父親とは和解? 迷走する大塚久美子社長の「世界進出を目指す」路線とは

2019/3/5 10:30 しらべぇ

大塚家具

創業者で実父の大塚勝久会長と長女の大塚久美子社長が経営方針をめぐって激しく対立したのは5年も前のことだ。2014年7月には勝久氏が主導して久美子社長を解任する事態に発展した。

ところがそれから半年しか経たない2015年1月28日、取締役会で久美子氏が再び社長に返り咲く異例の展開になった。

 

■親子の争いとその結果

当時は勝久会長と久美子社長がともに代表権を持つツートップの体制となっている。営業本部は引き続き勝久会長が担当しており、3月の株主総会の準備作業や経営計画の策定を久美子社長が担った。

だが、これは両者が和解して最終決着した姿ではなかった。対立が続く中で取締役会の多数派工作が繰り広げられ、久美子氏側が主導権を握った結果なのだ。

取締役会を掌握したことで、株主総会で勝久会長は退任し、久美子社長を中心とした新体制ができあがることになった。

 

■世界の消費者に商品とサービスを提供する

抗争から5年。経営不振に陥っている大塚家具の大塚久美子社長は4日、資本業務提携に合意した日中越境EC(電子商取引)運営会社ハイラインズ(東京)の陳海波社長と日本外国特派員協会で記者会見を開いた。

提携を機に、中国で高級家具の店舗販売や、EC市場の開拓を積極的に進める方針を示したが、久美子社長が会見するのは1年ぶりだ。

久美子社長は「広報にお問い合わせいただいてることを中心に、3点お話ししたい」と述べた。1つめは、アライアンスの狙いについてだ。

「大塚家具は今年創業50周年。今までは、もちろん日本国内のいろいろな良い家具を集めて提供してきました。それに加えてヨーロッパ、アメリカ、アジアと、世界中からいい商品を集めて、日本の消費者に提供してきました。

 

しかしこれからは世界の消費者に私たちの商品とサービスを提供していきたい。

 

生活文化、ライフスタイルは、その国その国で異なります。本当に求められる商品、その国で受け入れられる商品、サービスを提供するためには、その土地の文化やライフスタイルに通じたパートナーが必要になります。

 

今回は、まず中国のお客さまに私たちの商品とサービスを試していただくにあたって、イージーホームとハイラインズの協力を得られるので、私たちもこのアライアンスによる成果を楽しみにしているところです」

 

つまり、大塚家具の世界進出宣言だが、まずは陳社長の出身国である中国を足がかりとするというのだ。

■ネット活用と中国市場を網羅

2点目は、3期連続で赤字に陥っていた大塚家具の今後の見通しについて。

「日本の記者の皆さんにも、さまざまにこの不調の原因について分析いただいて、的確なご指摘もいただいておりますけれども、多くの識者の方に共通する見解は、家具業界を取り巻く環境が急速に大きく変化しているということです。

 

かつて住宅着工が現在の2倍あって、インターネットがなかった時代に成功したビジネスモデルを、これから来る人口減少、そしてインターネットがある社会に合わせて、場合によってはもっと変化するであろう未来に向けて、再構築する必要があります。

 

当社はご存じのとおり、さまざまなプロキシーファイトも含めた経緯を踏まえて、会社の施策としてはストップ・アンド・ゴーの状態に陥っていて、このビジネスモデルの再構築のスピードが著しく落ちてしまいました。

 

しかし今回のアライアンスで、まず、まだまだ住宅需要が旺盛な中国での販売の可能性が開け、そしてインターネットと情報技術というところでは強力なサポートが得られます。

 

ここでスピードを100倍ぐらいに上げて、新しいビジネスモデル、それから新しいブランドイメージをつくっていきたい」

 

インターネットを活用した販売という新しいサービスの展開と、住宅がうなぎ登りで増えていく中国市場に積極的に展開し、家具を売っていくというのだ。

 

■父親・勝久氏との和解

記者からどよめきが起きたのは、三点目だ。久美子社長は次のように言った。

 

「3つ目は、一部で報道された『父との和解があるのか』というテーマでございます。私の祖父は桐たんすの職人でした。父は祖父の材料の買い付けを見たり、あるいは工房での仕事を見たりして育って、その結果、この業界では随一と言われる目利きだったわけです。

 

私自身は父が1969年に創業した、創業間もないお店の中で、店舗でかくれんぼをしたり、それで怒られたり、あるいは夏休みには父と一緒に工場の見学に行ったりという子供時代を送り、20代前後になると海外のメーカーの工場にもよく行って、自然と私自身も家具の目利きを身につけたということです」

 

 

また、父親との共通点についても語る。

「上場会社の経営という点では考えが異なりましたけれども、愛着を持って長く使う、耐久消費財としての家具を使いたい、そして自分でも使いたいし提供していきたい、こういうところの価値観はまったく同じで、父にはいつかそれを理解してもらえるというふうに信じてます」

 

そして、今後の父・勝久氏との提携にも含みを残した。

「私自身は、いいものを長く使うというサステナブルな価値観をもっと広げていくことが大事なのではないかと強く思っています。こういう同じ価値観を共有する作り手、販売業者が協力して、日本だけではなく世界にも広げていきたいと考えています。

 

そのために協力していくための団体、あるいはグループがつくれないかと考えておりまして、もしそういうものができたときには、ぜひ父にもそこに参加してほしい、声を掛けようと思っています」

 

■攻めの経営に転換か

父・勝久氏は4年前に社長から追い出されてから、『匠大塚』を起業している。今のところ、勝久氏は沈黙を貫いているが、会見を聞いた全国紙記者は次のように語る。

「大塚家具は勝久氏を追い出してから売り上げは低迷する一方で、ついには三期連続、赤字決算となりました。大塚家具の平成30年12月期決算(単体)は、最終損益が32億円の赤字となった。

 

もはや身売りしかないといわれていたが、陳海波社長が手を差し伸べた。ヤマダ電機とも『人材交流・販売協力』で業務提携します。

 

財務基盤強化のためハイラインズなどで構成する日中の企業連合や米投資ファンドを引受先とする第三者割当増資で約38億円を調達し、経営再建を加速させる構えだ。

 

久美子社長も廃業の危機から、攻めの経営に転換していくのでしょう。はたして、それが上手くいくのか、注目されています」

(取材・文/しらべぇ編集部・及川健二)

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