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「ラ・ヨローナ〜泣く女〜」メキシカン幽霊大奮闘、面白ければ細けえことはいいんだよ

2019/5/15 09:45 エキレビ!

エキレビ! エキレビ!

『死霊館』シリーズのスピンオフである『ラ・ヨローナ 〜泣く女〜』。しかしその実態は、「面白ければ細かいことはどうでもいい!」というホスピタリティに満ちた、ハイテンションかつドライブ感たっぷりの映画なのである。

メキシカン幽霊ヨローナさん、シングルマザー一家に取り憑く!


舞台は1970年代のロサンゼルス。ソーシャルワーカーのアンナは、夫と死別した後も女手一つで2人の子供を育てるシングルマザーだ。仕事で担当したパトリシア一家と連絡が取れなくなっていることに気づいた彼女は、警官とともにアパートを訪問する。そこで目にしたのは、どう見ても正気ではなくなっている母親のパトリシア、そして不気味な模様が描かれたクローゼットに監禁されていたパトリシアの2人の子供だった。

やむなく子供を保護したアンナ。しかしその後の夜、パトリシアの子供は白いドレスを着た女を目撃。ほどなくして近くの川で2人とも溺死しているのが発見される。「あんたのせいだ!」とアンナに詰め寄るパトリシア。さらに「あんたの子供も、いずれあの女の泣き声を聞くはずだ!」と不気味な予言を投げかける。そしてその夜、アンナの息子クリスは白いドレスの女を目撃する。

パトリシアの息子が死んだ夜以来、風呂やプールなど水のある場所で様々な怪異に見舞われるようになったアンナと子供達。無心論者のアンナだったが、藁をも掴む思いで近くの教会へ駆け込み、ペレズ神父に相談する。彼はその白いドレスの女を古くから伝わるメキシコの悪霊「ヨローナ」であると突き止め、さらにアンナに対しメキシコ系の呪術に精通したラファエル神父を紹介する。

2013年から始まった『死霊館』シリーズ。この『ラ・ヨローナ』も、このシリーズに連なる一本であり、『アナベル 死霊館の人形』に登場したペレズ神父など、シリーズに登場した人物もちらりと顔を出す。とは言え『ラ・ヨローナ』は一連のシリーズとはほとんど関係がない筋立てになっており、この映画単品で見ても大丈夫という親切設計だ。

ヨローナというのは、中南米に伝わるフォークロアである。かつて村一番の美人と謳われた女性ヨローナが、ハンサムなスペイン人と結婚した。2人の子宝にも恵まれたものの、ある時から夫はヨローナを捨て、他の女の元へ去ってしまう。嫉妬に狂ったヨローナは夫が最も愛するであろう自らの子供を溺死させる。我に返った女は後悔と苦しみにまみれ、自らも川で命を絶ったが、その霊魂はいまだに我が子を探し彷徨っている……という伝承である。

『ラ・ヨローナ』の悪役であるヨローナさんはこういうメキシカン尊属殺人犯みたいな設定なので、対抗手段も当然中南米系。散々客をビビらせた後で始まるラファエル神父とヨローナさんのバトルは「中南米の呪術&キリスト教系祈祷の合わせ技VSメキシカン幽霊の力技」という趣であり、エキゾチックな白石晃士作品のような味わいだ。そしてこのバトルのドライブ感を下支えするのが、「面白かったらなんでもいいでしょ」という製作陣の思い切りなのである。

ヨローナさん、設定がブレブレだよ! でもそこがいい……


前述のように、ヨローナさんには一応ちゃんと設定やルールがある。水辺で命を絶った女性が亡霊となったということなので、風呂場やプール、水たまりなど水のあるところに出没。さらに子供を失った悲しみからずっと泣いており、ヨローナさんが現れるところには女のすすり泣く声が聞こえてくるのである。

確かに、この映画でも最初の方はけっこうちゃんとその辺のルールを守っている。パトリシアの息子が死ぬのは川だし、ちゃんと女の泣き声も聞こえている。しかし映画が進むに連れてルールや法則性は曖昧になり、別に水辺でもなんでもないアンナの家にホイホイあがってくるようになる。しかも、特に泣き声とかも聞こえてこない。ヨローナさん、案外融通が利くタイプなのである。

更に言えば、最初は「呪い殺す」みたいな感じだったヨローナさんの殺傷手段も途中からはどんどん力技に変更。当初は不思議なパワーを使って手を触れずに車の窓を開けたりしてたのに、途中からは手づかみで水中に子供を沈めようとしたりとやりたい放題である。最終的に腕力に物を言わせるあたり、ヨローナさんは案外肉体派だ。

というわけで見ているうちにヨローナさんにどんどん親しみが湧いてきてしまい、気がついたらこの原稿でもさん付けで呼んでしまっているのだが、しかしヨローナさんまわりの設定がグニャグニャしてるからといってこの映画がつまらないというわけではない。というか、力づくでグイグイ来るヨローナさんの暴れっぷりが映画自体のテンションを押し上げており、独特の「次はヨローナさんはどうやって暴れるんだ……?」という期待とドライブ感につながっているのである。

このドライブ感は幽霊まわりのルールや法則をかなぐり捨て、面白さとスピード感にステータスを割り振った製作陣の判断の賜物だろう。途中から細かいことを置き去りにするのは良し悪しだが、『ラ・ヨローナ』に関しては吉と出た感がある。めちゃくちゃ怖いホラーというわけではないが、苦手なはずのメキシカン呪術と力づくで健気に戦うヨローナさんには好感が持てるし、なにより「とりあえず客を楽しませよう!」という心意気が嬉しい。ハイテンションでスピード感のあるホラーとして、オススメの一作である。
(しげる)

【作品データ】
「ラ・ヨローナ 〜泣く女〜」公式サイト
監督 マイケル・チャベス
出演 リンダ・カデリーニ レイモンド・クルス マデリーン・マックグロウ ローマン・クリストウ ほか
5月10日よりロードショー

STORY
ソーシャルワーカーのアンナは、とある一家から子供を保護したことでヨローナというメキシコの亡霊に取り憑かれる。家族に迫る危機を回避するため、アンナはメキシコ系のラファエル神父を頼ることに……

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