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ディープインパクト、「年200頭の種付けが死期を早めた」批判はまったくの見当違い

2019/8/8 08:30 日刊SPA!

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◆年200頭を超える「種付け」が死期を早めたという批判もあるが……

「僕にとってヒーローみたいな馬。言葉で表すのは難しい……スゴい乗り味。共に過ごせた時間はスゴく幸せだった。感謝しかない。ありがとうと言いたい」

 ’04年12月の新馬戦から有終の美を飾った’06年12月の有馬記念まで、ディープインパクト(牡・17歳)が出走したそのすべてのレースで手綱を取った主戦ジョッキー・武豊は、そう感謝の言葉を口にした。

 7月30日、日本の競馬界に大きな“衝撃”が走った――。

 ’05年に、「皇帝」・シンボリルドルフ以来、史上2頭目の「無敗の三冠馬」となるなど、JRA(日本中央競馬界)史上、最多タイとなるGⅠ7勝を挙げたディープインパクトが急逝した。18日朝の放牧後、頸部の痛みを訴えるような異変が見られたため、専門の医療チームを結成し頸椎を固定する手術を行ったが、29日に歩行困難となるなど容体が急変……。回復する見込みがない新たな頸椎の骨折が判明し「安楽死」の措置が取られたという。

 スタート後は馬群の後方で虎視眈々と脚をため、4コーナー手前からエンジンがかかり始めると、最後の直線に入るや大外一気ですべての馬をかわしていく……。450㎏を切る比較的小柄な馬体にもかかわらず、空を飛ぶような大きなストライドで末脚を爆発させるディープの雄姿に、当時、多くのファンが熱狂し、社会現象を巻き起こすほどの人気となった。長年にわたってブラッドスポーツの視点で日本競馬を分析してきた血統評論家の田端到氏が話す。

「ディープの訃報が流れた直後から、SNSに彼の名前が書かれた単勝馬券の写真をアップする人がたくさんいましたが、きっと換金しないでお守り代わりに持っていたファンが多かったのでしょう。ディープのスゴさを端的に物語っているのが、この単勝馬券のオッズ(倍率)です。

 デビュー戦と2戦目は共に単勝1.1倍、その後の三冠レースも皐月賞1.3倍、ダービー1.1倍ときて、菊花賞に至っては、馬券が的中しても『元返し』となる1.0倍……。全レースを通しても最高配当が1.3倍しかつかないほどの人気を誇ったが、これもディープがいかに多くのファンに愛されていたかの証しと言えます。残念ながら、僕は逆らってほかの馬を買って見事にやられましたが(苦笑)」

 ディープの「最強伝説」は’07年に種牡馬入りした後も続く。ダービー馬・キズナ(牡・9歳)、菊花賞や有馬記念を制したサトノダイヤモンド(牡・6歳)、史上初めてジャパンカップ連覇を果たしドバイシーマクラシックや有馬記念も勝ったジェンティルドンナ(牝・10歳)……と、ディープのDNAを受け継ぐ37頭が計50個のGⅠタイトルを獲得。

 全産駒の獲得賞金額はトータルで513億円を超えており、この数字は今なお活躍を続けるディープの子供たちによってさらに上積みされることが予想される。東大馬術部に所属していた’90年代初めに競馬ライターとしてデビューして以来、日本の競馬サークルを最前線で見続けてきた競馬評論家の須田鷹雄氏が話す。

「自身が優秀な競走馬であっても、産駒に能力が継承されないケースは少なくないが、ディープは仔に能力を伝えやすい血統を持つ稀有な存在だった。競馬はそれほど単純ではないが、そう思ってしまいそうになるほど、種牡馬としても能力が高かったということです。

 ’12年から6年連続リーディングサイヤー(最優秀種牡馬)の座に君臨していたわけですから、当然、亡くなった影響は計り知れない。毎年、JRAの賞金の8~9%をディープ産駒だけで稼いでいたので、将来的にこの分が丸々空くことになる。

 今年のセレクトセール(日本最大の競走馬の競り市)でも、1歳、当歳ともにディープ産駒が最高価格で落札されましたが、今後、資金力のある馬主が『買えば、かなりの確率で正解』と頼っていた存在がなくなることを意味するわけです」

◆種付け料は4000万円まで高騰

 ディープの「死」が、日本の競馬界に与える経済的影響は甚大だ。前出の田端氏が話す。

「ディープが現役を引退したときに組成されたシンジケートは、8500万円×60株で史上最高となる総額51億円に達し、この株を持っていれば年1頭の種付けの権利が与えられます。一方、シンジケートに入っていない場合の種付け料は4000万円(’19年)まで高騰していましたが、この価格は、“関係者以外お断り”の意味合いが強く、敢えてハードルを高く設定していたのでしょう。

 とはいえ、現在2番目に種付け料が高いロードカナロアが1500万円、3番目のハーツクライが800万円ですから、4000万円というのは破格です。300万円で一流の種牡馬と言われているので、過去の名馬と比べても、種牡馬としてのディープは次元がまったく違うわけです」

 ピーク時には年間250頭ほど種付けしていたことから、その負担が死期を早めたという見方があり、ネット上では「日本の宝をなぜ殺した」といった批判の声も挙がっている。田端氏が続ける。

「ディープが亡くなる2週間ほど前に会ってきましたが、日常生活には支障がない様子でした。ただ、種付けできないほど頸椎に痛みが出ていれば、ストレスで胃潰瘍になり、死んでしまうこともあるので、関係者としては放っておくわけにはいかなかったのでしょう。批判のある手術にしても、数か月前から準備して、米国から手術経験のある獣医も呼んでおり、手術が失敗したから死んでしまったという話ではない」

 須田氏も批判は「まったくの見当違い」と切り捨てる。

「高齢の馬に無理に種付けさせたことが負担になったという批判は当たりません。種牡馬の引退は馬によりけりで、20歳を超えても種付けしている馬は普通にいますから。年間250頭ほどの種付けも一年中行っていたわけではなく、繁殖シーズンのみ一日4回ほど行っていた。これが負担になるかについては、競馬関係者の間でも議論が分かれるところです。

 ただ、競馬を知らない人に言いたいのは、今回、手術に踏み切り、残念なことに亡くなってしまったが、関係者がディープに対して最善策を模索した結果なので、そこは理解してほしい。周りのスタッフ以上にディープを大事にしてきた人たちはいないわけですから」

 週末、’17年のセレクトセールで1億7000万円の値をつけたアルジャンナ(牡・2歳)が初出走するなど、今年も多くのディープ産駒がデビューする。ディープ死すとも、その血は永遠に受け継がれていくのだ。

取材・文/週刊SPA!編集部 写真/産経新聞社
※週刊SPA!8月6日発売号「今週の顔」より

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