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“芸能人なりすましメール会社”の内紛。裁判で部下が上司にマジギレ

2019/7/20 15:54 日刊SPA!

このような迷惑メール、一度は届いたことがあるだろう このような迷惑メール、一度は届いたことがあるだろう

「俺、木村◯哉だけどさ…」
「◯◯からお前の連絡先教えてもらって、連絡してるよ」
「スタジオこれから入りまっす\(^o^)/」
「早く会いたいから、返事下さい(汗)」

 このような、あたかも芸能人からのメールをもらったことはありませんか?

 もちろんこれはなりすましメール。返事をしたら最後、有料サイトへと誘導され、お金を吸い取られます。こんなの誰が引っかかるんだ? と首をかしげたくなるものです。先日こういった芸能人なりすましメールを始め、様々な詐欺メールを配信していた会社役員の裁判傍聴に立ち合いました。

 被告人は詐欺メールを送る会社の役員。審理に入り彼の罪を明らかにするため、当時働いていた課長(彼も起訴されすでに判決が出ています)が、証人として出廷した時の話です。

◆詐欺メール会社の内情は意外と地味

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被告人:多田野和也(仮名・30代後半)詐欺メール会社役員
証人:松山洋(仮名・50代)詐欺メール会社課長。被告人の部下
罪状:詐欺
===

 今回傍聴したのは、LINEがまだ流行る前、平成23年頃の事件です。なりすましメールを送り、有料サイトへと誘導していたこの会社。

 被告人多田野の罪状を明らかにするため、傍聴時には当時課長だった松山さんが出廷。会社の業務内容や被告人との関係を、弁護士や検事の質問に沿って話していきます。

 ちなみに芸能人なりすましメールというのは、24時間交代制で送っているらしく、配信表には「どんな芸能人設定で、どのようなユーザーに、どの文面で送ったか」が書かれています。有料サイトに誘導し、その後はサイト内でいかにメッセージを引き伸ばし課金させるかという目標のため、オジサンたちがちまちまとメッセージを送り続けているのだとか。

 なんて地味で涙ぐましい努力、と一瞬同情しそうになりましたが、そうじゃない。悪徳詐欺会社は、こうして善良な一般人からお金を巻き上げているわけですが、だんだんと時代の変化とともにこの仕組みも限界を迎えます。そして淡々と話していた松山さんの口調も、荒っぽく……。

◆松山さんの化けの皮が剥がれ始める

「まずは私自身も、被害者の方への謝罪の気持ちがあります。誠心誠意、自分が経験したことを話し、そして罪を償いたいと思います」
「多田野さんへの恨みは、最初はありましたが今は全くありません。できることは、ただ罪を償いたいという気持ちです」

 最初こう宣言し、証人尋問を開始した松山さん。

 すでに松山さんには有罪判決が出て、現在、執行猶予中。最初は「自分も利用されていた!」と怒りを感じたそうですが、今は深く反省し更生の道を歩んでいるらしい。

 しかし、裁判は人間の欲と本質が見える場所。松山さんの反省という仮面は、時間とともにベロリと剥がれることになります。

 その片鱗がみえてきたのが、運営会社の売上が下がり始め、管理職である松山さんへの風当たりが強くなった頃から。被告人から毎日「売上を上げろ!もっと頭使え!」と叱咤されるようになり、どんどんと立場が悪くなっていきます。

 また月1回のMTGは週1回となり、そこでも松山さんは詰められます。やっている事がブラックな上、ブラックにツメるなんてもはや漆黒。

「どうやってユーザーに利用する気を起こさせるか?」
「ユーザーをどう回すか?」

 なんてがことが話される中、松山さんは売上が上がらない責任を取らされ、被告人の指示で減給されてしまったのだとか。

◆怒りでヒートアップ

 当時の漆黒時期を熱っぽく語る松山さん。確かに同情の余地はあるものの……。

「だからね、私は彼にしーーーーっかりと反省し、罪を償ってもらいたいんです!(グッと拳を握る)」

 質問に答え終わり、そう力説する松山さん。完全に怒っている。冒頭の「怒りはない」発言をものの数10分で覆した彼。

 弁護士から「何か言いたいことはありますか?」と問われると、「私はね、この仕事は良くないと思っていました。彼の管理は強引でずさんで、面倒を全部こちらに押し付けてばかりでした。私は辞めたかったんです」

 息を上げながら声を発する松山さん。

 いやいや、言いたいことって完全に恨み節じゃん。傍聴人全員が苦笑する中、弁護士がポツリと。

「落ち着いてください。言いたい事はわかりました。あなたは今も被告人を恨んでいますか?」

 そう問うと、キリッとした目線(は傍聴席からは見えませんが)で「恨んではいません!ただ、許せません!」

 そう大きな声で答え、席へと戻っていったのでした。

 いやいやいや。許せないと恨むはニアイコールなのでは?

 そんな声がどこからともなく聞こえてきそうなこの裁判。組織犯罪なのでまだまだ証人尋問は続いていくのですが、すでに罪状が決まった人はどんなに失言しても、自分の刑期は変わりませんから、やっぱり強い。そんな人間の本心を垣間見た気がしました。

 ちなみに被告人は松山さんの発言中、ただただ無表情で壁の一点を見つめていました。犯罪者同士とはいえ、元上司と部下。ヒートアップ具合をみるに、肝の座り方もやっぱり違うと思ったのは、筆者だけではないはずです。

<文/おおしまりえ>

【おおしまりえ】
水商売やプロ雀士、素人モデルなどで、のべ1万人以上の男性を接客。現在は雑食系恋愛ジャーナリストとして年間100本以上恋愛コラムを執筆中。ブログ

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