【働きながら妊活しましょ】日本の「着床前診断」はどうなっている?

2019/6/17 12:00 Suits-woman.jp

「着床前診断」という言葉を聞いたことがありますか?不妊治療を続ける中で、自身の体質や遺伝子に問題があるのでは?と不安になる人も少なくありません。今回は少しディープな話題。「着床前診断」とは何か、認定妊活カウンセラーの笛吹和代さんにうかがいます。

着床前診断で何がわかるの?

着床前診断とは、体外受精や顕微授精で受精させてできた受精卵の胚(受精卵が成長して複数の細胞に分裂したもの)の卵子の一部を、子宮に着床する前に検査し、染色体や遺伝子に異常がないか検査することです。診断の結果、異常がない可能性の高い胚だけを子宮に戻します。

この検査、診断を行なう意味は、「事前にわかっている特定の病気にかかっていない子どもを産む」ことや「次の妊娠で流産の割合を減らす」ことが挙げられます。

1990年ごろから始まった診断法で、日本では2004年から始まりました。といっても、日本で認められているのは、あくまで治療の一環として。たとえば重い遺伝性の病気が子に遺伝する可能性がある人や、染色体転座に起因する流産を繰り返しているといった場合のみです。こうした状況にない、純粋な検査法としては認められていません。倫理的な面や医療技術的にまだクリアできていない問題がある、というのが日本産婦人科学会の見解です。

つまり、日本では着床前診断はまだ一般的な検査法ではありません。

現在、日本で着床前診断を受けるには、日本産婦人科学会に申請して審査を受ける必要があります。認可された場合だけ受けられます。どのクリニックでも受けられる検査ではありません。

ただ、現状では日本の不妊治療にガイドラインがなく、したがってどういう状態なら着床前診断を受けられるかの基準もわかりにくいものです。そのため一般の不妊治療を行っている人が着床前診断を受けることはかなりむずかしいのが現状です。

日本ではまだ受けにくい検査

一方、不妊治療中の、特に初期流産を繰り返した患者さんが着床前診断を受けてみたいと思う気持ちはよくわかります。

はじめに不育症が疑われた場合、はさまざまな検査を行ないます。子宮筋腫がないか、子宮の形に異常がないか、血液凝固系に異常がないか、抗リン脂質抗体を持っていないかなどなど。しかしそれでも原因が特定できないこともあります。

着床前診断が受けられれば、たとえば、体外受精や顕微授精後、分割した受精卵を調べて、仮にすべての胚に異常があったら出産まで育つ可能性は低いのですから子宮に戻すことはしません。そして次の採卵の準備を始めることができます。時間をムダにせず次に進むことができるのです。1年、半年といった時間が貴重な女性にとっては、メリットのある診断法といえるでしょう。

また、最近よく聞くのが、体外受精をして胚の状態はとてもいいのに、妊娠反応が出ない(胎嚢が確認できない)ケースです。この場合は流産とは見なされません。そのため何度かこれを繰り返しても流産ではないので、着床前診断の対象になりません。患者さんからすれば、原因がわからないまま体外受精や顕微授精を続けなければならず、それ自体がストレスになりかねません。

日本では現在、着床前診断ができるのは限られた指定病院のみで、先述したようにそもそも受けられる対象がかなり限られます。そのため、着床前診断が解禁されている海外へ渡航して診断してもらうという手段をとる人もいます。

このように、不妊治療をつづける患者さんにとっては悩ましい状況です。実際に着床前診断の適用範囲拡大を望む声も耳にします。臨床レベルでは行なわれているとはいえ、いつ一般患者に解禁されるのかは何とも言えません。ネット情報などから、日本でも着床前診断が簡単に受けられると早とちりしてしまう人がいますが、決してそういう状況ではないので気をつけてください。

賢人のまとめ
日本では着床前診断が行なわれる対象はごく限られており、その施術ができるのも限られた病院だけ。不妊治療中の患者さんが普通に受けられる検査ではありません。一般患者への適応を望む声は大きくなっていますが、先行きは何とも言えないのが現状です。

プロフィール

妊活の賢人 笛吹和代

働く女性の健康と妊活・不妊に関する学びの場「女性の身体塾」を主宰する「Woman Lifestage Support」代表。日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー。臨床検査技師でもある。化粧品メーカーの開発部に勤務中、29歳で結婚。30代で不妊治療を経て出産。治療のために退職した経験から、現在は不妊や妊活に悩む女性のための講座やカウンセリングを行なっている。

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