「まず僕は(妻に)口答えはしない」ワンオペ主夫・樋口毅宏インタビュー【中編】

2019/5/20 10:30 ウレぴあ総研

作家でエッセイスト、サブカルウォッチャーとしても知られ『タモリ論』等のベストセラーも出しておられる樋口毅宏さん。

タレント弁護士・三輪記子さんとの夫婦生活をぶっちゃけた男の育児日記『おっぱいがほしい!』の衝撃から約1年半、さまざまなスタイルの男女や家族関係のあり方に迫った新刊『東京パパ友ラブストーリー』も、ワンオペ主夫でなければ書けないリアルさに満ちています。

が、ゲスな読者として気になるのはズバリ、樋口ご夫妻のパワーバランス。

先日紹介したハピママの記事、「妻たちの闇に震える!?ワンオペ主夫・樋口毅宏インタビュー【前編】」に続く、中編インタビュー。

“猛禽類(もうきんるい)妻”の暴れっぷりがスゴイ!

――三輪さんをあれだけちょくちょくテレビやネットでお見かけするということは、いまも樋口さんがワンオペをされているんですよね?

となると…樋口さんが“猛禽類妻”と呼ぶ三輪さんとの暮らしって、どのように成り立っているんでしょうか。

樋口毅宏さん(以下、樋口):えーーーーーーーっとですね(笑)

そもそもうちの夫婦はツイッターで出会いまして。「樋口さんの子どもが欲しいです、籍も入れなくていいです、お金も要りません、養育費も要りません、樋口さんの子どもが産みたいだけですから」って口説かれて。

で、気が付いたら、彼女が所属する芸能プロダクションの要請により籍を入れることになり、妻の仕事の都合で、僕は生まれ育った東京を初めて離れて京都で暮らすことになり、息子の面倒をワンオペで見るという、ほんとにありがたい生活になったワケです。

弁護士でも、しゃべりのうまい、口先だけの人間を「八百代言」といったりするんですけれども、妻にも言ったんですが「まさにお前だな」と。気が付いたらアレよアレよと懐柔されていたっていうね。

でも敵もさすがというか、お互いにこの3年余りで経験を積んできましたから、以前ほどの、窓ガラスが震えるほどの怒りを引き起こすことは、最近はないですよ。少なくとも今年に入ってからは、まだないです。

――今日はまだ、1月の末なんですが(※インタビューは2019年1月31日に実施)。

樋口:以前だったら考えらんないです、1カ月もないなんてのは。

――一体どんなことをやらかして、そんなに怒られるんですか?

樋口:ほんっとに些細なことなんです、些細過ぎて、思い出せないレベル?

例えば僕が、赤ん坊を置いて飲みに行っているだとか、ほかの女性と会っているだとか、ギャンブルをやっているだとかいうんなら、彼女が怒るのも無理ないと思うんです。

でも、そうだなぁ、僕は土日、とにかく、妻には寝てほしいんですよ。というのも、昨日も一昨日も朝5時半起きで帰宅は夜中というぐらい多忙な毎日ですから、身体を休められる時には休めてほしい。

で、日曜日は息子に朝ごはんを食べさせて、公園に連れて行って遊んで、それから買い出しもして帰ってきて、いろいろ用意していたら妻が12~13時間睡眠の後に起きてきて、作ったご飯を食べて、また寝てくれて。

あーよかったってホッとして。

夕方になって、妻が二度寝から起きてくるじゃないですか。

「台所が片付いてない!」

で、泣き叫びですよ…大号泣?

チャーハンを作ったフライパンと、お皿がキッチンシンクに放置したままなのが許せない。

おかげさまでその躾以来、料理が終わったら洗って片付ける、寝る前にキッチンシンクが空っていう習慣をつけていただきました。日々、鍛えていただいています。

でも…「今日はちょっと疲れちゃったからなぁ」という日とか、あるでしょ?

――ありますよーッ!私も恥ずかしながら今朝、子どもが食べたご飯のお皿、洗い桶に入れたまんまで取材に来ちゃいました・・・夜、洗おうかなって。

樋口:でしょ?フツーでしょ?まとめてやるから!って。

あの時も「俺、いま新日本プロレスの生放送見てるから!コレ終わったら洗うから!」って言ったんですけど、妻はムスーッ、ブスーッとしていて。

あ、もうこれはヤバいなって。

その時点で俺、テレビには全然集中できなくなっているんですけど。「飯伏すげー、すげーよぉ」とか、わざと大声で言ったりしてね、暗に「一緒に観ようよ」って誘ってみたりしてるんですけど。

怒りが、ピシピシピシッと…もう、ダメでしたねぇ。

ほんとに、そんな些細なことばっかりで。

「その言葉尻、取ります?」みたいな。「そういう曲解ができるんだ、すっげーな弁護士」みたいな。「そう来たか!」の連続なんですよね。

――やり込められてばかり、ということですか。それで樋口さんが、どうやってメンタルを保っているのか、ものすごく興味あるんですけど。

産後女性は大変だ!目指すはイチロー?

樋口:まず僕はですね、口答えはしない。

――え、反論しないんですか。ストレスたまりませんか。

樋口:初期の反省点を踏まえて、徐々に習得していった技術として。

あっちが何か言ったとしても、即座に返してはいけない。

自分に対して「ハイ、言いたいだろ?言い返したいだろ?いまボールを頭にぶつけられたんだから、すぐに投げ返したいだろ?」と思っても、頃合いを見てボールを返す。

タイミングを計るんですよ、時が流れてから、あちらが平穏な時に言えばいいんです。

そんな術(すべ)を、調教のおかげで身に着けることができました。

――それって、タイミングを見ても十分に返せていますか。10個ボールが来たら10個返せてます?

樋口:いいですか?ボールが10個来たら、2個打ち返せたらいいじゃないですか。10球の内、3球打てたら3割!イチローと同じレベルですよ!

三振だって凡打だって、あっていいんです。3割行けたら、それでいいじゃないですか。

――では、対する三輪さんは?10割バッターなのではありませんか。

樋口:ところが妻もですね、妻の立場で考えてみたら、やっぱり耐えていると思うので。

僕は僕でこういうメンタリティーというか、小説を書いている時は張りつめてピリピリしていますし、新刊が出たとなったら書店周りをして「どこにも置いてなかった、アァ!」という日もあるんですね。

妻も弁護士という仕事柄、いろんな人を見ていますから、プロファイリングが彼女の中でできているんです。

だから妻が帰宅した時に、僕が息子をあやしながら「おかえりー」って言っても、すぐに玄関に行かないと「コイツは今日なんかあったな」とか、感じ取っている。

息子を風呂に入れているワケでもないのに、笑顔で三つ指ついて迎えないと「今日のタケちゃんは腹に一物抱えていやがるな」っていうのを、敏感に察知することができていると思います。

子どもももう、3歳になりますしね。

――お互いに察し合えるようになってきたのも、夫婦や家族として時を重ねたから、ということでしょうか。

樋口:それもありますけど、一方で、もっとフィジカルな面もあって。

高齢出産のダメージを、やっと3年経って、脱することができたみたいなんですね。

本人曰く、産後3年は頭も身体も回らなくて、テレビに出ていても、今までだったらパッとすぐ出る一言が出ない。固有名詞だろうと言い回しだろうと出てこない。

番組で「三輪さーん?」って振られて、気の利いたコメントができないのが辛くて辛くて。

家でも同じような感じで、頭が働かない身体が動かない、とにかくしんどい。

穏やかな時に話してくれたんですけど、こんなんじゃなかったっていう苛立ちが、ずっとあったそうです。

僕は背中をさすって同情してね。「すまないなぁ、俺が代わりに子ども産んであげられなくて」って言ったら「ホントだよーッ」って、またキレられたんですけどね。

「それ、やめようよ、男に産めっていうのは、それもハラスメントじゃない?」って僕、言うんですけど。

この3年余り、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、でも終戦はまだ、ほど遠い・・・

いまのところ、38度線で休戦協定が一応、かろうじて結ばれているくらいの。でも息子という人質がいますから、板門店を家庭内で行き来しているような状況です。

――といっても息子さんは、どちらにとっても人質になり得ませんか?

樋口:そうなんですよねぇ、ハハハ!

でもその人質を預かっている時間は、僕の方が圧倒的に長い。オムツ替えてる回数も、2桁は僕の方が多いですけどね。

どこのご家庭もそうかもしれないんですが、子どもの誕生から3年もすれば、夫婦の関係性に変化も出てくるでしょう?

例えば、我が家でもですね、妻が東京で事務所を開くことになって、京都からあらためて東京に戻ったり。ありがたいことに、保育園にも入れたんですが。

石の上にも3年!? たどり着いた樋口家なりのライフスタイル

樋口:まず1歳を過ぎてから、37.5℃超えで呼び出されることが、減りましたね。

実は、今日も息子は風邪気味で、いつ携帯が鳴るかドキドキなんですけど、登園時間ギリギリまで寝かせて普段以上に身体を休ませてから預けるとか、そういうこともできるようになりました。

僕の方の変化でいうと、この間の年末、すっごく久々に風邪を引きました。妻の妊娠中から、風邪らしい風邪はほとんど引かなかったんですけど。

息子は大体、僕の隣で寝たり、まぁ寝相が悪いからアチコチ転がっているんですけど、顔面にクシャミを浴びてね。鼻水が詰まって、耳鼻科へ行きましたよ。それまでは妻ばかりうつされて、僕は何ともなかったのに。

ホッとしたんですかね、以前は「絶対に風邪はひかない!」って、もっと気合が入っていたんですけど。

昔はそんな人間じゃなかったのに、あの子が生まれてからは、インフルエンザの予防接種もきちんと受けて、電車の中でもマスクをして予防して。

でも、とうとう、うつされちゃいましたね。

だんだん、体力も落ちてくる。親の体力も、年齢とともにね。

――息子さんも3歳になられて、ワンオペ主夫生活で張りつめていた緊張感も少し緩められるようになった、あるいは年齢には勝てなくてペースダウンも仕方ない、というところでしょうか。

でもそんな変化を受け容れながら、樋口家のライフスタイルができてきたんですね。

樋口:だって、うちの妻みたいな人を家に閉じ込めておくっていうのは、それは罪だと思うんです。あんなに頭が良くて、仕事もバンバンできる人を、鳥かごの中に入れておくというのは、それは犯罪ですよ。

そういうタイプの人は、男性だけではなくて女性にもいる。反対に男性でも、主夫が向いている人もいると思うし、それは人それぞれ、夫婦ごとにカタチがあると思うんです。

我が家のスタイルが、どこのご家庭にも当てはまるかといったらそれは絶対にナイだろうし。

でもね、家族の在り方も、妊娠から出産、子どもの成長に従って変わってくる。僕だって今でこそこんな風に構えていられますが、息子が1歳になるまでは、正直いってオカシクなってましたよ。

我が家の現在の休戦状態も、日々鍛錬を積んでたどり着いた境地、なんじゃないでしょうかねぇ。

“猛禽類妻”との刺激に満ち溢れた日常を、 笑いも交えて穏やかに語ってくださった樋口さん。

とはいえ今になって思い返してみれば「 完全にオカシクなっていた」時期もあるようで・・・

先日紹介したハピママの記事、「妻たちの闇に震える!?ワンオペ主夫・樋口毅宏インタビュー【前編】」、今回の中編に続く、全3回のインタビュー、次回の最終回【後編】 では数々の文学賞にもノミネートされ、ご活躍だった樋口さんが突如「引退」を宣言した約2年前、産後主夫の“アイデンティティクライシス”について語っていただきます。

ご期待ください!

(ハピママ*/ちかぞう)

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