが、帰ってこない鳩も多い。鳩が好きで、健司さんとの週末の訓練が楽しみな中嶌さんだが、「今でも訓練やレースで鳩が帰ってこないと、かわいそうな気持ちになります」と優しい一面を見せる。

健司さんと一緒に、レース鳩の世話や訓練に夢中になっていった中嶌さん。中学生になった頃、テレビで熊本地震のニュースを目にした。土砂崩れや橋の崩落によって孤立し山間集落の救助やボランティア活動の様子を見て、「何か自分にできることはないか」と自問していたとき、ふと、訓練をしている鳩のことが頭に思い浮かんだそうだ。「鳩を被災現場に運び込み、被災状況を撮影した画像や必要な物資を書いたデータをマイクロSDカードに収め、それを鳩の脚に付けて空に放てば、鳩は帰巣本能を発揮して飼育されている安全な場所に飛んで帰ります。そこでマイクロSDカードを開き、被災現場の情報をメディアや支援拠点に伝えれば、孤立した集落の人たちの力になれると思うのです」。いわば、レース鳩による孤立集落の救援作戦だ。「特に電気が通じなくなった集落や、ドローンの飛行距離よりも遠くの集落で鳩は力を発揮するはず」と中嶌さんは鳩の有用性を語る。

ただ、問題はレース鳩の帰還率。思ったほど高くないのだ。健司さんの感覚値では、「飛ぶ日の環境にもよりますが、山梨県では300キロメートル以上の長距離レースで3割程度でしょうか」と言う。救援を求めて飛ばした鳩が3割の確率でしか帰ってこないようでは、命に関わる重大な役割を託すわけにはいかない。

被災現場の情報を確実に伝えるためには、鳩の帰還率を高めることが課題。その研究もGPSを使って行っています!

中嶌さんは鳩が帰ってこない理由を調べようと、中学2年と3年の課題研究として、鳩の帰巣本能とレース鳩の帰還率減少に関する研究を行った。調査を進めるなかで、レース鳩の帰還率の減少は1990年代後半から顕著になっていることがわかった。なぜ年代後半からか?その頃から、オオタカやハヤブサなど猛禽類が保護されるようになり、生息数が増えたためだと考えられます。猛禽類に襲われた鳩は逃げ惑い、体力を失って帰って来られなくなったのかも」と中嶌さんは推測する。

中嶌さんの家の庭にある鳩舎。鳩は父の健司さんと一緒に飼っている。中嶌さんの家の庭にある鳩舎。鳩は父の健司さんと一緒に飼っている。

ではなぜ、鳩が逃げ惑っていることがわかるのか?それは、中嶌さんが鳩の訓練に同行した際に、何羽かの鳩の脚に回収型GPSを装着し、鳩が帰還したコースをパソコンの地図上で確認しているからだ。放した鳩が家とは逆方向に飛んでいったり、森の中に身を潜めるように何時間もとどまっていたり、帰還しても怪我をしていたり、尾羽を抜かれた鳩もいたことから、その一因は猛禽類の襲撃だとわかったのだ。「しかし、帰還率の低下は猛禽類の襲撃だけが原因ではなく、今、別の要因があることも証明できそうです」と、さらなる研究を進めている。

帰還率を高めるために、「持久系」の鳩の研究を。

鳩の帰還率の研究は、総務省主宰の奇想天外でアンビシャスな技術課題への挑戦を支援する「異能」プログラムに最年少で選出された。「学校の食堂に貼ってあったポスターを見かけて応募しました」という中嶌さんは、先日の中間成果報告会でも名だたるスーパーバイザーからアドバイスを受けながら、秋の成果報告に向けて研究を加速。「学会でも発表できれば」と意気込んでいる。

最近、新たに始めた研究は、持久系の鳩の作出。作出とは、交配を重ねて優れた能力を持つ個体を生み出すこと。レース鳩は大きく「スピード系」と「持久系」に分けられるが、帰還の確実性を求めるなら持久系の能力の高い鳩のほうが適している。昔、日本の新聞社や軍で通信手段として用いられていたのも持久系の伝書鳩だ。そこで中嶌さんは、昭和初期から受け継がれ、持久力に優れた改良がなされた鳩を飼育する東京の愛鳩家を、健司さんと一緒に訪ね、その鳩をペアで貸してほしいと願い出た。その男性が飼育する鳩の血統をさかのぼると、今西万次郎が作出した伝説の鳩「今西号」にたどり着く。今西号は特に持久力を備えた名鳩で、長距離を確実に帰ってくる鳩として„鳩界“では知らない人はいないという。男性から承諾を得た中嶌さん親子は鳩を借り、今、交配で生まれた雛を育てている。「孤立した被災現場の状況を確実に伝えるには、鳩の帰還率を高めなければいけません。今西号の高い持久力を受け継ぐ鳩を育て、被災地の力になりたいです」と中嶌さんは話す。

左上/訓練する際に鳩の脚に付けた回収型GPSで帰還コースを調べる。右上/海外から購入した種鳩の血統書。鳩は主にレースが盛んなベルギーから購入するそうだ。左下/中学2年のときにまとめた「鳩の帰巣本能について」と題する研究レポート。右下/中嶌さんが小学1年のときの文集。「もしも魔法が使えたら?」という問いに、「はい気ガスをへらしたいです」と。その頃から地球環境問題や社会課題に興味を持っていたそうだ。左上/訓練する際に鳩の脚に付けた回収型GPSで帰還コースを調べる。右上/海外から購入した種鳩の血統書。鳩は主にレースが盛んなベルギーから購入するそうだ。左下/中学2年のときにまとめた「鳩の帰巣本能について」と題する研究レポート。右下/中嶌さんが小学1年のときの文集。「もしも魔法が使えたら?」という問いに、「はい気ガスをへらしたいです」と。その頃から地球環境問題や社会課題に興味を持っていたそうだ。

多くの人に、鳩の魅力を知ってほしい!日本各地で鳩を飼って、訓練すれば、スピーディな救援活動が行えますから。

また、中嶌さんはレース鳩の災害活用を研究するなかで、別の活用法も思いついた。医薬品の運搬だ。「体が不自由な高齢者が病院に薬をもらいに行く代わりに、鳩が薬を届けてくれるというものです。高齢者の家と病院の2点間を往復できるように訓練した鳩の脚に、運べる重さの薬をくくりつけ、病院から飛ばすのです。家で待っていれば、鳩が薬を届けてくれます。鳩をかわいがることもできるので、コンパニオンアニマルとして気分も癒やしてくれるでしょう。そのためにも......」と中嶌さんは、小さくても力強い声でこう言った。「僕は帰還率100パーセントの鳩を作出したいのです」。

中嶌さんが作出した鳩を、賛同する人々が各地で飼育すれば、どこで災害が起こっても素早い救援活動が可能になる。「多くの人に鳩の魅力を知ってもらい、飼育してもらえればとてもうれしいです」と中嶌さんは呼びかけながら、今日も„救援鳩“の研究を続ける。

災害に対して、普段から備えていること、心がけていることは?

中嶌 健 駿台甲府高等学校2年生
防災用の持ち出し袋が家に保管されているので、非常時にはそれを持って逃げるつもりです。その前に、鳩舎に数日分のエサを置いていこうと思います。鳩は鳩舎の外に飛ばしてもいいかもしれません。安全だと思えば、自分から鳩舎に帰ってくるから大丈夫です。

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