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セーリング吉田愛&吉岡美帆「よしよしコンビ」五輪金へ視界良好

2019/8/19 18:07 SPAIA

金メダルが期待される吉田愛、吉岡美帆組Ⓒゲッティイメージズ 金メダルが期待される吉田愛、吉岡美帆組Ⓒゲッティイメージズ

江の島世界選手権で銀メダル

身長差16センチ、年齢は10歳差で性格も真逆。自他共に認める「凸凹コンビ」の吉田愛、吉岡美帆組(ベネッセ)が2020年東京五輪のセーリング代表第1号に決まり、史上初の金メダルへ視界良好だ。

8月9日まで五輪会場の神奈川県江の島ヨットハーバー沖で行われたセーリングの470級世界選手権で大海原の自然と格闘して英国に次いで堂々の銀メダルを獲得。前回の2016年リオデジャネイロ五輪で5位に入賞し、昨年の世界選手権で日本選手として史上初めて優勝した「世界一」の実力を証明した。

日本向きの「ヨンナナマル」

470級は全長4.7メートルの2人乗り小型ヨットで争い、通称「ヨンナナマル」と呼ばれる。適正体重が2人合わせて130キロ前後で、欧米人に比べて小柄な日本人にも適していることから最も盛んな種目だ。

セーリング女子日本代表ⒸSPAIA

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38歳のスキッパー吉田は身長161センチと小柄ながら経験豊富なベテランの舵取り役でママさんアスリート。28歳のクルー吉岡はバレーボールから転向し、177センチ、70キロと鍛え抜かれた体格とパワーが持ち味だ。

2013年に結成し「よしよし」コンビとも呼ばれる実力派のペアが難攻不落といわれる江ノ島の「風」と「波」を読みきり、普段から練習拠点にしている地の利を生かせる東京五輪で快挙達成を目指す。

吉田は「風」を読む達人

神奈川県出身で小学校1年からセーリングを始めた吉田は「風」を読む達人だ。今大会も微風、中風、強風と状況が刻々と変化する中で的確な舵取りが光り、抜群の安定感を示した。2008年北京大会で初出場し、東京で4大会連続出場となる。

ピアノも3歳から習い始め、音大の付属校に進んだ音楽一家でもある。2016年リオデジャネイロ大会後に長男を出産し、1年の産休期間を経て集大成の舞台へ戻ってきた。

当初は吉岡とぎくしゃくする場面もあったというが、互いに意見をぶつけ合って成長し、今は「理想のパートナー」と呼べるまで2人の絆が深まった。

吉岡はリオの雪辱を

広島県出身の吉岡は兵庫・芦屋高校から競技を始め、立命大で引退するつもりだったが、大先輩の吉田の誘いでペアを組んでからめきめき上達。前回のリオ五輪では最初のレースで緊張のあまり落水した苦い経験を踏まえ、東京で雪辱を期す。

吉田が産休の間、外国選手と海外を転戦し、ベネッセのOLとしてフィリピンに語学留学も経験。一回り心身とも大きくなった。クルーはジブセール(小さい帆)の操作に加え、体を外に投げ出して艇の傾きを調整する役を担うためパワーアップした体格を生かせるのも武器だ。

江ノ島特有の波の中、英国に次ぐ総合2位

壮絶なバトルが繰り広げられた大会は合わせて12レースが行われ、最終日の9日は10位以内のペアで争う「メダルレース」。海面に設けられた「マーク」と呼ばれるブイを、決められた回数や順序で回りながらスピードを競う。

台風の影響で江ノ島特有の南からの波がうねる中、総合トップの英国ペアに1ポイント差に迫る総合2位で臨んだ吉田、吉岡組は英国ペアの徹底マークで前をとられ、進路を抑えられながら進む展開で逆転はできなかった。

それでも全12レースで1着2回を含めて3着内が6回と抜群のコンビネーションで安定感を発揮。海面のうねりと風が強さを増した大会後半もコンスタントな実力を見せ、11レースで築いたリードを守って総合2位となった。

世界選手権の連覇は逃したが、目標に掲げた史上初の2大会連続表彰台となる銀メダルと「五輪切符」をつかんで2人の表情は晴れやかだった。

スポーツ庁も強化費重点配分、ランク「A」に指定

2020年東京五輪で史上最多の金メダル30個獲得へ向け、スポーツ庁は2019、20年度に強化費を重点配分する最上位の「Sランク」5競技と、それに次ぐ「Aランク」10競技を決めている。

Sはお家芸の柔道、レスリング、体操に加え、進境著しいバドミントンと東京五輪で初採用される日本発祥の空手が入ったが、過去に五輪金メダルのない卓球、テニス、セーリングなども有望視されてAに入った。特にセーリングは風と波を読む頭脳プレーと2人の連係が重視され、日本人向きの競技との分析もある。

過去メダルは2個

五輪でセーリングの歴史は古く、1900年の第2回パリ大会から実施され、1996年アトランタ大会までは「ヨット」の呼称で、2000年シドニー大会から現在の「セーリング」が競技名となっている。伝統的に英国や米国など欧米勢が強い。

470級は五輪で採用されている全10種目のうち、日本が過去に唯一メダルを獲得している「お家芸」だ。1976年モントリオール大会から五輪種目となり、日本がこれまで五輪で獲得したメダルは2個。

セーリング過去メダリストⒸSPAIA

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1996年アトランタ大会で女子の木下アリーシアと重由美子のペアが銀メダル、2004年アテネ大会で男子の関一人と轟賢二郎のペアが銅メダルを獲得している。2024年パリ大会からは男女混合種目として実施される。

東京五輪まで残された1年。吉田、吉岡組が「庭」と表現する江ノ島で腰を据え、じっくり準備できるメリットは計り知れない。世界選手権のメダルの色を「銀」から「金」に変えることができるか。「よしよし」コンビは、集大成の五輪で最高の走りを追求する。

記事:田村崇仁

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