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吉祥寺のランドスケープに迫る ―ハビタ・ランドスケープ 特別編(第2回)

2019/7/19 17:45 ソトコトオンライン

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井の頭公園や善福寺公園の緑に囲まれ、若者から家族連れ、お年寄りまで世代を交えにぎわう吉祥寺。住みたい街として常に人気を維持する理由をランドスケープから見つめる。

移住者と共に発展した街

成蹊大学の隣に巨大なケヤキ並木がまっすぐに続いている。このケヤキは成蹊大学が吉祥寺に移転してきた1924年に移植されたものだが、付近の住宅地にもケヤキが点在し、ケヤキの林の下に住宅地が広がっているように見える。

吉祥寺の住宅街はきっちり細長い格子状に並んでいるが、東西まっすぐの中央線に対して斜めに振られている。これはどういう理由だろうか? 答えは吉祥寺成立の歴史から見えてくる。

ススキが揺れる原野であった吉祥寺を含む武蔵野台地は、火山灰地質のため地表に水が乏しく、湧水地を除けば、長らく人が定住する場所ではなかった。状況が変わったのは、1657年に江戸の大半を焼き払った大火が起こったことだ。焼け出された多くの町人への宅地供給と併せて、慢性的な人口増加と食料不足を解決するため、幕府は、町人に武蔵野への移住と新田開発を募った。駒込にあった「吉祥寺」という寺の門前にいた町人たちが移住したのが、吉祥寺の街のはじまりだ。
1664年の初めての検地によると、軒数64軒という小さな集落だった。移住者たちは、五日市街道に沿って、幅20間(約36m)、奥行き634間(約1150m)の短冊状の土地を与えられた。土地は、街道付近に屋敷、次に畑、最も奥に林という共通のレイアウトとなっている。火山灰の土地は痩せていて、畑作を続けるためには、林の枝や落ち葉などを拾って肥料として畑に入れる必要があった。定住者たちは原野にクヌギ、コナラを植え、20年ほどで刈り取り、切り株から出た芽をまた大きくすることを繰り返し、林を維持してきた。林の木は風呂焚き、炊事、建材など生活のなんにでも利用された。ほぼ循環型の生活が300年近く、武蔵野台地の上で行われてきた。

手水舎


この街道沿いの短冊状の区画は現在の街区としてそのまま残っている。五日市街道や、青梅街道など江戸の放射状の街道は南東から北西へ斜めに走っているのに対し、中央線は東西まっすぐだ。この理由は、中央線の前身である甲武鉄道を開設する時、民家が多かった青梅街道か甲州街道沿いでは住民の反対にあい、民家の少ない中間地点の新宿─立川間にまっすぐ鉄道を引いたことによる。
1899年に吉祥寺駅が開設された当初は、一日の利用者は100人に満たなかった。しかし、1923年の関東大震災後、被災した人びとは、利便性のよい中央線以西に郊外住宅地を求め、それまで農村地帯だった吉祥寺の人口は一気に急増した。

さらに、短冊状の土地割りの外縁の林地部分は、宅地化されていないまとまったスペースとして残り、大学、工場、役所などの敷地として利用されることとなる。太平洋戦争直前には、零戦などの戦闘機を造っていた中島飛行機、無線技術を開発していた横河電機が工場敷地を構え、軍需産業都市として吉祥寺は発展することとなった。中島飛行機武蔵野製作所の敷地は、激しい爆撃を受け廃墟と化したが、現在ではURの団地と武蔵野中央公園の緑に包まれつつ、NTT先端技術総合研究所が座している。

このように見てみると、災害により吉祥寺は始まり、天災、人災も含み大きな災害があるたびに人口が増えてきた移住者の街と言うことができる。同時に移住者たちがもたらした最新テクノロジーのフロンティアの地でもあった。移住者のパイオニアたちが約350年前に原野に引いたグリッドが、その後の吉祥寺の発展を支えてきたことは興味深い。

(第3回に続く)

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20190802イベント告知

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 文 滝沢恭平
写真 渋谷健太郎

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