保護犬のための研究が、保護施設の犬を助けている実例を見てみよう

2019/5/11 09:00 わんちゃんホンポ

アメリカの保護施設の犬を対象にした大規模な調査

ケージの中の犬の鼻をタッチする人

2018年11月、アメリカのアリゾナ州立大学とバージニア工科大学の科学者が、共同で行っている「ケーナイン科学共同研究」に対して、全米屈指の動物保護基金マディーズファンドから、170万ドル(約1億9000万円相当)の助成金が授与されました。

ケーナイン科学共同研究の研究者たちは、「科学で犬を助けよう!」というコンセプトのもと、保護施設にいる犬たちの譲渡率を上げるための対策と、保護施設にいる犬の生活の改善を研究しています。

授与された助成金は、保護犬の一時預かりプログラムが犬たち及び保護施設の職員やボランティアに与える影響を調査することに使われています。

調査はアメリカ全国の動物保護施設に呼びかけて、研究調査への参加希望施設を募るところから始まりました。参加の条件は、犬を収容する物理的な施設を持っていることと、新しいプログラムを実施する意欲があることでした。

現在、その大規模な調査の経過が少しずつ見え始めてきています。

3つのタイプの一時預かりとその効果

保護犬を撫でる女性

この調査と研究では、全米から100箇所の保護施設が参加し、それぞれの施設で3つのタイプの犬の一時預かりプログラムを立ち上げて、犬と人間がどのような影響を受けたかが調査されます。

従来の一時預かりは、ボランティアの家庭で犬が常時暮らすことを前提として行われています。それは犬にとっては理想的ですが、長期的に犬を預かることのできるボランティアを確保することが難しいというデメリットもあります。調査に参加した施設で立ち上げられた3つのタイプの一時預かりとは、「日帰り旅行」「一泊お泊まり」「従来の長期預かり」です。

「日帰り旅行」と「一泊お泊まり」の一時預かりのような数時間〜1泊の外出でも、ストレス値の指標である犬たちの唾液中のコルチゾール値が著しく低下することが、以前の研究から分かっています。

今回の研究はそれをさらに規模を広げて掘り下げて調べることで、保護犬の譲渡率を上げるための方法を探り、施設にいる犬たちの生活の質を向上させることを目標にしています。

数時間や一泊の短期の外出は、犬が施設に戻ったときにかえってストレスになるのではないかと心配する声もあるのですが、これも以前の研究でストレスレベルは外出することで著しく減少し、施設に戻った後は以前と同じレベルに戻ることから、少なくとも有害ではないと判断されました。
研究者は「私たちが週末にリフレッシュして、月曜日にまた仕事に戻るようなものだと考えています。」としています。

研究に参加した施設が実施している例

犬用のベッドで眠る白い犬

アトランタのある施設では3つのタイプのうち「日帰り旅行」預かりを特にプッシュしており、さらにこれを「お昼寝プログラム」と名付けてアピールしています。

規模の大きい保護施設は、数多くの犬たちが収容されているため、常に吠え声が響き渡るやかましい場所です。それは言うまでもなく犬たちにとってもストレスフルな状態です。

「お昼寝プログラム」は、一時預かりボランティアに昼間の数時間だけ保護犬を自宅に連れ帰って、静かで快適な場所でのんびり昼寝をさせるというものです。もちろん、可能であれば一泊のお泊まりプログラムでも構わないのですが、ボランティアのハードルを下げることで、より多くの人に登録してもらおうという狙いもあります。

ワシントン州スポケーンの保護施設では「日帰り旅行」の一時預かりに「Dog Meets World」という名を付けています。犬たちは里親募集中と書いたベストやバンダナを身につけて、ボランティアは犬とハイキングに行くもよし、公園を散歩するもよし、ドッグカフェに行くもよしで、好きなアクティビティを行うことができます。この犬の遠足とも言える日帰り旅行プログラムも、過去にポジティブな結果が出ているものです。

一時預かりが実施されるたびに、施設のボランティアと預かったボランティアの両方の人が、犬がどんな様子だったかの診断票に回答することになっています。

犬たちはリラックスした時間を持つことができるだけでなく、違う環境で過ごすことで自信をつけることができ、施設のスタッフやボランティアの負担を減らすことにもつながっているようです。

まとめ

散歩中の茶色の中型犬と小型犬

アメリカの2つの大学の研究者が、共同で保護施設の犬の譲渡率と福祉の向上のための調査研究を行い、実施されている例をご紹介しました。

大規模な動物保護基金の巨額の助成金や、全国の保護施設を巻き込んでの大規模な研究などは、真似しようと思っても無理な部分です。けれども、こうして導き出された研究の結果を知ることで、日本で保護活動をしている方のヒントになったり、一般の飼い主にとっても愛犬の生活の質を高める方法を知ったりすることにもつながります。

今後、この研究の最終的な結果が届くのもまた楽しみですね。

《参考》
https://asunow.asu.edu/20181119-asu-canine-researchers-awarded-grant-study-impact-foster-care-shelter-dogs-and-volunteers
http://www.wtol.com/2019/03/04/shelter-dogs-taking-field-trips-getting-off-campus-nap-time-part-new-national-study/

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