「どろろ」ひん剥かれたどろろが痛々しい! だがどうしてもイタチが憎めない16話

2019/5/6 09:45 エキレビ!

どろろBlue-ray BOXイメージイラスト どろろBlue-ray BOXイメージイラスト

アニメ『どろろ』(→公式サイト)。今日5月6日(月)22:00より、TOKYO MXほかで、第十七話「問答の巻」が放映される。
Amazon Prime Videoで毎話24:00頃から配信予定。

愛するものを守るため


今回の「しらぬいの巻」は、比較的原作に忠実な回だ。
百鬼丸とはぐれた(意図的に距離をおいた)どろろ。元野盗の仲間だったイタチにさらわれ、宝を探しにいった途中でしらぬいのサメに襲われる、という流れ。

大きく異なる点が一つあった。しらぬいの右腕がないという部分だ。
彼の容姿は、刈り上げに大きなポニーテールで、いい具合に原作のデザインをかっこよくアレンジしている(このアニメポニテ男子多いですね)。

彼の右腕がないのは、自らが愛する二匹のサメに食わせたから。
「食われた」ではないのがミソ。
今回しらぬいが、どろろやイタチたち、また近隣の村を襲ったのは、二匹のサメのエサにするためだ。

これをイカれているというのは簡単だが、よく考えると今まで出てきた鬼神と契約した面々、醍醐景光や鯖目と思考回路は変わらない。
「愛する者」を守るために、他人を犠牲にするかどうか。またはあやかし・鬼神を守るために、人間側が痛みを負えるかどうか。
自らの腕を食わせて味を覚えさせ、サメが村人を食うように教え込んだしらぬいの行動は、「契約」そのものだ。
ただ醍醐景光と違い、その契約が露骨に見えているのは描写として面白い。さすがに何かしら過去にないと、そんな無茶な契約はしなさそうだが……。

イタチ、がむしゃらに生きる


イタチが地図を見るためにどろろをひんむいたシーンは、絵柄が手塚タッチではないこともあって、かなり痛々しいものになっていた。原作では女だとバレるのはこの場面だ。
心に傷を負わせるほどの乱暴ではある。しかしイタチがどろろの性別を知って、彼女の苦労を感じた時の複雑な表情を見ると、どうにもイタチが憎めない。

以前の過去回想回でも、ファン人気の高かったイタチ。
根っからの悪人になりきれない、野望が強くも情に引っ張られがちな彼の立ち回りは、小悪党めいていて人間味が強い。
トップにはなかなかなれない「風の谷のナウシカ」のクロトワと似ている、との声もネットでは見られた。

イタチは頭のよい人間だ。誇りよりも、生きるための知恵。武力よりも、賢さ。たとえそれがずるいものだとしても。
彼は、どろろの死んだ母親の墓を暴いて地図のありかを探す狼藉を働いていた。
イタチ「死んだもんより生きてるもんだ。情じゃ金は手に入らねえ」

どろろにしてみれば、それは決して許せるものではない。
けれども、村が飢饉で滅び、戦場に死体が無数に転がっているのを見続けてきた彼らからしたら、手に入る可能性のあるお金を、見過ごすわけにはいかないはずだ。
この倫理観は、侍以外を殺さず、身体を決して売らなかった、どろろの両親には無かったものだ。

イタチが死を覚悟した時に「こんなことならおめえのおっかちゃんの墓を暴くんじゃなかったぜ、悪かったなどろろ」とぽろりとこぼす場面がある。
極限状態だ、おそらく本音だろう。彼も精一杯悩んだ上での選択だった様子。
だからこそ、どろろに叱られて野盗とイタチで力をあわせ、みんなでサメを倒すシーンは、希望に満ちていてワクワクする。

そこまでしても、悔い改めるでもなく、どろろをひょいっと裏切る。
窮地を生き延びてきた、いい具合の「がむしゃら」っぷり。
極限に追い込まれ、善悪でわけられない生き方をする、人間の姿だ。

往生際悪く生きろ


どろろ「下を向くな。顔を上げろ! 野盗なら最後の最後まで、往生際悪くあがいて見せやがれってんだ」
この「往生際悪くあがく」の語は、今まで出てきた色々な人物に関わってくる。
絡新婦と一緒に逃げた男は、罪だと知りつつ人を村から逃し、あやかしと共に生きることを決めた。
多宝丸は父親の行動を間違いだとわかっていても、大事な民衆を救うため百鬼丸に刃を向けた。
みおは孤児たちを救うため歯を食いしばって、身体を男たちに売り続け、生きようとした。
どろろは、一人でこそ泥を繰り返し、百鬼丸に出会って命からがらの戦いを繰り広げ、親を亡くした辛い状況に涙しながらも、諦めずに前を向いて歩き続けてきた。

「痛えだろ? 痛えってことは、生きてるってことだ、生きてんのに死んだような顔すんな!」
どろろの発言は、痛みを感じ続けてきたからこそ、重みがある。だから痛い思いをしている大人をも動かした。

惨劇にあい続けてきたキャラクターばかりの作品の中、どろろは背負うものはトップレベルに重い。百鬼丸と一緒に行動していた彼女の選択は、多くの人命がかかっているくらいだ。
だからこそ前回、話を聞かない百鬼丸に対してパンクしてしまった。

百鬼丸の身体が重要なのか、国を救うかもしれないお金が重要なのか。
この選択の中で、迷走するイタチに出会ったことが引き金で、「おっとちゃんの大事な金」の価値を再確認していきそうだ。
ここは原作でも曖昧に終わってしまったところなので、アニメ版どろろはどう動くのか、非常に気になる部分。

次はサメの後編、百鬼丸に合流するのかと思いきや、まさかの寿海再登場。
自分の身体を作って育てた義理の父親と、百鬼丸の邂逅。完全オリジナルな展開だ。
二人が通じ合うのか、別離してしまうのか。胸がぞわぞわする。

(たまごまご)

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