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世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第326回 経済は“不確実”という現実

2019/7/2 06:30 週刊実話

 第324回で、MMT(現代貨幣理論)派と、主流派経済学の「歴史的な闘争」について解説した。MMTの源流ともいえるケインズ系の経済学と、新古典派など現在の主流派経済学とでは、まさに考え方が真逆になっている。

 というわけで、ケインズ系と(現在の)主流派の違いについて図にまとめた。

 主流派経済学は、経済を“自然現象”として捉える。そのため、自然科学同様に「神が定めた法則があるはず」と考えてしまうのだ。経済学は「セイの法則」「比較優位論」など、法則やら原則やら理論やらによる「決めつけ」が大好きだが、現実の経済は“不確実”なのである。何しろ、人間の営みである以上、経済から「万有引力の法則」「相対性理論」的な普遍的な法則を見出すことは不可能だ。

 なぜ、経済が“不確実”なのかについて、突っ込んで考えてみてみよう。

 例えば、我々が日常的に使っている「銀行預金」は、銀行から民間の貸し出しが行われた際に発行されるおカネだ。借り手の借用証書と引き換えに、銀行が通帳に数字を「書くこと」で発行されるのが、銀行預金なのである。

 そして、銀行が企業に貸し出すか否か、これは事前には誰も確定できない。例えば、企業経営者と銀行員の「個人的な関係」で貸し出しが行われるケース、あるいは逆に、確実に利益になる投資の資金が、経営者の説明下手が理由で貸し出されないケースなどが普通にあり得るわけだ。

 つまり、銀行預金というおカネが「いくら発行されるのか?」は、神様でも事前に特定できないのである。銀行融資は、もちろん資本主義の重要要素だが、銀行預金の増加について論理的な説明は不可能だ。

 さらには、投資。企業経営者の設備投資の決断は、必ずしも合理的に行われるわけではない。というよりも、「確実に利益が増える投資」のみが行われるというのであれば、この世から企業倒産は消滅する。企業経営者の投資決断も、投資効果も、無論、ある程度の「見込み」の下で行われるわけだが、そこには間違いなく非論理性、非合理性が存在している(要は「ノリ」「勢い」で投資する経営者もいるのだ)。

 あるいは、投資による生産性の向上。特定の投資が「生産性をどれほど引き上げるのか」について、事前に断言できる者はいない。というよりも、投資した企業、国家、人材の質、その時点の経済状況など、環境によって生産性向上の効果は変わってしまう。

 経済における「不確実性」は、現実世界を生きる者であれば誰でも納得するであろう。とはいえ、この手の不確実性を残してしまうと、経済学の「数式モデル(法則)」を作ることは不可能だ。

 というわけで、経済学者が何をしているかといえば、前述した内容に代表される不確実性を「排除」するのだ。具体的には、恐ろしく膨大な「前提」を設定し、その前提が満たされる上では「○○の法則が成り立つ」と、数式モデルを作り、ノーベル経済学賞を受賞する。これが、経済学者のサクセスストーリーだが、現実の不確実性を排除し、無数の前提の下で作成した経済モデルとやらに、何の価値があるというのだろうか。

 とはいえ、経済学は前述した構造の下で発展したため、現代貨幣について説明できず(根底から間違えた「おカネのプール論」)、投資や生産性向上を嫌う。あるいは、見て見ぬふりをする。結果的に、人手不足の対処法は労働者の増加、国内に人手がいないのであれば移民受け入れとなってしまい、国民国家の政治に混乱をもたらす。

 また、貨幣観の違いというか勘違い、主流派の貨幣論もまた、政治に悪影響を与えている。主流派経済学は、おカネが「物々交換の利便性を高めるための商業用品(アダム・スミス)」であると認識する。いわゆる、商品貨幣論である。

 おカネを「モノ」として認識してしまうと、現代の不換貨幣(金銀などの裏付けがない貨幣)が意味不明な存在になる。日本で言えば、なぜ我々が日本円を日本国内で使用しているのか、理由を経済学は説明することが不可能なのである。何しろ、現金紙幣はともかく、現代のメインのおカネである銀行預金は、単なるデジタルデータだ。銀行が貸し出しの際に「書くこと」で発行しているため、金銀などの担保があるわけでもない。

 というわけで、主流派経済学は「大衆心理」という曖昧な感覚を、貨幣流通の理由に据えている。
「誰もが日本円を受け取るからこそ、日本円を使う」と、大衆が考えるからこそ、日本円が流通しているという「アイデア」だ。

 となると、大衆心理が「自分が持っているおカネを、誰も受け取らなくなるかもしれない」といった方向に流れた瞬間に、通貨価値は暴落することになる。結果的に、「インフレ率をコントロールできなくなる」と、主流派は考えるわけだ。

 実際には、日本国内で不換貨幣である日本円が流通している理由は、「日本政府が日本円でしか税金を受け取らない」ためだ。日本国で暮らす以上、我々は各種公共サービスの費用を負担する必要がある(厳密には「必要がある」という建前になっている)。

 政府は、公共サービスの支出を日本円でしか行わない。つまりは、我々は常に日本円の税負担という債務を政府に対して負い続ける。結果的に、日本円が日本国内で流通する。

 これが現実の世界なのだが、主流派はとにかく経済に対する政府の関与を毛嫌いする。自分たちが使っているおカネの流通理由として、政府の存在で説明することはできない。

 というわけで、主流派は不換貨幣流通の理由を「大衆心理」という曖昧模糊としたものに求めざるを得ず、結果的に「通貨価値暴落=インフレ率急騰」恐怖症に陥っているというのが真実なのである

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みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。

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