シャネルやハロッズのパートナーとなるFarfetchが提唱する「未来のストア」とは

2019/3/24 15:00 ギズモード・ジャパン

Image : Farfetch Image : Farfetch

ラグジュアリーとARの融合。

ARといっても拡張現実のほうではなく、どうも拡張リテール(Augmented Retail)という造語のようです。

少し前にCHANEL(シャネルがオンラインリテールのFarfetch(ファーフェッチ)の株式を取得、わたしをはじめとするCHANELファンを「あのシャネルがついにオンライン販売を開始?」とわくわくさせてくれました。Farfetchはデジタルショッピングモールともいえるショッピングサイトを各国で展開していますから。

そして今、Farfetchは、なんとあのイギリスの老舗高級百貨店Harrods(ハロッズ)ともこのAR分野で専属契約を締結したことを発表しています。Farfetchが築き上げてきたバーチャルストアのノウハウをバーチャル展開したい企業に提供するのがFarfetchの「Store of the Future(未来のストア)」ビジネスの柱であり、このパートナーシップの目的のようです。

Farfetchは日本語サイトを見てもYves Saint Laurent(イブ・サン・ローラン)やPrada(プラダ)など、欧州発ハイブランドが軒並みそろっていて、もう銀座まで行かなくても世界の素敵なものがすぐに手に入る時代になったな、とついため息がもれます。銀座やパリにお買い物に行こうものなら、いろんなものが目について無駄遣いするのは目に見えていますから。オンラインでさくっと欲しいものだけピンポイントで買えるなら、それはそれで節約になるな...と私は信じています。

シャネル「高価なバッグを1クリックで買う人はいない」

でも、そんなネット販売の王者FarfetchにCHANELが投資したり、Harrodsがパートナー契約をする、その意図はいったいどこにあるのでしょう? 今までCHANELはFarfetchへの出店はおろかオンラインでの販売展開をしてきませんでした。Farfetchの日本語サイトではアパレルの一部をCHANEL VINTAGEとして販売していますが、新作などは購入できません。化粧品類と香水は以前から公式ウェブサイトで直接購入できます。ですが、バッグや衣類などはフランス語の現地の公式ウェブサイトすら、カタログは見れて値段も確認することができるのですが、オンライン購入はできないのです。日本語サイトにアクセスするとやはり値段は確認できますが購入はできません。

IMG_0026Image : Kaori Myatt

オンライン展開をしていないのには理由があるようです。CHANELのファッションプレジデントを務めるブルーノ・パブロフスキーは、Reutersの質問にも「オンライン展開は一切しません。これからもオンライン販売はしないでしょう」と断言しています。

その理由はCHANELのお値段と客層にあるよう。ときには数万ユーロもする装飾品や衣類を購入するのに、「ワンクリック」で済むはずがないと、ちょっと前のFashion Networkのインタビューでも答えています。まあ、わたしのような庶民にはちょっと手の届く価格ではありませんので、オンライン購入できずともなんてことはありませんが。50万円も60万円もするアイテムをついポチる人がそうそういるとも思えませんし。

私は以前に日本の化粧品会社とCHANELの通訳をしたことがあり、そのときにCHANELの原材料にかける情熱を知ってからは、ファンデーションはCHANELと決めていますが、ファッションアイテムにはやはり手が出せませんね。ポチることができるようになったら、それはそれでちょっと怖いです。

アプリの充実はあくまでリアル体験の強化

でもオンラインで買えないのになぜアプリを充実させる必要があるのでしょうか。

Farfetchの広報に情報提供をお願いしたところ、 Farfetchのコミュニケーションパートナーでありコンサルティング会社のBrunswick Group LLPのToni Adeolaさんがインタビューに答えてくれました。

残念ながらブランド固有の機能などについては、ロールアウトされてからのお楽しみということでしたが、FarfetchのARコンセプトStore of the Futureは、来店する前の体験と来店後の体験、そして在庫確認や配達についてもスマホやアプリを通じてパワーアップさせるのが狙いだとか。HarrodsもCHANELもこれを実店舗戦略に結び付け、実際にブティックや百貨店に来店してもらうことで、売り上げを確実なものにするといいます。 安定性とスケーラビリティ(拡張性)はビジネスにとって欠かせないもの。「あくまでも、顧客のデータを集めたり、購入者とセールス担当者のインタラクションを高めることにより、リテール体験を向上するのが目的であり、実店舗のスタッフがアプリの情報を元にどんなものが人気なのかを見極めることができ、販売員が単なる在庫の管理人にとどまることなく、クライアントとの人と人との交流を促すのが目的なのです」と教えてくださいました。FarfetchではAPIを提供しており、独自のサイトにFarfetchの機能を組み合わせることが可能なようです。

CHANELのアプリを手にとってみるとその理由がわかります。非常に工夫されており、たしかにFarfetchのストアのように軽くてサクサク動くし画像もきれい。アプリだけでウェブサイトに行かなくても完結するくらいに内容は洗練されています。最新作はもちろんフラグシップ製品やショーの写真、ビデオ、店舗検索機能、新しいブティックのお知らせ、などなど、とにかく充実しています。

ただし、何度も言いますが、アプリではアパレルとハンドバッグ類の購入は今はどの国でもできません。今後できるようになるのかもしれませんが、本原稿を書いている時点ではできませんでした。日本版でもフレグランスと化粧品はウェブ同様アプリからもオンライン購入が可能です。ただし、アイウェアについてはアメリカ版では購入がつい最近アプリ内購入できるようになったようです。それだけでなく、新しくAR拡張現実でバーチャル試着ができるようになっていました。試着ボタンをクリックすると自分の顔をセルフィーカメラで映しながらそれぞれのアイウェアのバーチャル製品をかけてみれるようになっています。FacebookのメッセンジャーAR機能さながら、ちょっと笑っちゃうような形のもあり、かなり楽しめましたが、これならパリや銀座のブティックに行かなくても自宅で試着できます! またライブチャット機能もあり、お届けにかかる時間などをその場で確認できます。といっても実際かけてみるのとセルフィーカメラ上で見るのとでは違うんでしょうが...。

Farfetchでは「顧客情報の管理と在庫管理もキーとなる」といい、アプリで得られる情報を元にピンポイントでターゲット通知広告をうったり、その人が閲覧した製品を元にほしいと思われる製品を表示させたり、余念ないマーケティング活動が可能ということ。「ラグジュアリーアイテムの購買客は名前を憶えてもらったり、その人にぴったり合わせたアイテムを来店するたびに選んだりと、パーソナライズされたカスタマーサービス体験に慣れきっているため、オンラインで売り上げるのには課題がある」といい、その課題もアプリやウェブで克服できると考えているようです。やっぱりアプリが間に入るだけで、最後は情報を元にした、人と人との交流が決めてなんですね。

ラグジュアリーなブティックも物理的な店構えだけでなく、ウェブやアプリもこれからどんどん充実させビジネスツールとして高めていく必要がありそうです。

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