不機嫌になって黙り込む…それ「パッシブアグレッシブ」かも?

2019/5/31 15:06 AM

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今でもわたしを苦しめる、ふたつの悪夢

たまに見る悪夢がふたつあります。
そのひとつは煙草を吸う夢。かれこれ12年ほど前、フリーランスになったのを契機に禁煙を決意し、以来一度も吸っていないし、正直なところ、もう吸いたいとも思っていないのに、なぜかたまに夢に見るのです。

「わー! 吸っちゃった!!!」と後悔したところで目を覚まして「あっ……良かった。吸ってなかった」と胸を撫で下ろす。
煙草の中毒性がまだ完全に抜け切れていないのか、はたまた潜在意識に「二度と吸わぬ」という強迫観念を強く持ちすぎているせいかはわかりませんが、いまだにわたしが煙草に囚われていることを思い知って、背筋が寒くなります。

もうひとつの夢は、かつての恋人にモラハラを受けている夢です。
例えば先日見たのは、カメラからフィルムが抜き取られていることに気が付いた彼が、不機嫌になる夢でした。「なんでフィルムがないの?」と尋ねられて、「知らない」と答えるわたしを「なんで知らないの? 僕の家に最後までいたのは君でしょう?」と問い詰めてくる。
夢の中のわたしは「自分の持ち物くらい、自分で管理しろよ」と心の中で毒づきながらも、彼が不機嫌に黙り込むのが嫌で、必死にあたりを探したり、「きっと見つかるよ」などと、彼にフォローの言葉を投げかけている。

すると場面が代わり、現実には存在しない、わたしの“親しい女友達”という立場の女性が現れて、こう言います。「あなたが触ってなくて、彼自身にも心当たりがないというのならば、あなたと彼以外の誰かが、家にあがったってこと。彼の浮気を疑ったほうがいい」。ああ、なるほど。そういうことか! と、心得た瞬間に、目を覚ましました。最悪の目覚めです。

起きて夢だったことに気が付いた後、「あの彼は、これから先のわたしの人生には、もう登場することはない人だ」ということを思い出してほっとし、そして次に「ちくしょう、浮気のことを責め立ててから目覚めたかった」とやり場のない怒りに震え、そして最後には「ところで、カメラのフィルムっていつの時代の話よ」と夢の理不尽さに突っ込みを入れました。
もちろん現実には、カメラのフィルムがなくなったことはないし、彼が浮気をしていたとも思えません。あくまでも夢。けれどもわたしはいまだ、こういう夢を見る。

些細なことで不機嫌アピールをする恋人

彼と付き合っていた当時。カメラのフィルムがなくなったことはないけれど、その代わり、カレーのときに福神漬けがなかったり、マヨネーズが残りわずかだったり、中濃ソースがなかったりは度々ありました。

わたしはカレーに福神漬けがなくてもいいし、マヨネーズがないならドレッシング、中濃ソースの代わりにウスターソースをかければいいじゃない。なんなら醤油もポン酢もあるんだし、という考えの持ち主ですが、一方で彼は、不機嫌そうに「どうするの?」と尋ねてくるのが常でした。

どうするもなにも、ないものはない。今ならはっきりそう言う……いや、彼と付き合いたての頃もそう言ってました。「福神漬けくらいなくても、まぁいいじゃん」と。けれど、途端に彼は仏頂面になり、まったくしゃべらなくなってしまうのです。

「そういうふうに黙り込まれると、空気が悪くなるからやめてくれるかな」と提案をしたこともあったけれど「せっかく楽しみにしていたカレーなのに、福神漬けがなくて残念な気分なんだから、仕方ないだろ。悲しむくらい、いいじゃないか」という返事がかえってきた。
そんなことで悲しむなら、福神漬けくらい買ってきてやるわ、とスーパーに向かったのですが、たぶんその対応は完全に間違えていた。そんなものは本人に買いに行かせればよく、「面倒だから」と買いに行かないくせに不機嫌なアピールを続けるのならば、突き放せばよかったのです。

だから、突き放すことをせず、彼の顔色を読みすぎていたわたしが、どんどんと彼をモラハラ男へと育て上げたのかもしれないと、ずっと自分を責める気持ちがありました。けれど、最近ある言葉を知ったことで、それは大間違いであったと気が付いたのです。

知識を得ることで、心を癒せる

「パッシブアグレッシブ」。怒りを直接的には表現せず、押し黙ったり、ふさぎ込んだ態度を取るなど、意識的無意識的にかかわらず後ろに引くことで他者を攻撃することだそうです。受動的攻撃行動。彼の態度は、まさにそれ以外のなにものでもない。

だって、調味料ばかりでなく、パンにマーガリンを塗るときにバターナイフがないことでも、彼は同じように機嫌を損ねていた。バターナイフの代わりにスプーンを使うことは、黙り込んで食卓の空気をぶち壊すほど、悲しいことでしょうか。
彼が押し黙っていたのは、悲しいからではなく、自分の思い通りにならない状況が許せなかった、もしくは、懲らしめるいい言い訳が見つかったとして、わたしのミスをあげつらっていただけだった。

昔の恋人からモラハラを受ける夢を見る度に、わたしは自分で思っているよりも、深く傷ついていて、それはいまだ癒えていないことに気が付いて、これまた背筋が寒くなります。けれども「パッシブアグレッシブ」という概念を知ったことで、「わたしのせいじゃなかった」と、少し気持ちが楽になりました。

知識を得ることは、心を癒す手段を手に入れること。だから、恋人にしょっちゅう理不尽な気持ちにさせられたり、つらい思いを感じたりしている人は、ぜひ、進んで知識を得ることをおすすめしたいです。

Text/大泉りか

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