乳ガンになって働けず生活保護に…中年で一文無しになった悲劇

2019/6/18 08:54 日刊SPA!

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 人生も中間折り返し地点となり、あとは老後に向けてもうひと踏ん張り……というところで、これまで築き上げてきた資産が強制消去。若い頃のように無理も利かないなか、突然に訪れた悪夢にどう対処すればいいのか。さまざまな実例と類型から考察した。

◆激務でガンに気付かず、辞める人も多い
~ 安井佳苗さん(仮名・44歳)貯金40万円→ゼロ ~

 体の異変を放置した結果、最悪の方向に転がるケースは決して珍しくない。安井佳苗さん(仮名・44歳)は介護の仕事を続けていたある日、胸にしこりができているのを発見した。徐々に赤紫色に変色してきたが「軽い乳腺炎だろう」と自己診断し、休みもめったに取れないので放置。

 だが、同居する家族から「絶対に病院に行け」と言われ、休日診療のある病院で乳房の超音波検査をすると「100%乳ガンです」と宣告されたという。

「いつも激務でぐったりしていたので、体の異変に気づかなかったんです。同僚もガンで辞める人が多いんですが、介護のストレスって体に悪いんですかね」

 安井さんの場合、治療費として毎月5万~8万円が飛んでいき、老親を養っていることもあり、貯金はみるみる減少。

「その後、やむなく生活保護の申請をしたのですが、貯金があると申請できないと窓口で言われ、40万円残っていた貯金はすべてカードローンの返済に充てました」

 在宅治療と同時に親の世話もあり、復職のメドは立っていない。

◆血尿放置で突然の膀胱摘出、仕事も家族も失い窮地に
~ 米田翔太さん(仮名・47歳)貯金400万円→2万円 ~

 どんなに健康に気をつけていても、中年ともなると無理が利かず病魔がある日突然襲い、そこからドミノ倒しで人生が狂っていくのもまた中年無一文の特徴だ。運送会社で働いていた米田翔太さん(仮名・47歳)は学生時代は野球部で、体力には自信があったという。

「しかし40代になると、激務にだんだん耐えられなくなり、ある日血尿が出たんです。同僚たちは『40過ぎるとみんな一度は出る』なんて軽いノリだったので放置していたのですが、何週間も止まらず検査したら、膀胱ガンでした」

 すぐに膀胱摘出手術を受けることになり、人工膀胱の設置を余儀なくされる。手術代は高額療養費制度のおかげで大したことはなかったが、働けない状態での家のローン返済に苦しめられた。

「夫婦仲も険悪になり、妻子は実家に帰って連絡すらよこさなくなり、最終的に離婚しました。6年前に背伸びしてローンを組んで一戸建てを買ったのですが、それも競売にかけられる予定です」

 幸い、障害者手帳4級を取得できたものの、ローン残額を返すのが精いっぱいで、今は自己破産の方法を弁護士と話し合っている。

「人工膀胱を設置している人のことを『オストメイト』と呼ぶそうです。オストメイト専用の再就職支援サービスや助成金の手続きを勧められたりするのですが、絶望感からまったく意欲がわかず、部屋から一歩も出られない状態です」

 コツコツと貯めてきた400万円の貯金も1ケタになり、生活立て直しの光は見えないでいる。

◆<専門家はこう見る>

・ファイナンシャルプランナー藤川太氏……病気、そして特に精神疾患に対応する保険は少ないので、社会保障や福祉へ

・レンタルCFO鈴木吾朗氏……転入者向けの補助金や家賃補助などの施策のある自治体に転入するのも選択肢に

・弁護士 川口洸太朗氏……長時間労働の常態化や勤怠管理、残業など「おかしい」と思ったら弁護士に相談を

【藤川太氏】
ファイナンシャルプランナー。自動車メーカー勤務を経て、FPに。「家計の見直し相談センター」にて2万世帯を超える家計の見直しを行う。近著に『退職家計やりくりノート』(きんざい)

【鈴木吾朗氏】
レンタルCFO。複数企業で総額50億円以上の資金を調達した経験がある、資金調達および財務管理のプロ。ベンチャーのスタートアップを支援するリンクスを運営

【川口洸太朗氏】
弁護士。美容クリニック、飲食店、風俗店などまで幅広い案件を手掛ける。再開発に伴う建物や土地の明け渡し交渉など、トラブルの現場にも数多く携わる

取材・文/週刊SPA!編集部
― ある日突然[中年で無一文]の地獄 ―

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