NISAのデメリットとは?非課税期間が終わる5年後の対策はできてる?

2019/3/26 07:00 mymo

NISAのデメリットとは?非課税期間が終わる5年後の対策はできてる? NISAのデメリットとは?非課税期間が終わる5年後の対策はできてる?

2014年に始まったNISA(少額貯蓄非課税制度)。投資の必要性が高まる中、特に投資初心者が資産運用の第一歩を踏み出す後押しとして期待されて、制度開始に至りました。イギリスのISAという制度をモデルにしています。

すっかり定着した感のあるNISAですが、当初はどういった名称にすれば浸透するか?と一般公募が行われました。実は筆者もいくつか案を出し応募しましたが、残念ながら採用されませんでした(笑)。ちなみにNISAのNは「ニッポン」のNのこと。これをISAに付けるという案が採用され、現在のNISAとなったのです。

昨年2018年でちょうど5年を迎え、当初購入したNISA枠が非課税期間の5年満了となり、課税口座に移すか?またはロールオーバーするのか?といった選択を迫られました。この選択は投資家にとって初めてのことであり、改めてNISAのメリットやデメリットなどを感じる機会となりました。総じて「非課税なのでおトク」という印象のある制度ですが、今回はそういった特徴を確認しながら、デメリットについても詳しく解説していきたいと思います。

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1. そもそもNISAとは?

現在は、通常のNISAに加え、ジュニアNISAやつみたてNISAがあります。それぞれについて、以下の表にまとめました。

一般NISA

ジュニアNISA

つみたてNISA

制度開始

2014年1月

2016年1月

2018年1月

口座開設者

20歳以上

0歳~19歳

20歳以上

投資可能期間

2023年まで

2037年まで

非課税額(年)

120万円

80万円

40万円

非課税期間

5年

5年

20年

ロールオーバー

可能

不可

投資対象

上場株式・株式投信等

金融庁が定めた要件を満たした一定の株式投資信託等

金融機関の変更

可能

原則禁止

可能

いずれも共通点は、非課税で投資ができるという点です。

原則、株式や投資信託に投資をした際は、利益の分配として受け取る配当金(分配金)や売却益が課税の対象となります。配当金や分配金は「配当所得」となり受け取る際に20.315%が源泉徴収されています。売却益に対しても「譲渡所得」として税率は20.315%となります。配当所得は総合課税扱いにでき、また配当控除(税額控除)が適用されるなど税務上さまざまなルールがありますが、おおまかにいうと「投資の利益に対して、およそ2割税金がかかる」ということになります。

この課税関係が、各種のNISAを活用すれば全て非課税となります。それぞれ年間の投資額や非課税期間、投資対象などが異なりますので上の表を参考にしてください。また、一般NISAとつみたてNISAをともに開設することはできません。どちらが自分に合っているか選ぶ必要がありますので、投資初心者はきちんと制度概要を理解した上で始めてくださいね。

一方、ジュニアNISAは大学資金等の教育費の準備という意味合いがあり、18歳(3月31日時点で18歳である年の前年12月31日)になるまで口座外への資金の払い出しが原則禁止されています。つまり、大学入試などが本格化する高校3年の1月や2月になると、受験代や入学代として使うことができるわけです。

2. 煩雑な手続き、投資資金120万円の縛り、損益の通算ができないなど、実は多いNISAのデメリット

悩む男性【画像出典元】「iStock.com/anyaberkut」

「非課税で投資ができるならぜひやりたい!」と前向きに検討する人も多いのですが、実はメリットばかりではありません。ここでは、NISAのデメリットや注意点について取り上げたいと思います。

2-1. 手続きが煩雑というデメリット
まずは手続き面の煩雑さです。NISAは1つの金融機関でしか開設できません。所得税や住民税が非課税になる制度であるため、税務署が確認できるようマイナンバー提出が必須となります。また、金融機関を変更する場合も従来の口座を閉鎖し、新たな金融機関等で口座を開設することになりますのでやや手間がかかります。

それから、非課税期間の5年間が満了する場合、翌年の非課税枠に繰り越すロールオーバーを行うときも手続きが発生するなど、通常の口座での投資に比べ、やや煩雑になってしまうことは避けられません。こういう手続きがあまり好きではない人にとってはデメリットとなりますね。

2-2. 投資限度額120万円の縛りがあるデメリット
筆者はこの点を特に強調しておきたいと思います。一般NISAは年間120万円、つみたてNISAは40万円というように非課税枠に限度があります。この限度額によって注意しておかなければならない点は以下2つです。(一般NISAを前提に説明します)

年間の投資額を120万円に抑えるため、あえて投資額を小さくする
120万円まで非課税枠があるため、全て使い切ろうと無理して投資をする

は「当面使わないお金が500万円あるから、老後資金として資産運用しよう」といった場合です。その後NISA制度の存在を知り、「120万円を超えた部分は課税対象になるなら、やっぱり投資に回さない」と方向転換する人が非常に多いのです。家計の状況やこれからのことを考え、500万円を投資に回すべきという決断に至ったはずですが、それを覆して投資額を少なくするのはいかがなものでしょうか?投資をする機会を失う、「機会損失」につながるかもしれません。もちろん、今後の相場動向次第ではありますが、人によってどれだけリスクを取れるのか、投資に回せるのかは異なります。NISA枠にこだわらず、本来のあるべき投資スタイルを優先してほしいと感じています。

そしても同じことがいえますが、と状況は逆で「せっかく120万円まで非課税枠があるので使い切ろう」と本人の投資適正額をオーバーして投資に回すケースです。例えば、本当は翌年の車買い替え資金にする予定だった冬のボーナスを、未使用分のNISA枠を使うために投資に回すというケースです。これもいかがでしょうか?投資は長期で余剰資金を使って行うのが原則です。NISA枠を有効活用するために背伸びをしてしまってはいけません。

2-3. 損益の通算ができないというデメリット
NISAは、非課税口座というより「税金無関係口座」と覚えておく方が良いかもしれません。本来、A株で100万円売却益、B株式ファンドで100万円損失となった場合は利益と損失が相殺され、プラスマイナスゼロとなり課税されることはありません。ただし、B株式ファンドをNISA枠を使って購入していた場合はどうでしょうか?
NISAはそもそも税金と関係がないため、NISA枠で生じた損失を他の利益と通算することはできないのです。損益の状況次第では、NISA枠を活用したことがデメリットとなることも覚えておいてください。

2-4. すでに投資している分はNISAを使えないというデメリット
NISAという制度ができる前から投資をしている人はその残高をNISAに移したいところですが、すでに購入している株式や投資信託をNISA枠に移すことはできません。「新たに投資にお金を回す」ということがNISAでは求められています。

こういったさまざまデメリットがありますが、実は最も大きなデメリットで、かつ判断が難しいのが非課税期間満了の到来時です。

3. NISA最大のデメリットは5年後にやってくる!

投資と時間【画像出典元】「iStock.com/ismagilov」

NISAが始まったのが2014年、そして昨年(2018年)、初年度に投資した金額が非課税期間の5年満了を迎えました。非課税期間の5年が終わる際に、最大のデメリットが到来するかもしれません。

NISAを利用している投資家の皆さんはもちろん、証券会社や銀行の担当者も非課税期間満了を迎えるのは初めての経験です。筆者自身もいち投資家として、そしてFPとして「当初投資分は今年で5年となり、非課税期間が終了する」ということは認識していましたし、期間満了にともないどのような対応をすべきか、そしてどういった注意点があるのかということも理解していたつもりでした。デメリットを被らないような方法も踏まえているつもりでした。

ただ、実際に手続き方法などの案内が始まるとどう対応するのが適しているのか?と頭を悩ますこともありました。私自身の実際の経験を踏まえ、まずは5年経過となった場合の一般的な対応方法について確認します。

3-1. 5年後、非課税期間が終了する際に対応すべき3つの方法
NISAは毎年120万円を限度に非課税枠を活用し投資ができますが、それぞれ5年が非課税期間となります。よって今年(2019年)は2015年に投資した分が5年の期間満了を迎えることになります。その期間満了までに対応すべき点は、大きく分けて以下の3つです。

期間満了前に売却する
課税口座に移管する(手続きは原則不要)
来年の非課税枠を活用するためにロールオーバーする

まず、は非課税期間の5年以内に売却をすることです。含み益があれば売却することで売却益が非課税となるため、NISAのメリットを享受できます。「期間満了が近づいています」という案内通知が来た際に、利益が出ているものは一回売却する。シンプルではありますが、最もNISAの恩恵を受けることができる選択かもしれません。

または、素直に期間満了を受け入れ課税口座に移すことを選んでもいいでしょう。これがに該当します。私はこれを「NISA枠からの卒業」と表現しています。もし、50万円で買っていた株式が70万円になっていたとします。この場合、70万円の株式として“卒業”し、課税口座に“進学”します。その後は70万円からの値上がり分が課税対象となります。よって、NISA期間中に値上がりした分は実質非課税ということになります。

でも、70万円よりもさらに値上がりが期待できそうという場合はを選ぶのも1つです。この場合、翌年の120万円の枠を活用することができます。これをロールオーバーといいます。ロールオーバーするとその分、翌年のNISA枠での買付額が減りますが、さらに最大5年間非課税で運用することができます。いわば、NISA口座への“再入学”です。「あと5年通学させてください。その間にしかるべきタイミングで卒業しますので」といったところでしょうか。

これらの内どの方法にするかを選んで年末までに対応しなければならず、特にのロールオーバーを希望する場合は、年内11月末までに一定の書類をNISA口座を開いている金融機関に郵送しなければなりません。ここが非常に難しいのです。11月中に判断した後、12月で相場が大きく変動するかもしれません。当然、翌年以降5年間の相場展開もある程度予測しながら判断する必要があります。「たら、れば」といいたくなるような状況が想定され、特に2018年の12月が世界的な株安に見舞われたので誤算だった人も多いと思います。

※金融機関によってロールオーバーの手続き等対応が異なる場合があります。

3-2. NISA最大のデメリットとは?損失したのに税金を払わねばならない
この「誤算」の内容について、もう少し具体的に解説していきましょう。

「5年前に50万円で買ったNISA枠の株式が70万円になっている。売却してもいいけど、しばらく保有を続けたい。来年もNISA枠を活用して新規で買付を予定しているのでロールオーバーもしたくない。よし、このまま課税口座に移そう」。こう決意して、11月末に何も手続きをしなかったとします。

前述のように、このまま70万円で年末を迎え、無事“卒業“できればいいのですが、11月末に判断した後、その年が終わるまでまだ1ヵ月あります。もし、大荒れ相場となり株価が急落したらどうなるでしょうか?12月末で70万円から40万円まで下落し、年内最後の取引を終えた場合は40万円でNISAを”卒業“することとなり、翌年、40万円の取得価額として課税口座へ”進学“することになります。もうこのあたりで「これはデメリットだ!」ということに気づく人も多いと思います。

そうです、このケースは、その後40万円から値上がりした分が課税対象になるのです。新しい年になり、その後5万円ほど値上がりし45万円に。もともと50万円で購入した株式なので、まだ含み損という状況ですが、課税口座では5万円(45万円-40万円)の利益が生じているとみなされるのです。損失が生じているのに課税されるというケースです。これは非常に大きなデメリットとなります。

ロールオーバーした場合も同様です。「もっと利益が期待できる」ということでロールオーバーした結果、その後大きく下落して「再入学した5年間」で一度も適した売却タイミングが無ければ、いつか低い価額で課税口座へ移管することになります。

3-3. デメリットを理解してNISA運用
上で紹介したように、NISA制度には大きなデメリットもあるため注意が必要です。特に、投資初心者の方がNISA口座で取引をしているケースも想定されます。株式や投資信託の売買自体に慣れていない中で、NISAのデメリットにも目を向けなければならないのは、大きな負担となりそうです。

私は、よくNISAをもじって「NISAは2の次、3の次でいいさ」とアドバイスすることがあります。NISAの仕組みや今回紹介したデメリットよりも、そもそも資産運用や投資はどうあるべきなのか?なぜ資産運用を行うのか?こういったことを最優先に考えて、その延長線上でNISAも上手に活用してほしいものです。では、最後にNISAのメリットも確認し、上手な活用方法を紹介します。

4. NISAの上手な活用方法

バランスよく投資する【画像出典元】「iStock.com/William_Potter」

消費税増税を控え、何かと税や社会保険料の負担が増している中、「非課税」というNISAの制度はやっぱり魅力的です。よって、5年または10年程度で大きく上昇しそうな株式や投資信託、あるいは定期的に高い配当利回りが期待できる株式などをNISA枠で活用し、一定のメリットを享受できた後、一度売却をする、または課税口座へ移管するといった活用方法になると思います。

まさに、デメリットで紹介した逆の展開で利用したいところです。とはいえ、やはり投資対象次第、相場次第ということもあり、誰もが理想的な展開で取引できるとは限りません。そうならないように、もう一歩踏み込んで以下のようなNISAの活用方法を検討してみてはいかがでしょうか?

✓特徴の違う株や投資信託を複数NISA枠で購入する
✓積立でNISA枠を活用する
✓長期的な資産形成にはNISAは活用せず株の短期売買でNISAを活用する

まず、タイプの違う投資商品をいくつかNISA枠で購入しておくことで、相場展開次第で柔軟に対応しやすくなります。一般的に株式と債券は、逆の動きをしやすいといわれています。そして景気や相場は循環します。株式市場が好調なときに株を売り、債券系のファンドは次の相場展開を待つといった対応ができると、NISAの非課税メリットを上手に活用することができそうです。

または、毎月の積立などをNISA枠で行うのはいかがでしょうか?そもそも「つみたてNISA」がありますが、一般NISAでも月10万円×12月=120万円というように定時積立が可能です。定時積立は、ドルコスト平均法によって平均単価が下がりやすくなります。毎月5万円A株を購入するという具合にあらかじめ決めているため、A株が下げているときはたくさん株数を買うことができ、A株が高いときには自動的に株数は少なくなります。相場展開が良くても悪くても、定時積立を行っていることで5年、またはロールオーバーをして10年以内には売却益が生じる展開が期待できそうです。

そして最後は、そもそも長期投資にはNISAを活用せず、短期売買でNISAを活用する方法を提案します。「老後資金は投資信託でじっくり貯め、お小遣い程度で株の売買をしています」という人も多くいます。この場合、老後資金準備にはNISAを活用しないという割り切った方法です。

実は、NISAだけが非課税ではありません。確定申告をすることで、分離課税である株の譲渡益などの税負担を軽減することも可能です。例えば専業主婦などはそもそも給与所得などがないため、自らの基礎控除といった所得控除を分離課税である株の譲渡益に適用し、実質非課税という展開も想定されます。

さらに、老後資金として準備しておき、リタイア後に各種所得が少ない年に投資信託を売却して確定申告を行えば税負担が生じないことも考えられます。

税体系に踏み込むためやや複雑となりますので、詳細は別の機会に譲りたいと思いますが、NISAのメリットやデメリットを意識することなくのんびり投資をする方が結果として運用面でも、そして税務面でも大きなメリットを受けることにつながるかもしれません。とはいえ、せっかくの非課税枠なので老後資金準備とは別枠で短期投資などを行うのであれば、そちらでNISA枠を活用するのも良いと思います。

今回、NISAのデメリットに焦点を当てながら注意点をお伝えしました。3タイプのNISAはそれぞれ時限措置で、将来は利用できなくなる予定です。今のうちにたくさん非課税のメリットを受けられるといいですね。

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