「なつぞら」64話。井浦新演じる仲努が語る「白蛇姫」の声優変更話。東映動画の「白蛇伝」ではこうだった

2019/6/14 08:30 エキレビ!

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連続テレビ小説「なつぞら」 
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

第11週「なつよ、アニメーターは君だ」64話(6月13日・木 放送 演出・木村隆文)視聴記録


「白蛇姫」の原作「白蛇伝」では森繁久彌が演じていた
なつ(広瀬すず)が東洋動画に入社して初めて参加したアニメ「白蛇姫」の映像が完成し、声を吹き込むことになった。本当は、「プレスコ」と言って、事前に俳優に演じてもらい、それをもとにして絵を作っていく手法を行っていたが、制作途中で脚本が変わってしまったため、声を録り直さないといけなくなった、と仲(井浦新)は言う。プレスコした俳優たちには断られてしまい、新たに亀山蘭子(鈴木杏樹)と豊富遊声(山寺宏一)がふたりで複数の声を演じることになった。
豊富は活動弁士出身で映像に声をあわせることも声の演じ分けも得意。かたや蘭子ははじめてのことに戸惑うが、演出の露木(木下ほうか)の要求は容赦なかった。

このアフレコ場面で、放送当日「ごごナマ」にもゲスト出演した鈴木杏樹が大活躍。ヒロイン・パイニャンの声と侍女で青魚の妖精の声と使い分ける。とりわけ、侍女の声。声を変え過ぎて「やり手ババアみたいな声じゃないんですよ」とダメ出しされてしまったり、「もっとしなをつくって」と言われくねくねしなを作りながらしゃべったり。その多彩さをひじょうに楽しく見ることができた。山寺宏一はベテラン声優だから主人公のかっこいい青年から巨漢の悪者など自由自在で、これまた楽しく見ることができた。もうひとり、演出家役の木下ほうかが、自分のやりたいことを進行するために話術を駆使してさくさく進行する感情の見えない人物をうまく演じている。
アフレコ場面と関係ないが、作画スタジオの場面で、絵を描いている貫地谷しほりにも注目したい。まっすぐ机に向かわず斜めに腰掛けて絵を描くというカメラを意識したポーズをとっている。どうしても絵を描くポーズが限られてしまうのでちょっと工夫している。本人か演出家の指示かはわからないが、日常でもすこし崩して座ったり作業したりはあることなので自然な感じがした。

さてさて、「白蛇姫」。これは東映動画の「白蛇伝」が原作になっていることはオープニングにも掲載されているし、以前の記事でもすこしだけ紹介した。もとになった「白蛇伝」(1958年)は東映動画がつくった日本初の総天然色長編アニメーション。6月14日の「あさイチ」に出る井浦新演じる仲努のモチーフになっていると思われるアニメ界の至宝・森康二と、小手伸也演じる井戸原のモチーフになっている大工原章のふたりが中心になって原画を描いた作品だ。中国の伝説をもとにした白蛇の化身と青年の恋物語という概要も絵も「白蛇伝」と「白蛇姫」はほぼ同じながら、わざわざいまの東映アニメーション(東映動画から名前が変更されている)のスタッフが新たに描き起こしているというユニークな試みになっている。

咲太郎(岡田将生)が「森繁久彌だったらもっとうまい気がします」と言っているが、「白蛇伝」で声を担当したのはその森繁久彌である。もうひとりが宮城まり子だった。「白蛇伝」はプレスコどころか、佐久間良子、水木襄、松島トモ子が本編そっくりの扮装、ヘアメイクをして演じて撮影したものを作画に活かす、ディズニーが行っていた「ライブアクション」という手法を試みたが、実際の作画には生かされなかったと、映像研究家・叶精二による「日本のアニメーションを築いた人々」に記されている。この本は奥山玲子をはじめとして、仲、下山(川島明)、井戸原(小手伸也)の参考にしたのではないかと思われる人物についても詳しく書かれていておもしろく読めるうえ、彼らが「白蛇伝」でどの作画を主に手がけたかについても書かれていて興味深い。奥山玲子は動画で参加していると本にはあるが、「なつぞら」ではなつは仕上げとして参加し、一箇所だけ動画に自分の描いた絵が採用されている。できあがったアニメを見てなつが一生懸命考えて描いた絵が使われている部分に感動する場面はドラマならではだ。

また、「白蛇伝」で注目したいのは、「写楽考」や「北斎漫画」、「弥々」などの劇作家・矢代静一(毬谷友子の父)が脚本家とはべつに台詞構成として参加していることだ。日本初の長編カラーアニメは、矢代、森繁、宮城と演劇人が参加していたと思うと、なつが高校時代、演劇をやっていたり、咲太郎が新劇に関わっていたり、雪次郎が演劇好きだったりする設定にも意味があるように感じる。アニメ映画と演劇には縁が深いのだ。この頃、ライブアクションという俳優の芝居と台詞が重要視されたものの、アニメーターたちの動きに対する積極的な考え方とがまだうまく噛み合わず、やがてアニメーターたちが演技者として絵を動かしていくという発想が生まれていく。まだこれ!という決まった方法論が確立されず、いろいろなジャンルが混沌としているときの物語は可能性というエネルギーにあふれていて心をざわつかせる。

第11週 「なつよ、アニメーターは君だ」(6月10日・月〜 演出: )あらすじ


東洋動画で働くなつ(広瀬すず)たちは、数万枚におよぶ動画を描き上げ長編アニメ映画「白蛇姫」を完成させた。風車に帰ると、新婚旅行で東京を訪れていた照男(清原翔)と砂良(北乃きい)の姿があった。思い出話に盛り上がる中、咲太郎(岡田将生)も帰宅。2人の兄が初めて顔を合わせる。数日後、咲太郎の劇団の公演が幕を開け、なつは雪次郎(山田裕貴)とともにに訪れる。主演女優・亀山蘭子(鈴木杏樹)とも会い、なつは大きな刺激を受ける。そんな中、なつに再びアニメーターになるチャンスが回ってくる。


第66回(6月15日・土 放送)あらすじ


なつ(広瀬すず)が試験に合格、ついに東洋動画のアニメーターとなった。作画課では仲(井浦新)や井戸原(小手伸也)が若手のアニメーターを集め、次回作「わんぱく牛若丸」のキャラクターの募集をすると発表。駆け出しのなつも挑戦することを決意する。帰宅後も、キャラクターを思い浮かべ描くなつ。そのとき、咲太郎(岡田将生)がなつの部屋にきて、信哉(工藤阿須加)がなつを訪ねてきていると声をかけてきた…。



第66回ここが気になる


次回作「わんぱく牛若丸」。「牛若丸」を題材にしたところが気になる!
(木俣冬)

登場人物とキャスト 登場順


奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。これからは酪農の時代だと考え、十勝農業高校で学んでいる。演劇部に入る。
高校卒業後、アニメーターを目指して東京に出てくる。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。孤児院で働きながら勉強している。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。1955年時点では音問別農協組合で働いている。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っていたが、なつが来たことを機にようやく搾乳させてもらえた。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。勉強ばかりして家の手伝いを全然しない。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。甘いものが好き。
なつをほんとうの家族にしたいと願い、照男と結婚させようとする。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院を出て新宿で亜矢美に助けられ、ムーラン・ルージュを経て、浅草の劇場で働いていたが、盗み濡れ衣を着せられ捕まってしまう。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。

2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。貧しい開拓団の八男に生まれ、幼い頃に奉公に出され、泰樹に世話になった恩を感じて尽している。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。

4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。演劇部。高校卒業後、川村屋に修業に出る。

5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。馬が好き。農業をしながら絵を描いている。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。

8回
山田陽平 (31話から)犬飼貴丈 幼少期 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。東京で芸大に通いながらアニメの美術の仕事をしている。なつに絵画の道具を贈った。東洋動画に就職。

9回
なつの父 内村光良…日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。

10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。 
校長先生 大塚洋…音問別小学校の校長先生。
山田タミ 小林綾子…天陽の母。

13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。演劇部に入り衣裳を担当する。「白蛇伝説」のラスト、白蛇として登場し喝采を浴びる。
村松 近江谷太朗…柴田牧場と長い付き合いのあるメーカーの人物。奥様封筒をもってくる。

倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。演劇部の顧問。「魂」が口癖。なつの問題、十勝の伝承を交えて「白蛇伝説」の台本を書く。

14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめ十勝を酪農王国にしたいと考えている。 

19回
門倉努 板橋駿谷 …十勝農業高校の番長。クマとサケを争った逸話をもつ。演劇部に入り、村長役を略奪する。
高木勇二 重岡漠 …十勝農業高校演劇部。メガネ。門倉に役をとられてしまう。
石川和男 長友郁真…十勝農業高校演劇部。
橋上孝三 山下真人…十勝農業高校演劇部。

21回
太田繁吉 ノブ(千鳥)…十勝農業高校の教師。ヤギのチーズは牛より「クセがすごい」と言う。

27回
前島光子 比嘉愛未… 川村屋のマダム
野上健也 近藤芳正… 川村屋のギャルソン
茂木一貞 リリー・フランキー… 角筈屋社長
煙カスミ 戸田恵子… 歌手。クラブメランコリーの看板。ムーラン・ルージュにいた。
三橋佐知子 水谷果穂…川村屋の店員。川村屋社員寮でなつと同室に。咲太郎を「同志」と思っている。
土間レミ子 藤本沙紀…カスミのいるクラブの店員。咲太郎のことが好き。「真心を一晩貸したままだから」返してほしいと思っている。

28回
島貫健太  岩谷健司
ローズマリー  エリザベス・マリー…浅草の踊り子

30回
藤田正士 辻萬長  親分
松井新平 有薗芳記 …浅草の芸人
岸川亜矢美 山口智子 …元ムーランルージュの踊り子。咲太郎を助けた。

31回
下山克己 川島明 …新人アニメーター
仲努 井浦新 … 実力派アニメーター

37回
阿川弥市郎 中原丈雄 … 東京から北海道に移住。彫刻で生計を立てている。
阿川砂良 北乃きい… 弥市郎の娘。

44回
杉本平助 陰山泰… 川村屋の料理長

45回
蘭子 鈴木杏樹… 劇団の女優
虻田登志夫栗原英雄… 劇団の俳優

49回
井戸原昇 小手伸也… 東洋動画アニメーター

55回

森田桃代 伊原六花…仕上げ課の先輩、といっても年齢はなつと同じで19歳。あだ名は「モモッチ」
山根孝雄 ドロンズ石本…仕上げ課のえらい人。
石井富子 梅舟惟永…仕上げ課のベテラン。といってもまだ30歳。
大沢麻子 貫地谷しほり…原画スタッフセカンド。周囲に一目置かれている才能あるアニメーター。
おしゃれしているなつを敵視している。
堀内幸正田村健太郎…動画スタッフ 芸大出身で、線画のきれいさには定評がある。

58回
露木重彦木下ほうか…演出家、第一製作課長
山川周三郎古屋隆太…東洋動画スタジオ所長

脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト:広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子」
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美  舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一 
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション

制作統括:磯智明 福岡利武

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