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牝馬に襲いかかるG1馬、観客席に突進……平成の競馬珍レースベスト3

2019/7/18 15:49 日刊SPA!

ゼンノエルシドのデビュー戦となった平成11年の3歳新馬戦。残念ながら写真ではその立派な5本目の足は確認できず…… ゼンノエルシドのデビュー戦となった平成11年の3歳新馬戦。残念ながら写真ではその立派な5本目の足は確認できず……

<平成ギャンブル名勝負第8回・競馬珍レース編>

 平成の競馬を振り返る企画……として先日は「平成の名勝負」を振り返った。30年以上もの間競馬はほぼ休まず毎週行われていたのだから、プロ野球珍プレー好プレーでいえば30年分の好プレーを1時間にまとめるほどの難儀なことではあったのだが、改めて競馬は名勝負の宝庫だと再確認することができた。

 一方、珍プレー好プレーでいえば大半が”珍プレー”の放送となるように、競馬においてもいわば”珍レース”が数多く存在する。そこで今回は、平成30年余りの中から選りすぐりの、語り継ぎたい……というよりは知っていたらちょっと自慢できるかもしれない、思わず誰かに話したくなる、珍レースをご紹介したい。

 それでは、私、TAROが選ぶ、平成の珍レースベスト3! まずは第3位から。

◆第3位 平成14年(’02年) ラジオたんぱ賞 勝ち馬:カッツミー

 馬券を毎週買っていると痛いほど感じることがある。本当に競馬というのは、出遅れや道中の不利など、なんと思い通りにいかないことが多いものかと。レース直後に諦めざるを得ない……そんなことも日常茶飯事である。そこでふと、野暮な考えが頭をよぎる。

「もし、最終コーナーの時点で馬券を買えたらどれだけ儲かるのだろうか」

 実に浅はかな考えだが、もし仮に最終コーナーで馬券を買ってもまず的中することはできないだろうと思えるのが、3位に選んだ、カッツミーが制したラジオたんぱ賞(当時)だ。

 当時、宇都宮競馬所属の内田利雄騎手を背に参戦したカッツミーだったが、スタートからなかなか進んで行かず、位置取りは後方。競馬中継の映像にもまったく入って来ず、次に映し出されたのは最終コーナーの中間地点、しかも騎手が必死に追うものの馬はズルズルと下がって行くシーンだった。この時点で恐らく、「もう無理だ……」とほぼ全員が諦めたはずだ。

 だが、そんな状況でも人馬は諦めてはいなかった。直線の入り口で徐々にエンジン点火。直線の半ばではまだ後方だったが、各馬が激しい叩き合いを演じる中、最後の最後に画面に映り込んできたのがカッツミーだった。まさにごぼう抜き、テレビ画面の外からの追い込みだった。

 伝説の追い込み……と呼ばれるレースは数あれど(例えばブロードアピールの根岸S)、多くはもともと力のある人気馬によるもの。しかしこの時のカッツミーは8番人気の伏兵にすぎない。そんな馬が見せた驚異の追い込みは、まさに歴史に残る珍レースと呼ぶにふさわしい一戦だった。

◆第2位 平成26年(’14年) アイルランドトロフィー 勝ち馬:エイシンヒカリ

 破天荒なレースぶりゆえに、逆に能力の高さを見せたのが平成26年のアイルランドトロフィーを制したエイシンヒカリだ。デビュー以来4戦4勝と連勝街道を突き進んでいたエイシンヒカリが、初のオープン挑戦となったのがこのレース。無敗馬ということで注目度は高く、単勝は1.4倍という断然の人気に支持された。

 そして、レースも周囲の期待通り。好スタートからスイスイと逃げ、後続をどんどんと突き放していく。あのサイレンススズカを彷彿とさせるようなレースぶりで、誰もが楽勝を信じて疑わなかったはずだ。直線に入るまでは……。

 ところが、“事件”が起こるのは直線に入って間もなくしたところだ。鞍上の横山典騎手が軽くGOサインを送ると、何を血迷ったのかエイシンヒカリは外ラチに向かって斜めに走り始めたのだ。持ち前のスピードをフルに発揮し、しかし向かう方向はゴールではなく、観衆の待つスタンド…。

 さすがに異変を察知した場内からもどよめきが起こるが、それでも最後は3馬身半差をつけての完勝。直線入り口では最内にいたはずが、ゴール版を過ぎた地点ではほぼ外ラチ沿いを走るという、まさに想像の斜め上を行ったレースだった。

 だが、そんな破天荒ぶりは大物の証でもあった。エイシンヒカリはその後紆余曲折あったものの、翌年の香港カップを制覇、さらに平成28年(’16年)にはフランスのイスパーン賞を制するなど、海外のG1を2勝する活躍を見せたのだ。ハチャメチャなレースぶりは能力の高さゆえ。また、個人的にはそんな”暴走”を無理に咎めることなくのびのび走らせた鞍上横山典騎手の騎乗にも拍手を送りたい。エイシンヒカリのキャリアの中で同騎手の騎乗はこの1レースだけ。天才と呼ばれる同騎手だが、やはり天才同士、通じ合うものがあったのかもしれない。

◆第1位 平成11年(’99年) 3歳新馬 勝ち馬:ゼンノエルシド

 派手な追い込みに、奇想天外な逃げ……ココまでは、ある意味好プレーに入れてもいいくらいの見どころのあるレースをチョイスしたが、1位はやはり珍プレーにふさわしいモノを選びたい。

 平成11年、ゼンノエルシドが勝った新馬戦だ。ゼンノエルシドは、当時すでにトップ調教師だった藤沢和雄厩舎の期待の新馬。鞍上には関東のトップジョッキーである岡部騎手を迎え、デビュー戦の単勝は1.4倍と断然の支持を集めていた。

 しかし、そんな注目と期待を知ってか知らずか、ゼンノエルシドはレース前から大モノぶりを発揮する。なんと同じレースに唯一出走していた牝馬・マルターズスパーブの姿に興奮、いわゆる”馬っ気”を出した状態でブラブラとパドックを周回していたのだ。もっとも、ココまでならそうそう珍しい話ではない。馬といえども動物、ましてやまだ若い馬ともなればしばしば見られる光景でもあった。

 だが、ゼンノエルシドはそこからが違った。なんと、レースに行ってもその興奮が収まらなかったのだ。ゲートが開き、”いざ本番”ということなのかもしれないが、依然として馬っ気を出したまま。さながらその姿は世界の王の一本足打法ならぬ、“5本足走法”だ。

 そんな集中力を欠いた状態、普通ならば惨敗……となるところだが、やはりココでも大モノは違った。直線に入っても5本足走法を続け、そのまま1着でゴール。ブラブラしながら颯爽と走り切ってしまったのだ。まさに珍レースならぬ、“チン”レース。場内には拍手と同じだけの失笑が漏れたのは言うまでもあるまい(想像)。なお、騎乗した岡部騎手は「いいモノを持っているね」とレース後にコメントしたという。

 ちなみに、このゼンノエルシドはやはりただモノではなかった。その後、脚部不安(こちらは本物の脚の不安)もありなかなか勝てない時期が続いたが、デビューから2年ほど過ぎた平成13年(’01年)にマイルCSを制覇、見事G1馬となったのだ。G1馬となったことで無事種牡馬入りも叶い、ゼンノエルシドの“悲願は成就”したことだろう。

 というわけで、以上が令和に語り継ぎたい……というよりも、知っていたらちょっと競馬通ぶれるかもしれない(?)、平成の珍レースベスト3である。

 なお、ひとつだけ残念なのは、1位のレースだけ動画サイトを検索しても見つからなかったこと。まさかコンプライアンスに引っ掛かったわけではないだろうが…。“不適切な新馬戦”を、もう一度見てみたいものだ。

【TARO】
競馬予想ブログとしては屈指の人気を誇る『TAROの競馬』を主宰する気鋭の競馬予想家。最新の著書に『万馬券の教科書』(ガイドワークス)、『回収率を上げる競馬脳の作り方』『回収率が飛躍的に上がる3つの馬券メソッド』(扶桑社)が発売中。

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