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「なつぞら」78話。天陽くん結婚と藤木直人のなつぞらアニメーションの巧さ

2019/7/1 08:30 エキレビ!

エキレビ! エキレビ!

連続テレビ小説「なつぞら」 
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

第13週「なつよ、『雪月』がピンチ」78話(6月29日・土 放送 演出・二見大輔)視聴記録


天陽くんが結婚
なつ(広瀬すず)がはじめてアニメーターとして参加した「わんぱく牛若丸」の作画作業が終了、完全な打ち上げの前の作画スタッフのみの慰労会みたいなものが行われる。社員たちは手料理を持ち込んだり、余興をやったり。麻子は手の混んだお煮しめを作り、なつは亜矢美のつくったおでんを持ってくる。
余興でなつはFFJ(日本学校農業クラブ連盟)の歌を披露することになるが、そこまでは穏やかなおつかれさま会の描写だったものがこの歌を境に手の混んだことになっていく。
まずは井戸原(小手伸也)がビール瓶2本を双眼鏡に見立てて「指名するぞ〜」と言うと「見えないでしょうそれじゃ」と下山(川島明)がツッコミを入れる。小手伸也と下山ふたりのプロフェッショナルな間合いで笑わせた後、広瀬すずがガッチガチの不器用な様子で、なつの原点のような歌をこぶしをふりあげ歌いはじめる。その画と、その頃、劇団赤い星座でがんばっている雪次郎の姿と、彼が演劇をやることを許されたきっかけになったロールケーキを帯広で雪月が売り出している様子が映る。「我らの誇り♪」となつが歌ったところで、雪之助がていねいにロールケーキの仕上げをしながら満足そうに微笑んでいる顔。そこになんの説明(ナレーションとか台詞とか)も入らないが、必死で生きている人たちの姿を感じさせるには十分である。
「誰も知らない歌をよく歌いきった〜」とももっち(伊原六花)がなつを労っていると「次は誰だ〜」で、ももっちとほか多数によるダンス(美空ひばりの「お祭りマンボ」)。キレッキレバブリーダンスで注目された伊原六花の面目躍如。余談だが、なつを労っているときの彼女のニットのベストのウエストラインが締まっていて、彼女のスタイルがいいのがよくわかる。
次に注目すべきは、すみっこでなつを応援している陽平(犬飼貴丈)。なつとの同郷感を、仕草と表情と声にたっぷり滲ませる。このときの犬飼貴丈の動作は完璧である。この回の功労者は小手、下山、伊原、犬飼であろう。Re: なつぞら78
陽平はふと思い出したようになつに天陽の話をはじめる。最初はさぐりながら。どうやらなつが天陽の近況を知らないことを察すると、衝撃の情報を。
「天陽は今年の冬に結婚するんだ」
その瞬間、世界が変わる。
そこまでは、ももっちのダンスの余韻で部屋中がわいわいと異様ににぎやかだったのがすっと無音になり、背景の人々の姿が暈ける。世界でひとりになったなつは「なんだ〜知らせてくれたら良いのに水くさい」と笑いとばす。ここにも彼女の心情を語るセリフもナレーションもいっさい入らない。
ややベタではあったが絵で抒情を見せる映画的なやり方を、あえて朝ドラでやっているのは朝ドラ初参加の若手演出家だからか。続けていくうちに朝ドラではそういう凝ったことは不要とわかってきて、だんだんやらなくなるのだろうという気もする。朝ドラは長い時間をかけて映像化のシステムが効率化されているようで、それには一長一短あると感じている。それについては次の機会に書きたいと思う。

さて。本音を隠して平気な顔をして笑う、そういうことはやらないでいいと幼い頃に泰樹(草刈正雄)に言われたことをまたやってしまうなつ。それだけで彼女の内心の喪失感の大きさはわかる。「お祭りマンボ」がやたら楽しげだからこそその差が大きく感じられる。
でも彼女は黙って抱えて生活する。やがて「わんぱく牛若丸」が公開されて彼女ががんばった馬と牛若丸の動画が映画館で子どもたちに受けている様子を実際に映画館に足を運んでこの目で見て喜ぶなつ(できた作品をちゃんと劇場で確認することも大事なこと)。また、アニメーションとは何かについて、坂場(中川大志)と運命的な階段で語り合い、アニメーターとして一歩前進する。アニメーターとはありえないことを絵で表現すること。
あっと言う間に一年を経過させ、風車と北海道に電話が設置されて、なつは柴田家と電話する。なつの一年の苦労を何も知らずに家族は「なつ!なつ!なつ!」と声援を送る。この一連の流れは胸が痛い。何も語らないからこそなつの受けた痛みが発散されずに痛くてたまらない。日常でこういう経験したことある人は少なからずいると思う。解決しようのない傷を抱えながら、日々やらなければいけないことに追われて時間が経過していく。日々やらなければいけないことも自分のやりたい夢であり、でも華やかなことではなく地道な労働であり、大変だけど、やったらそれなりに成果が出るものだからそれはそれで満足もあって、傷を見ないで済んだりもする。でも知らないうちに治癒して消えてしまうわけではなく心の奥にずっと残ったまま……。ってことありませんか? あると思うんだよなあ……。
朝ドラでそういう描写は求められていなくて、シンプルかつ誇張された状況や感情表現のほうが求められているような気がするけれど、たまには「なつぞら」みたいな実直なリアリズムもあっていいもので、それをやっているところがとても面白い。
でもあまりにも痛みを人に見せな過ぎてなんとももやもやするのもわかる。とりわけ天陽ファンはショックである。何度か天陽がなつを諦めているところは見てきたとはいえ、唐突に結婚報告、一年経過って放置プレー過ぎる。これが半年のうちの半分が終わった締めにしてはあまりにあっさりしてはいないかともやもやした気持ちは、エンド5秒の「なつぞらアニメーション」を剛男役の藤木直人に描いていたことでホッとなる。なんともトリッキーな仕掛けである。しかも藤木直人、アニメがうまい。センスある。東洋動画に藤木直人というアニメーターのキャラを出したほうがいい。
14週からは、いよいよ後半戦!

【第14週あらすじ】「なつよ、十勝さ戻って来い」 7月1日・月〜6日・土


東洋動画で短編の漫画映画制作が決定した。なつ(広瀬すず)と麻子(貫地谷しほり)はその原画に抜擢され、監督志望の坂場(中川大志)と企画を考えることになった。何でも勝手に決めてしまう坂場のやり方に、なつと麻子は不安を覚える。一方、北海道の柴田牧場ではある女の子が訪ねて来ていた。身分を明かさない彼女をなつの妹・千遥と察した富士子(松嶋菜々子)は、即座になつに電話をかける。なつは会社を早退し、咲太郎(岡田将生)と十勝へ向かうが丸2日はかかる。柴田家のみんなは必死に千遥を引き留めるが、彼女にはすぐに去らなければならない事情があった。


80回あらすじ  7月2日・火 放送


富士子(松嶋菜々子)からの電話で、なつ(広瀬すず)の妹、千遥が十勝の柴田家に来ていると言われたなつ。千遥が富士子に伝えた言葉になつは激しく動揺する。千遥に会いたいなつは、すぐにでも十勝に帰ろうと、会社に許可をもらい早退。知らせを聞いた咲太郎(岡田将生)も、すぐに風車へ。妹の消息がわかったことに安堵する。そのころ十勝では、千遥が柴田家の面々に対し、なつたちが来る前に帰ると告げていた…。



14週のここが気になる。


いよいよ折返し。三ヶ月間引っ張ってきた千遥との物語がついに描かれる!
(木俣冬)

登場人物とキャスト 登場順


奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。これからは酪農の時代だと考え、十勝農業高校で学んでいる。演劇部に入る。
高校卒業後、アニメーターを目指して東京に出てくる。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。孤児院で働きながら勉強している。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。1955年時点では音問別農協組合で働いている。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っていたが、なつが来たことを機にようやく搾乳させてもらえた。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。勉強ばかりして家の手伝いを全然しない。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。甘いものが好き。
なつをほんとうの家族にしたいと願い、照男と結婚させようとする。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院を出て新宿で亜矢美に助けられ、ムーラン・ルージュを経て、浅草の劇場で働いていたが、盗み濡れ衣を着せられ捕まってしまう。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。

2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。貧しい開拓団の八男に生まれ、幼い頃に奉公に出され、泰樹に世話になった恩を感じて尽している。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。

4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。演劇部。高校卒業後、川村屋に修業に出る。

5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。馬が好き。農業をしながら絵を描いている。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。

8回
山田陽平 (31話から)犬飼貴丈 幼少期 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。東京で芸大に通いながらアニメの美術の仕事をしている。なつに絵画の道具を贈った。東洋動画に就職。

9回
なつの父 内村光良…日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。

10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。 
校長先生 大塚洋…音問別小学校の校長先生。
山田タミ 小林綾子…天陽の母。

13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。演劇部に入り衣裳を担当する。「白蛇伝説」のラスト、白蛇として登場し喝采を浴びる。
村松 近江谷太朗…柴田牧場と長い付き合いのあるメーカーの人物。奥様封筒をもってくる。

倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。演劇部の顧問。「魂」が口癖。なつの問題、十勝の伝承を交えて「白蛇伝説」の台本を書く。

14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめ十勝を酪農王国にしたいと考えている。 

19回
門倉努 板橋駿谷 …十勝農業高校の番長。クマとサケを争った逸話をもつ。演劇部に入り、村長役を略奪する。
高木勇二 重岡漠 …十勝農業高校演劇部。メガネ。門倉に役をとられてしまう。
石川和男 長友郁真…十勝農業高校演劇部。
橋上孝三 山下真人…十勝農業高校演劇部。

21回
太田繁吉 ノブ(千鳥)…十勝農業高校の教師。ヤギのチーズは牛より「クセがすごい」と言う。

27回
前島光子 比嘉愛未… 川村屋のマダム
野上健也 近藤芳正… 川村屋のギャルソン
茂木一貞 リリー・フランキー… 角筈屋社長
煙カスミ 戸田恵子… 歌手。クラブメランコリーの看板。ムーラン・ルージュにいた。
三橋佐知子 水谷果穂…川村屋の店員。川村屋社員寮でなつと同室に。咲太郎を「同志」と思っている。
土間レミ子 藤本沙紀…カスミのいるクラブの店員。咲太郎のことが好き。「真心を一晩貸したままだから」返してほしいと思っている。

28回
島貫健太  岩谷健司
ローズマリー  エリザベス・マリー…浅草の踊り子

30回
藤田正士 辻萬長  親分
松井新平 有薗芳記 …浅草の芸人
岸川亜矢美 山口智子 …元ムーランルージュの踊り子。咲太郎を助けた。

31回
下山克己 川島明 …新人アニメーター
仲努 井浦新 … 実力派アニメーター

37回
阿川弥市郎 中原丈雄 … 東京から北海道に移住。彫刻で生計を立てている。
阿川砂良 北乃きい… 弥市郎の娘。

44回
杉本平助 陰山泰… 川村屋の料理長

45回
蘭子 鈴木杏樹… 劇団の女優
虻田登志夫栗原英雄… 劇団の俳優

49回
井戸原昇 小手伸也… 東洋動画アニメーター

55回

森田桃代 伊原六花…仕上げ課の先輩、といっても年齢はなつと同じで19歳。あだ名は「モモッチ」
山根孝雄 ドロンズ石本…仕上げ課のえらい人。
石井富子 梅舟惟永…仕上げ課のベテラン。といってもまだ30歳。
大沢麻子 貫地谷しほり…原画スタッフセカンド。周囲に一目置かれている才能あるアニメーター。
おしゃれしているなつを敵視している。
堀内幸正田村健太郎…動画スタッフ 芸大出身で、線画のきれいさには定評がある。

58回
露木重彦木下ほうか…演出家、第一製作課長
山川周三郎古屋隆太…東洋動画スタジオ所長

66回
泉千恵
岡部たかし
池間夏海

脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト:広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子」
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美  舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一 
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション

制作統括:磯智明 福岡利武

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