働く30代、今から認知症になるのが不安…予防する方法はある?アンチエイジングのプロに聞く!

2019/3/24 13:00 Suits-woman.jp

働く30代、40代のプチ不調の改善法や、簡単に取り入れられるハッピーエイジングのための生活習慣を、予防医学のプロに伺います。第5回は認知症について。目まぐるしい日々のせいで、「昨日のランチさえ、何を食べたか一瞬思い出せない自分にゾッとする」「カレンダーにすぐメモしておかないと予定が記憶から抜けてしまうことが増えた」など、自分の脳の機能低下を老化と結びつけて考える人は少なくありません。そこで頭をよぎるのが認知症です。認知症を予防することはできるのでしょうか。アメリカの最先端予防医療に詳しい虎の門中村康宏クリニックの院長、中村康宏さんに教えていただきます。

質問「祖父に認知症の症状がではじめました。認知症は遺伝的な要素も強いと聞き、自分もなるのでは……と不安です。予防する方法はありますか」(32歳・営業)

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予防可能な認知症の危険因子もある

認知症の危険因子は年齢などの予防不可能なものと、予防可能なものに分類されます。予防不可能なものについては、残念ながら対策が打てませんが、予防可能な要因を改善することによって3割以上の認知症を予防することができます。つまり、3人にひとりは認知症を予防できるのです。

予防できる認知症の危険因子には、以下の9つがあります。

●中年期の聴力低下 9%

●中等教育の未修了 8%

●喫煙 5%

●うつ 4%

●運動不足 3%

●*社会的孤立 2%  *社会的孤立:家族や友人との関わりが薄れること

●高血圧 2%

●肥満 1%

●2型糖尿病 1%

これらを見ると精神的ストレスや生活習慣病による脳内に発生する「酸化ストレス」が原因が多いことがわかります。

「酸化ストレス」が認知症の原因に

リストの3つ、高血圧、肥満、2型糖尿病は生活習慣病に数えられるものです。

高血圧は、高血圧と別の病気との合併により、脳虚血の悪化を引き起こし、血管性認知症の発症、進行に関与することがわかっています。また、脳内に異常タンパクが蓄積されやすくなりアルツハイマー病変も加速されることが推定されています。

一方、認知症発症に関わる糖尿病のメカニズムは多様で、認知症に直結する血管病変や異常たんぱく質を作るほかに、糖毒性、酸化ストレス、高血糖・低血糖からなる代謝性変化などが重複して作用します。糖尿病治療ガイドラインによると「高齢糖尿病患者の認知症リスクは、アルツハイマー病および脳血管性認知症ともに非糖尿病者の2〜4倍である」と明記されています。

そして、コレステロール代謝異常が異常タンパクの産生や蓄積、神経細胞変性に関与するという報告が多く認められます。さらに、統計学的にも、コレステロールとアルツハイマー病発症との関連は数多くの論文で指摘されています。最近の研究では、コレステロール治療薬の「スタチン」がアルツハイマー病発症を約半数程度にまで抑制したことが報告され、スタチンのもつ多面的な効果が期待されています。

これら、生活習慣病による認知症の発症は、酸化ストレスによる「活性酸素病」と考えられています。たとえば脳は、体重の約2%の重量で全身の20〜25%の酸素を消費しますが、酸化されやすい不飽和脂肪酸を多く含む上に抗酸化酵素の発現は低く、酸化ストレスに特に脆弱である臓器と考えられています。 そのため、活性酸素が増えてしまうと、機能が低下し、認知症を引き起こす要因になるのです。

認知症の予防法

酸化ストレスをケアするには、インスリン抵抗性を改善させる食事が肝になります。具体的には低GI食・低飽和脂肪酸/高多価不飽和脂肪酸食が推奨されます。 また、抗酸化物質を意識的に食事に取り入れていきましょう。

抗酸化物質には、ポリフェノールやリコピン、ビタミンC、Eなどが挙げられます。摂取量が足りないと感じたら、マルチビタミンなどのサプリを利用するのもいいでしょう。生活習慣病を漢方だけで治すのは無理ですが、食養生として、漢方的な料理を取り入れるのはよいことです。

また、喫煙や不摂生もよくない影響を及ぼします。喫煙習慣をやめるのがいいのは当然ながら、いい睡眠を得るためにメラトニンサプリを利用するのもおすすめです。

酸化ストレスへの対処とともに、重要になってくるのが、ストレスに上手く対処する能力です。そのためには、認知行動療法が有効です。

認知行動療法とは、精神療法のひとつで、アメリカでは一般的に用いられているもの。人は、自分があるべき姿や社会のルールに合致していないとストレスに感じる傾向があります。ワークショップを通じて、一日の気分や感情の流れを言葉や文字して客観的に捉える練習をして、ストレスをマネジメントできるようにしていきます。その他、ゲームや対人スポーツ、社会的交流、家族のコミュニケーションが認知症の予防に役立つ可能性があると指摘されています。

お酒を飲んで記憶をなくす人は将来認知症になりやすい?

脳にはアルコールに弱い部分があり、その部分(海馬など)が飲酒によって一時的に障害されると記憶がなくなってしまいます。その部分が繰り返しダメージを受けると記憶形成のプロセスに障害が生じるようになり認知症になりやすくなる、という考えもあるようです。納得できるような気もしますが、この関連を示す論文を見つけることはできず、いまだ研究段階の考え方かもしれません。

また、研究する際、「アルコールで記憶をなくしたことがある/なし」に対し認知症になったかを比較することになります。「アルコールで記憶をなくしたことがある」というのはMRIや採血など客観的なデータではなく自己申告(アンケートなど)による情報ですので、仮にこの相関を示す研究が出てきたとしても科学的根拠は弱いと言わざるを得ません。

ちなみに、アルコールに関連する認知症としては、栄養障害などによる脳障害があります。たとえば、ウェルニッケ・コルサコフ脳症、ペラグラ脳症などです。この障害はビタミンB1の欠乏によるものです。ビタミンB1は、健康な人は体内に3週間程度が貯蔵されているのですが、長期にわたってアルコールを摂取している人は、栄養摂取の減少、腸での吸収力の低下、肝臓における貯蔵量の減少が起こりやすくなります。これは、ビタミンB1欠乏が起こりやすい状態といえます。

一方で、認知症全体では少量の飲酒が認知症のリスクを下げる可能性を示唆しています。少量とは血中濃度0.2mg/mL程度のこと。これは、ビール中びん1本、日本酒1合、ウイスキーダブル1杯程度の量に相当します。少量飲酒による認知症予防のメカニズムとしては善玉コレステロールを増加させることによる虚血予防効果、血小板凝集の抑制(血栓を作りにくい)、ワインなどに含まれるフラボノイドによる抗酸化作用といった効果が提唱されています。

とはいえ、認知症を原因によって分類して検討した解析では、アルツハイマー型認知症の場合は少量の飲酒による予防効果が認められていますが、脳血管性認知症では予防効果は認められていません。

 

賢人プロフィール

医師
中村康宏医師。虎の門中村康宏クリニック院長。関西医科大学卒業後、虎の門病院で勤務。予防の必要性を痛感し、アメリカ・ニューヨークへ留学。予防サービスが充実したクリニック等での研修を通して予防医療の最前線を学ぶ。また米大学院で予防医療の研究に従事。同公衆衛生修士課程修了。帰国後、日本初のアメリカ抗加齢学会施設認定を受けた「虎の門中村康宏クリニック」を開院。未病治療・健康増進のための医療を提供している。

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