「小さな成功体験」が世界も自分も変えていく【国際女性デー2019】

2019/4/20 16:29 ウートピ

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女の子たちが自信を持って生きるには何が必要なのか——。

「国際女性デー」の前日である3月7日、東京ミッドタウン(東京都港区赤坂)で『国際女性デー2019』トークイベントが開催されました。

主催は、国際NGOプラン・インターナショナル(以下、プラン)。ウートピでは、このイベントで基調講演を行った国際協力・ジェンダー専門家でプラン理事の大崎麻子さんのお話と、作家の角田光代さん、スポーツジャーナリストの増田明美さんの対談の様子を全3回に分けてお届けします。

大崎さん

エンパワーメントとリーダーシップ

大崎さんの講演のテーマは「エンパワーメントとリーダーシップ」について。

「現在、国連加盟国は193カ国あり、その全ての加盟国が合意した、持続可能な開発目標(SDGs)が設定されています。地球や、社会・経済をこれからも持続させる、そのために必要なものは何かと、2016年から2030年までの期間に17の目標が立てられているのです。その5番目にジェンダーがあります。そこではジェンダー平等と女性、全ての女の子たちのエンパワーメントを目標にしています。

西洋の概念ではないのか、欧米の話ではないのかと言われることも多くありますが、そうではありません。国連、政府、私たちプランのような国際NGOの世界的なネットワークを使いながら、草の根的に世界中で行われているのです」

自分の意思で選択できるようになること

私たちも生活の中でよく耳にする「エンパワーメント」ですが、その概念には国際社会の共通した考え方があると大崎さんは説明します。

「一人ひとりが、人生の選択肢を広げるようにすること。私たちは人生、そして日常生活でさまざまな選択をしながら生きています。大切なのはその選択を自分の意思で決められるようにすること。自己決定権を身につけて行使できるようになることです。

自分で考え、自分で決めて、自分で行動する。そのパワーを身につけるプロセスがエンパワーメントだと言われています。そのために4つの必要な要素があります。健康、教育、経済力、そして社会や政治に参画していくことです。この4つを満たした段階で、その人はエンパワーされたとプランは考えます。

健康な身体と知識や教育は重要なことですし、自分の人生を自分で決めるためには経済力も欠かせません。この3要素は自己実現に当たる部分なのですけれど、それだけでは十分ではなくて、自分たちが生きる社会とか、所属するコミュニティの物事を決める場所にちゃんと責任を持って参画するということが非常に大切になるわけです」

教科書に出てきたリーダーはどんな人たち?

国連やNPO法人でも、有権者教育や出馬しようと思った時のトレーニングなど、女性の政治参画に向けた取り組みが行われており、これらは全て支援の範疇に入っているのだと大崎さんは言います。

「エンパワーメントと同じくらい重要な概念が女性のリーダーシップです。SDGsの文脈で言うリーダーシップとは、どこかの組織に君臨するとか、人の上に立つという狭義な定義上のものではありません。より良い社会を作っていく、そのために働く人、そのための変化を起こす人、そのような動きをリードしていく人たちという意味でリーダーシップという言葉が使われています」

大崎さんは、「みなさんの教科書に出てきたリーダーはどのような人たちでしたか?」と会場に問いかけます。

「同じ質問を世界中で行いました。すると、どこでも出てくるのは男性リーダー。おそらく会場のみなさんも同じようなイメージがあるのではないでしょうか。昔、親から読むように勧められた伝記のシリーズ。数十巻とある中で、私の記憶にある女性の偉人というのはキュリー夫人、マザーテレサ、それからナイチンゲールです。

教科書を読んでも、政治、科学技術、芸術、宗教、そのようなところ出てくるのは男性ばかり。特に、人々が生きるための基盤部分とか、ルール、枠組み作りといったところに関わっている人たちというのはおそらくほとんど男性なのだと、私たちは教科書で学んできたと思います。

それは良い/悪いという話ではなくて、そういう状況では私たちがイメージする変革を起こす人、リードする人、何かイノベーションを起こす人たちというのはどうしても、男性のイメージが強くなりやすいということです。日本に目を向けると、大河ドラマの主人公はほとんど男性ですよね。そのような教育や日常生活で私たちが受け取るメッセージから、リーダー像に対するイメージは育まれているなと感じます」

いまリーダーシップが見直されているのはなぜか

リーダーシップには伝統的なイメージがあることを理解しつつ、現代に求められているリーダーシップ像とは何なのか。大崎さんは次のように話します。

「SDGsが登場した背景としてあるのが、このままではもう地球はもたない。これまでの資源の使い方では地球がもたないし、これまでのビジネスの仕方では、経済や社会がもたないということです。そこから出てきたのがSDGsで、その中でもっとも大切な理念というのが『だれひとり取り残さない』こと。現代の社会の中でも格差と不平等がこのまま拡大し続けると、世界はとんでもないことになります。そのなかで、ではどんなやり方ならばやっていけるのか、みんなで模索していくというのがSDGsの概念で大切なことなのです」

「その中でジェンダーが重要視されているのは、今まで国や地域で物事を決めるのは主に国会で、その場にいるほとんどが男性だったからです。法律を作るのも、私たちが納めた税金をどのように使うのかを決めるのも男性でした。もう少し具体的に話をすると、日本は東日本大震災を経験しました。これまで、防災に関して、避難所に何が必要かとかどのように施設を運営するか、それらは基本的に男性中心で決められてきたことでした。けれども、それでは実際災害が起こった時に、多様な人たちのニーズは汲み取れないという経験をしたわけです。

東日本大震災に限った話ではなく、世界中で自然災害が頻発する中で、積み重ねてきた教訓として、男女が一緒に決めるということを学んできた。だから、どのように女性たちを巻き込んでいくかというところで、ジェンダーが重要視されているという背景があります」

女性の参画が、持続可能な地域づくりの鍵を握るとともに、環境以外の分野でも女性のリーダーが求められていると大崎さんは言います。例えばSTEM(ステム)領域。ステムとは、サイエンス(科学)、テクノロジー(技術)、エンジニアリング(工学)、マス(数学)の4つの領域の頭文字を表します。

「いわゆるリケジョを増やそうというのは、日本でこれまでも取り組まれてきました。もちろん世界的にも。それがなぜ重要なのかというと、理系が得意な女の子が自己実現できるようになるということもあります。そしてやはり、医療とか防災といったところの専門家に女性が増えることで、薬の開発や防災時のインフラの作り方、都市計画の部分により多様な視点が入ります。それが重要なのです」

小さな成功体験の積み重ねが周囲を変える

大崎さんは最後に現在のプランの活動について話しました。

「まずは、リーダーシップにまつわる、固定観念を打ち破ること。権威的で強い人がリーダーだという思い込みを捨てることを目指しています。そして、リーダーシップはスキルです。自信を持つこと、ビジョンを言語化すること、そして言語化したものをみんなにわかりやすく伝えること。主にこの2つの領域のトレーニングやサポートをすることで、小さなことから少しずつ成功体験を積んで、最終的には国をリードしていけるところまでを目指しています。

例えば、固定概念を打ち破る取り組みとしては、女性達のリーダーの可能性と変化の必要性を世界に知らしめるアクションとして、女の子を1日署長や1日大統領に任命し、職務体験をしてもらっています。さまざまなリーダーシップのポジションに女の子が任命され、可視化してイメージを見せるという取り組みで、これまでペルー、ドイツ、ギニアなどで行われました。

もう一つは、成功体験とかスキルとか、自信を身につけるためのアクション。単なる数合わせとして呼ばれるのではなく、成功体験やスキルを子どもの頃から積んだ女の子たちが、最終的には自信をもってリーダーになれることが大切だと私たちは考えています。具体的に行っているのは、スピーキングスキルの向上。難しいセンテンスを話すことや、どんなふうに話したらみんながちゃんと聞いてくれるのかということを伝えています。

参加した女の子たちからは『クラスのリーダーに選ばれたということだけで自信がついた』『女の子の権利について勉強をして、女の子でもリーダーになれる、女の子でも遠慮しなくていいと思えるようになった』という声が届いています。また、女の子たちが自信を持つと同時に、男の子や先生の考え方も変わってきているという報告も受けています」

2019年3月からスタートした新キャンペーンのビジュアル。

(構成:安次富陽子)

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