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神足裕司さん、車椅子のハワイ旅。VRで思い出の書店へ「幸せすぎて泣いた」

2019/8/19 15:49 日刊SPA!

神足裕司さん 神足裕司さん

―[神足裕司さん、車椅子でハワイへ]―
 7月上旬、コラムニストの神足裕司さんはハワイ旅行を実現した。要介護5、車椅子での旅行である。
 週刊SPA!の連載陣だった2011年9月にくも膜下出血で倒れ、2016年には大腸がんも見つかって、入退院を繰り返している神足さん。

 今回のハワイ旅行で、神足さんには、「やりたいこと」がいくつかあった。それは、「ビーチ行きたい」「花火を見たい」「プール入りたい」「ピクニックをしたい」「バスケットをやりたい」など。一見、他愛もないことだけれど、決して簡単なことではない。

◆思い出の書店に、VRカメラで“入店”する

 でも、こうした「やりたいこと」のほとんどを、いろいろな人が実現させてくれた。そして、「技術」が叶えてくれたこともあった。

 神足さんの「やりたいこと」のひとつが、カイルアにある「ブックエンズ(Bookends)」に行く、というもの。ハワイに来たときは必ず訪れていた本屋さんで、毎回、神足さんと2人の子供たちは大量の本を買い込んでいた店だ。

 しかし、店内は狭く、通路に本は山積み。入り口近くまでは入れても、とてもとても奥まで車椅子で入れる店ではない。そこで活躍したのがVRカメラだ。

「登嶋さんが店内に360度カメラをセットしてくれて。撮影した店内の映像を、裕司が店の外でVRヘッドセットを通じてチェックすることができたんです。お店の中の雰囲気を味わいつつ、気になる本も見ることができました」

◆帰りの飛行機でみんな泣いた

 こうして、「やりたいこと」はほぼコンプリート。5泊7日の旅を終え、「帰りの飛行機でみんな、泣いた」と明子さんはふりかえる。

「裕司は単純にうれしかったんだと思う。一緒に行った私の友達は、倒れてからのことをすべてを知っているから『こんなに元気になった……』と感動して泣いたみたい。で、私と娘は幸せすぎの涙」

 旅の間、たいしたことではないけれど、「どうする!?」「え~!」っていうことはいっぱいあったという。たとえば、神足さんの肌がどんどん赤くなり、「パパがジリジリ焼けてる!」「やばい~」というような。真剣なんだけど笑っちゃうことがたくさん。それは、とても幸せな時間だったのだ。

 そして、神足さんも明子さんも今回のハワイ旅行で「海外だって行ける!」と確信したという。

「これまでも雑誌の取材などで宮古島に行ったりもしていましたが、それは障害者専用のツアーでした。でも、特別なツアーでなくても、今までずっと家族でしてきたのと同じように旅行ができる。今まで躊躇していたのがまちがいだとわかりました」

 帰国して9日後、神足さんは手術を受けた。まだまだ撮影したい場所はたくさんある。娘と二人旅をした宮古島に故郷の広島、湘南に西伊豆。いちばん行きたいのは新婚旅行でも訪れたフランスだ。パリの街、アヴィニヨンのホテル。幼い息子と凍えながら一緒に入った冷たいプール……。あの景色を撮っておきたい。

 神足さん自身は今回の旅をこう振り返る。

「発病前は本当にあちこち飛び回っていた。仕事でもプライベートでも。一年の4分の3は家にいなかったんじゃないかな。だから、『もう一生分、十分に旅には出た』……そう考えて諦めようとしていた。ボクがまだ自力で車椅子を動かせる能力があれば……話すことができれば……平衡感覚がもうちょっと備わっていれば……

いろいろな複合体の障害で、なにかを諦めかけていた。家族はそれでもいろいろチャレンジはしてくれていたが、自分自身の思い切りがでなかったのだ。

ここ1年、いままでに増して入退院を繰り返すようになって、くも膜下のリハビリはちょっとずつでも進んでいるようにも思えていたけれど、結局、実際の身体能力は下降気味。

本当に自由がきかなくなる前に、自分で行きたい場所を記録に収めたいと考えるようになった。それはいままでの思い出の場所の記録であると同時に、ボクの脳の代わりをしてもらおうという試み。

すぐ忘れてしまう、いつか本当になにもわからなくなってしまうかもしれないという怖さの中でささやかな抵抗。

そして、新しい思い出も家族や仲間と作れる。

今回の旅は今まで以上に幸せに満ちていた。こんなに幸せでいいのかと思ったぐらい。

障害なんて忘れるぐらい、ごく当たり前に接してくれる見ず知らずの人たちと同行の知人たちが普通の旅を作ってくれた」

【神足裕司】
1957年、広島県生まれ。コラムニストとして週刊SPA!などに連載をしながらテレビ、ラジオ、CM、映画など幅広い分野で活躍。2011年9月、重度くも膜下出血に倒れ、奇跡的に一命をとりとめる。現在、リハビリを続けながら執筆活動を再開、朝日新聞デジタル、RCC中国放送のウェブサイトや介護ポータル「みんなの介護」などで連載中。
 復帰後の著書に『一度、死んでみましたが』(集英社)、『父と息子の大闘病日記』(息子・祐太郎さんとの共著/扶桑社)、『生きていく食事 神足裕司は甘いで目覚めた』(妻・明子さんとの共著/主婦の友社)、『コータリンは要介護5 車椅子の上から見た631日』(朝日新聞出版)

<取材・文/鈴木靖子>

―[神足裕司さん、車椅子でハワイへ]―

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