実はRQ-4!? イランで撃墜された米軍ドローンに新情報

2019/6/24 10:00 ギズモード・ジャパン

Photo: Shutterstock Photo: Shutterstock

撃ち落とされたドローンの名前を間違えるって、どんだけ…

イランが領空侵犯の米軍ドローンを撃墜した件で、米政府は「MQ-4Cトライトンが地対空ミサイルで撃墜された」と最初発表していたのですが、今ごろになって米軍中央軍(CENTCOM)が、あれはRQ-4Aグローバルホークでしたと言ってます。

トライトンは広域監視型なので領空侵犯するまでもなく監視が可能。「侵犯してねーし!」という主張にはピッタンコだったんですが、違っていたとは…。すこし両国の主張の食い違いを整理しておきますね。

国際水域 (米)vs.領空侵犯(イラン)

まず現場ですが、イラン側は「ホルモズガン州のクモバラク村近辺で領空侵犯を確認後、撃墜した」と報じています。これに対し、米側は「国際水域」と主張。米中央軍報道官ビル・アーバン海軍大佐も米Gizmodoからのメール取材にこう答えています。

米中央軍の調査では、海軍広域水上監視(Broad Area Maritime Surveillance:BAMS-D)任務でホルムズ海峡を飛行中の情報収集・監視・偵察(ISR)用無人機が、6月19日11:35PM(グリニッジ標準時)ごろイランの地対空ミサイルによって撃墜されたことがわかっている。イラン領空を飛行中だったというイランの報道は誤り。国際空域で米軍の偵察機が無抵抗なまま攻撃されたというのが本当のところだ。

地図で整理すると、こうなります。

190622us_drone_map_based_on_iranian_reportsイラン国営メディアが発表した撃墜地点(イラン空域) Google Maps190622us_drone_us_map米国の主張(撃墜地点は青。国際空域) 米軍中央司令部

だいぶ離れていますよね…。ちなみに撃墜目的についてイラン革命防衛隊トップのホセイン・サラミ司令官はタスニム通信にこのように説明しています。

「今回の米機撃墜は、イラン国境を侵犯する外敵には攻撃も辞さないという意志を明確に示したものだ。国境はわれされのレッドライン。これを侵す者は、無傷で帰れるとは思わないほうがいい」

トライトン(訂正前の米) vs. グローバルホーク(イラン)

次にドローンの種類ですが、イラン精鋭部隊「イスラム革命防衛隊(IRGC)」のSepahニュースをはじめとする現地メディアは最初からRQ-4グローバルホークと報じていました。ところが米国政府匿名筋の話として「最新モデルのMQ-4Cトライトン」という報道が出回ると、他国メディアは訂正してこれに追随。情報が錯そうしていました。

でもMQ-4Cトライトンはまだできたてのホヤホヤで、専門家の間からは「え?もう配備されてたの?」という疑問の声も挙がっていました。TIME誌のコラムでおなじみの航空業界ジャーナリストのTyler Rogowayさんもこうツイートしています。

MQ-4Cトライトンが中東にあるわけないよ。初配備先はグアムで、しかも今夏導入予定。あの計画に大幅な変更でもない限り、あれはMQ-4Cではなかった可能性が高い。続報が見ものだね。

案の定、国営イラン通信(IRNA)が発表した写真も炎上して墜落するRQ-4グローバルホークの写真でした。で、ようやく米中央軍もRQ-4Aグローバルホークと正式に認めた、という流れになります。見た目はこんなドローンです。

190622us_drone_global_hawkRQ-4Aグローバルホーク(2010年、アジア南西部) DVIDS

けっこうデカい( RQ-4Aは全幅35.42m )けど、トライトン(全幅39.9m)ほどじゃないです…。

撃墜映像で見てみると…

こちらはIranMilitaryTubeが20日公開した撃墜の瞬間を捉えたとされる映像。

領海は陸から12海里(約22.2km)で、空域もこれと同じ距離です。そんなに離れてるようには見えない気がするのですけど、これは専門家の方に聞きたいですね…。

開戦に向けてロビー活動(米)vs.戦争はしたくない(イラン)

さて、米軍ドローンがなんでこんなところをウロウロしているのかと申しますと、オマーン湾で6月13日にオイルタンカー2隻が攻撃された件で友好国(日本など)のために現場検証してるんだそう。事件の前の週にも、危うくイランにドローンが撃ち落とされそうになったと、米中央軍報道官アール・ブラウン中佐はABCニュースに15日語ってます。

「イラン軍のSA-7地対空ミサイルの改良型が6月13日6:45AM(現地時間)、オマーン湾上空で米軍MQ-9リーパーの撃墜を試みたことも軍の調べでわかっている。ケミカルタンカー『コクカ・カレイジャス』攻撃の情報収集・偵察任務を妨害する目的と思われる」

一方、一連のドローン攻撃について、イラン国家安全保障最高評議会のアリ・シャムハーニー書記は飽くまでも空域防衛のためだとイラン国営メディアIRNAに説明。

「イランと米国の間に軍事対立は起こりえない。戦争する理由などないからだ。ほかの国に圧力をかけたいがために難癖をつけるのは米政府高官の常とう手段と化している」

もうひとりの重鎮、イラン国家安全保障外交委員会ヘシュマトラ・ファラハットピセー委員長も国連憲章第7条に基づく国連介入を呼びかけています。

「米軍ドローンのイラン領空侵犯は明らかな国連憲章違反であり、国家主権侵害である」(Mehrニュースより)

でも米国は国連介入なんてハナから考えていなくて、トランプ政権はイラン攻撃に向けて国会のロビー活動に励んでるのだとか(New York Timesが報じた新情報)。外交のトップ、マイク・ポンペオ国務長官も今年の春ぐらいから「イランとアルカイダは仲良し」と急に言い始めていて、スンニ派のアルカイダと国民の9割がシーア派のイランが、どう逆立ちしたら手を組むんだ!と、議員にロジックの綻びを指摘されたりもしています。

CBSの日曜(16日)の報道番組「Face the Nation」に出演したときも、百回繰り返した下記の談話のところは威勢がよかったのだけど…

「イランに核兵器を持たせるわけにはいかない。前政権も、イランは核保有が技術的に達成可能と警戒を強めていた。だからこそ米国はあのひどいイラン核合意(JCPOA)から離脱し、正常な国家として素行を改めるよう働きかける独自の政策を進めることにしたのだ」

国会の承認なしにイランを攻撃する法的権限がトランプ政権にあるのか、それともないのか、とキャスターに食い下がられると、のらりくらりとはぐらかしてしまいました。

「アルカイダと仲良し」という長官の話は議会でもあまり信じられていないのがせめてもの救いですが、最近はペロシ下院議長もすっかりトーンダウンしてますし(あんまり弾劾、弾劾と追い詰めるとトランプに同情票が集まるので)、なんだか国会議員もあんまり表立ってトランプを批判する人がいなくなってます。そんな中、一部にはこんな不穏な動きもあるんだそうですよ?

トランプ政権は、国会の承認が要らない軍事攻撃もある、と主張する可能性もある。たとえばナタンツ核施設の攻撃。これは米国とイスラエルの軍上層部でずっと検討されてきたことだ。また、ウィリアム・P・バー司法長官も大統領の一方的な宣戦布告権限については異様に寛容な見方を示している(New York Times)

イラク戦争と不気味なほどパラレル

アメリカで人気政治ドラマを見ていると、政権の支持率が落ち込むと、核の脅威をねつ造してとりあえず開戦するシーンが多くて、笑っちゃうんですけど、今の状況はあの2003年のイラク戦争のときと恐ろしいほどパラレルだとUSA Todayは書いてます。そう、米国が「おまえ大量破壊兵器(MDW)隠し持ってるんだろ」とイラクに難癖つけて攻め入り、小泉政権もずっと後ろで水くみ任務等で派兵し、蜂の巣にしてから「あれ?ない…」となった史上稀に見る汚点。あんなことにならないように見守っていきたいですね、はい…。

このネタ読んでどう思う?

投稿ありがとうございます。
よかったらログインしてコメントも書きませんか?閉じる

このネタへのコメント11

コメントを投稿するにはログインが必要です。

ログインしてコメントを書く

カテゴリ別アクセスランキング

トップ