「イノセンス」はリーガルドラマの新境地。坂口健太郎「それでも僕は司法に絶望したくない」冤罪地獄の結末

2019/3/25 09:45 エキレビ!

ドラマ「イノセンス 冤罪弁護士」 オリジナル・サウンドトラック/バップ ドラマ「イノセンス 冤罪弁護士」 オリジナル・サウンドトラック/バップ

『イノセンス 冤罪弁護士』(日本テレビ系)の第10話、最終話が3月23日に放送された。(関連)

第10話あらすじ


和倉楓(川口春奈)を刺した神津一成(武田真治)が自首をした。黒川拓(坂口健太郎)が接見すると、その場で神津は今回の2件と11年前の事件の被害者は全て自分が殺したと囁く。しかし、証拠がないため真犯人を前に拓は何もできない。
11年前に捜査に当たっていた元刑事・草津寛治(佐藤B作)を訪ねた拓は、殺害現場の遺留品に煙草の吸殻があったことを知る。しかし、被疑者とされた浅間大輔(鈴之介)が喫煙者でなかったため、警察は証拠として採用しなかった。草津の手配で県警の証拠品置き場から煙草の吸殻を回収した拓は、秋保恭一郎(藤木直人)に吸殻のDNA解析を依頼。結果、吸殻は神津のものと判明した。

神津による連続殺人は痴漢冤罪がきっかけだった。このときの濡れ衣により、5度の受験でようやく合格した大学への進学を神津は断念。彼は冤罪で人生をメチャクチャにされた過去があったのだ。痴漢をでっち上げられた神津は、真実を求めようとしない警察と検察への復讐として秋保彩花(伊藤梨沙子)を殺害した。さらに犯人役を仕立て、警察と検察の無能をあぶり出すことこそがこの男の目的だった。
「12年前、あなたは無実だった! だからこそ僕は、悔しくて仕方ありません。冤罪の苦しみを、あなたは誰よりもわかっていたはずなのに」(拓)

裁判を終え、積年の心のつかえが取れながらも「被害者はもう帰ってこない」と浮かない顔の拓に、秋保は「少なくても俺は救われた」と笑顔を見せた。

武田真治はサイコパスではない


証言台で自白する神津の姿が不気味なほど楽しそうだ。嬉々としている。無実の第三者を犯人と思わせるミスリードをしておきながら、吸殻を残していた彼。あえて証拠を残していたフシがある。公の場で自白し、警察と検察の無能さを明るみに出してこそ、殺人を犯した目的は初めて達成されるのだ。
「何もかもぶち撒けられて気分爽快だよ、俺は!」(神津)

神津が殺人に手を染めた発端は、痴漢冤罪に遭った過去だ。やるせない。高名な法医学者である偉大な父と同じ道を目指し、4浪する程の苦労の末、希望の大学に合格。神津は真面目で未来ある青年だった。しかし、努力を重ね手に入れたチャンスは冤罪によって踏みにじられた。
「無能な警察検察、ざまあみろだ!」(神津)

冤罪がどれだけ人の人生を狂わせるかが、よくわかる。真犯人はサイコパスなどではない。1人の青年の復讐だったのだ。そんな神津も「痴漢は冤罪だった」と拓が証明した途端、逆に苦悶し、顔を歪めた。
冤罪の苦しみを知り、復讐心に捕らわれてしまった神津。対象的に真実を追求するようになった拓。あのときに拓のような人が寄り添ってくれたら、神津もこうはなっていなかったかもしれない。拓の言うように冤罪の苦しみを知っているからこそ、こんな手段は取らないでいてほしかった。

「冤罪を生み出すのは、検証能力や証拠の有無ではない。偏見や思い込みやくだらない面子、人の心の弱さや醜さだ」(秋保)
第10話の見どころは、真犯人を追い詰めることではなかった。警察は都合の良い証拠を取捨選択できる。そのような姿勢が冤罪を生み、1人の人生を狂わせてしまう。そういった事実への問題提起、これが最終話における1つのメッセージだ。

「それでも僕は司法に絶望したくありません。真実を追求しようとする意志と、過ちがあったときはそれを認め、正すことのできる勇気があれば、冤罪は必ず晴らすことができると信じているからです。弁護人は本件の被告人・富士田順平と……東央大学生殺人事件における浅間大輔の、無罪を主張します」
ようやく拓は、幼馴染の無罪を法廷で主張することができた。

事件解決より、冤罪で生じた心理にフォーカスするドラマ


秋保が眺めているのは、妹と3人で写る写真だ。以前は黒く塗りつぶされていた浅間の顔は修正され、今ではその顔をハッキリと確認することができる。
「少なくとも、俺は救われた」(秋保)
真実が明らかになることで、前に進める人は確実にいるということ。

立証実験で冤罪を晴らすだけのストーリーではなく、冤罪を受けた被疑者や家族、真犯人や被害者の思いにフォーカスしていた『イノセンス』。重すぎるテーマに観ていてつらくなることもあったが、だからこそ毎回気付きを与えてくれた。
謎は全て回収された。おそらく、続編はないだろう。でも、確実に余韻とメッセージは残っているので大丈夫だ。この作品はリーガルドラマの新境地だったと思う。
(寺西ジャジューカ)

『イノセンス 冤罪弁護士』
脚本:古家和尚
音楽:UTAMARO Movement
音楽プロデュース:岩代太郎
主題歌:King Gnu「白日」(アリオラジャパン)
参考資料:「冤罪弁護士」今村核(旬報社)
チーフプロデューサー:池田健司
プロデューサー:荻野哲弘、尾上貴洋、本多繁勝(AXON)
演出:南雲聖一、丸谷俊平
制作協力:AXON
製作著作:日本テレビ
※各話、放送後にHuluにて配信中

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