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いまアクションスポーツシーンに必要な、社会的視点とは |【連載】FINEPLAY INSIGHT 第三回

2019/7/19 11:00 FINEPLAY

いまアクションスポーツシーンに必要な、社会的視点とは |【連載】FINEPLAY INSIGHT 第三回 いまアクションスポーツシーンに必要な、社会的視点とは |【連載】FINEPLAY INSIGHT 第三回

かつてないほど注目を浴びるアクションスポーツシーン。その発展のために、FINEPLAYが送る多角的視点の連載「FINEPLAY INSIGHT」。

本連載「FINEPLAY INSIGHT」もはや三回目。第一回のテーマ「スポンサー」、そして第二回目のテーマ「実業団」に続いて、今回は僕がよく聞かれる「マーケティング」について、シーンが抱えている課題と関連してアプローチしてみようと思います。

ワークショップでみえた、シーン側の弱点

先日、僕が一応の講師となって、「アーティストとアスリートのためのビジネスワークショップ Vol.0」と題して、アクションスポーツシーンのみなさんや普段それに通じたビジネスに手を伸ばしているみなさんを対象に、基本的な思考法や構造化の方法を実習形式でお伝えさせていただきました。

ワークショップでは前半こそ講義を行ったものの、半分以上は実践形式。5つのグループに分かれて、クライアントに提案したいことを構造化してまとめ、仮想のクライアントと化した参加者の前で提案をプレゼンテーションをしてもらいました。提案内容はパワーポイントや図は使わず、あくまで文字のみ、箇条書きだけです。画で誤魔化さず、アイディアを言語化し、説得材料を構造化することに主眼を置きました。ワークショップには、実務経験のある方を含めて、2〜3人で1チームを組成し、全部で5チームで取り組んでいただきました。

結果から言えば、ある弱点が浮き彫りになった形です(カッコよく言えば、その弱点を知ってもらうことにこそ狙いがあったのですが)。以下に示すのは、当日僕が勝手に採点した、チーム別の点数表です。点数表をご覧いただければお分かりのとおり、リターンを設計するということにおいてかなりの方が苦心していたように思います。ちなみに、AチームとCチームには実務経験が豊富なメンバーが入っています。

現実世界には、文系も理系もない

採点表をみると一目瞭然ですが、赤字で示した採点基準の得点が特に低くなっています。実はこの2つ「相手にとってのリターンはしっかりと定量化されているか」「相手にとってのリターンにふさわしいコストになっているか」は、対(つい)になっていて、リターンをきちんと定量化出来ていないと、それにふさわしいコストが提示出来ない、という構造になっています。この、価値を定量化するという技術は、現実のビジネスの世界では大変重要だと僕は思っています。

なぜなら、ものすごく乱暴にいうと、現実世界のビジネスでは利益に寄与することに価値があるからです。利益に寄与するということは、売上を伸ばすか、コストを下げるかのどちらかです(これも乱暴ですが)。ですから、特に企業に対して提示できるリターンというのは、「ブランドイメージ」でも「集客」でも、どこかで定量化しておくクセをつけておくのが良いと思います。ブランドイメージを何人に対して上げる事ができるのか、集客なら何人が来たら良いのか。そういうことをコツコツ積み上げた何手か先に、利益に寄与するというゴールがある。

よく、「ブランドのためにやっているから売上は関係ないんだ」という人がいますが、それは欺瞞(ぎまん)です。ブランド力を高めるということは、例えば「好き」と思ってくれる人(プリファレンスなどといいます)や、購入のタイミングでそのブランドを検討してくれる人(コンシダレーションなどといいます)を増やすことです。実はこのプリファレンスなどの係数は、ブランドを選んでくれる確率を上げる一要因にほかならず、ブランドを選んでくれる確率というのは売上の一要因にほかなりません。

また、リターンを設定するということは、提案する自分たちにとってのゴールを定めることにもなります。イベントなら、何人来たらどういう価値があるのか。映像の企画なら、何人が実際に視聴して、視聴しない人でも何人がその映像の存在を知ってくれたらいくらの価値があるのか。そして相手にとって価値のある数字感はどのくらいのものなのか。小さなブランドと大きなブランドでは、価値のある数字が1桁も2桁も異なります。

大変ワクワクしない(笑)地味な話ですが、そういうことをざっくりとでも丁寧にできる人を、企業も行政もシーンとしても信用していくべきだと、僕は思います。

日本は高校生で多くの人が「文系」「理系」という無意味なラベリングを施されますが、現実世界では文系も理系もなく、数字から逃げることのメリットはありません。反対に、リベラルアーツや感性の世界から逃げていても、同じようなことが言えます(これはカルチャーに浸かっているFINEPLAYの読者は強みですね!)。

相手の課題解決にどう貢献できるか?

至極つまらない話になってしまいましたが、ワークショップで目に見えたのはこういった「相手にとってのリターンを定量化し、それにともなって自分たちのゴールを設定する」という視点の欠如だったのかな、と思います。

それは、自己ではなく他者の便益をどれだけ考えられるか、つまり、相手の課題解決にどう貢献できるか?ということです。シンプルに考えると、デートの前に髪の毛を整えるように提案したり、壊れたエアコンの修理を提案することと、大差はありません。

そして相手の課題解決になるということは、大袈裟に言うと「社会的視点を持ちましょう」ということにほかなりません。どんなビジネスでも、その先にある本当の相手は常に社会そのものだからです。その意味で、シーンの側からのメリットと、社会の側からみた価値がちょうど重なるところにこそ、様々な機会があるはずです。

2017年に僕が持たせていただいた東京大学での自主ゼミもタイトルは「ストリートと社会」でした。この「社会性」への課題意識は僕自身の中に長くあり、それはやはり僕が通ってきたカルチャーに対する感謝の裏返しでもあります。今回ワークショップに参加していただいた方々に感謝をお伝えすると同時に、一歩下がって「冷静に世の中からみてどういう価値があるか」という視点を常に耕していけるよう、自分なりに貢献していきたいと思います。


(続く)

AUTHOR:阿部将顕/Masaaki Abe(@abe2funk)
大学時代からブレイキンを始め、国内外でプレイヤーとして活動しつつも2008年に株式会社博報堂入社。2011年退社後、海外放浪やNPO法人設立を経て独立。現在に至るまで、自動車、テクノロジー、スポーツ、音楽、ファッション、メディア、飲料、アルコール等の企業やブランドに対して、事業戦略やマーケティング戦略の策定と実施を行う。
現在、戦略ブティックBOX LLC代表、NPO法人Street Culture Rights共同代表、(公財)日本ダンススポーツ連盟ブレイクダンス部広報委員長。建築学修士および経営管理学修士。

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