「東京チカラめし」が100店から8店舗に激減、牛丼3社に負けた理由。「牛丼太郎」も

2019/3/18 08:54 日刊SPA!

東京チカラめし 東京チカラめし

 かつては隆盛を極めていたのに、いつの間にか見かけなくなってしまった”絶滅危惧”チェーン店。すっかり街から消えてしまった懐かしのあの店はいまどうなっているのか? 店舗が減っても生き残り続けている底力を探る。

◆2012年には100店舗突破→現在8店舗

 ’11年に1号店となる池袋西口店をオープン。既存の牛丼チェーンにはない「焼き牛丼」でブームを起こした『東京チカラめし』。居酒屋中心の外食チェーンである三光マーケティングフーズの運営であり、主要駅周辺に複数店舗の集中出店で店舗数を拡大したが、現在の出店は東京・大阪・千葉のみ。

 急激な成長は、それと同等のスピードでの衰退の危険性をはらんでいる。といっても、東京チカラめしの場合は「出る杭は打たれる」というより、あまりに長い杭を打ったために不安定になり根元からポッキリ折れた、というのが正しいのだが。

「もちろん、吉野家、松屋、すき家という牛丼大手3社の牙城がことのほか高かったこともありますが、東京チカラめしが多店舗展開を加速したのは、いわゆるリーマンショック後のこと。不況の中の強気の選択が裏目に出たのでしょう。ワンオペ問題がファストフードを直撃した時代でもありますし、人を育て、利益を増やす成長速度が、出店ペースに追いつかなかったことが、その後の出店規模縮小につながってしまったと考えられます」(経済評論家・平野和之氏)

 時代背景に加えて、「焼き牛丼」(現行価格450円)という看板商品自体にも客を引き寄せ続けられない理由がある、と松浦氏は語る。

「牛丼は明治中期以降から100年以上そのポジションを確立させてきましたが、焼き牛丼はそこまで価値が確立されていなかった。移り気な消費者のニーズを見誤った感があります。価格競争に参戦するより“焼き”という他チェーンとの違いに焦点を当て、付加価値の最大化を目指すべきでしたが、店舗数急増により逆に価値の陳腐化が起きてしまった」

 オペレーション面にも悪影響が及んでいた。

「従来の“煮る”牛丼と異なり、“焼く”という作業はスタッフひとりひとりの練度が必要になりますが、規模の拡大スピードに教育が追いつかなかった。結果、品質がキープできず客離れが起きたという面もあると思います」(フードアクティビスト・松浦達也氏)

 現在はわずか8店舗を数えるのみとなるわけだが、調理マニュアルとスタッフ教育が見直され、料理のクオリティは良化されている。「牛丼激安戦争」に参入した当初の値段は280円だったが、無理のない価格に再設定したことも大きいようだ。ユーザーも、安易に「激安」に飛びつくわけではないのだ。

 運営会社から取材申し込みの返事がないため記者が突撃取材した新宿西口1号店は、夕食ピーク時を過ぎた22時ごろにもかかわらず盛況だった。場所柄もあり、20代の学生風グループや水商売系の男性数人連れが目立つが、30代、40代のサラリーマンの姿も少なくない。食後に店外で直撃してみた。

「昔は脂でギトギトのイメージがあったけど、最近は普通においしいガッツリ系メシだと思ってます。一人で夕食を取るときに重宝しています」(42歳・サービス業)

 健康志向が過熱状態の昨今では、確かに大規模チェーンとしては厳しいが、モツ鍋やスープカレーのように、「焼き牛丼」がたまに食べに行きたくなるグルメになる可能性はいまだに消えていない。

<チカラめしの反転攻勢>

無理のない価格設定にし、安定した味とサービスを提供

◆愛され度ナンバーワン絶滅チェーン「牛丼太郎はなぜ消えた!?」

 牛丼以外にも納豆丼や玉子かけごはん定食などの激安メニューも好評で低価格チェーンの代表格だったが、「3大牛丼チェーンによる価格競争に巻き込まれた結果、サービスの独自性や優位性が保てず、’01年のBSE問題以後はカレーなど牛丼以外のメニューに活路を見いだすも、採算が合わず’12年8月に全店舗が営業を終了してしまいました」(前出・松浦氏)

 現在、茗荷谷店のみ「丼太郎」と名を変え営業を続けている。

【平野和之氏】

経済評論家。大学卒業後、流通業にて投資を行い、起業。’06年から経済評論家として講演・執筆活動を開始。『コンビニがなくなる日 どうなる?流通最終戦争』(主婦の友社刊)など著書多数

【松浦達也氏】

フードアクティビスト。食専門誌から新聞、雑誌、Webなどで、「調理の仕組みと科学」「食文化」「食から見た地方論」など幅広く執筆、編集を行う。著書に『新しい卵ドリル』(マガジンハウス刊)など多数

― [絶滅危惧チェーン店]のいま ―

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