「景気回復なんてウソ」と叫ぶ「実質賃金厨」は頭が悪い/倉山満

2019/2/25 08:30 日刊SPA!

2月12日、衆議院予算委員会で安倍晋三首相(右)に質問する、立憲民主党会派の岡田克也氏(左手前)。岡田氏の水掛け論が、今回も自民党の助けとなる!? (写真/時事通信社) 2月12日、衆議院予算委員会で安倍晋三首相(右)に質問する、立憲民主党会派の岡田克也氏(左手前)。岡田氏の水掛け論が、今回も自民党の助けとなる!? (写真/時事通信社)

― 連載「倉山満の言論ストロングスタイル」―

◆共産主義者が国会の中心で、「実質賃金ガー」と叫ぶ

 共産主義者が国会の中心で、「実質賃金ガー」と叫ぶ。

 愚かな連中だ。こいつら、雇い主は誰だと問いたださねばなるまい。

 先日の自民党大会で、安倍晋三首相(自民党総裁でもある)が、「あの悪夢のような民主党政権」と表現した。本当のことではないか。

 これに対し、立憲民主党が岡田克也元民主党代表を質問に立て、「取り消せ」と水掛け論を挑み、案の定、安倍首相に拒否された。

 岡田克也と言えば、かの郵政解散では、見切り発車で定跡破りをした小泉純一郎を大勝させた、自民党の功労者だ。民進党の代表としては、安倍政権に3分の2の議席を与えた立役者だ。そして民主党政権では、鳩山・菅・野田のすべての内閣で主要閣僚か幹事長を務めている。味方に回すと恐ろしいが、敵に回すとこれほど頼もしい人物もいない。

 立憲民主党もよほど安倍内閣に存続してほしいと望んでいるのか。

 安倍内閣は、6年も政権を担当しながら何の業績もなく、「民主党よりマシ」としか言えない体たらくだ。

「景気が回復軌道にある」というのは実績でも何でもない。しかし、民主党よりマシなのは間違いない。少なくとも、安倍内閣6年は、失業率も自殺者も、民主党政権よりはマシである。歴史に残る業績ではないが、相対評価だと間違いなく、旧民主党関係者より、安倍政権に軍配が上がる。国民もそれを見ているから、安倍首相に長期政権を許しているのではないか。

 これに対する野党の攻撃が筋悪だ。「安倍内閣は景気回復の効果を誇るが、実質賃金の統計をごまかしていたではないか」と迫っている。その統計、民主党政権でも使っていたので、説得力がない。

 ただ、「実質賃金」の意味、与野党問わず国会議員の先生方、わかっているのだろうか。大半の国民もピンと来ていないように思える。

 実質賃金とは、手取りの賃金を物価の変動率で修正した数字である。と言葉で言われてもよくわからないと思うので、数字で説明しよう。

 ある月の3人の給料である。

Aさん 28万円

Bさん 20万円

Cさん 0円(失業中)

 これが翌月、変化したとする。

Aさん 30万円

Bさん 22万円

Cさん 17万円(就活成功)

 さて、これで誰が困っているのか? AさんやBさんの支出が増えた時に、「実質賃金が下がった~」と言われたら、「世の中、景気がいいと言われるけど、実感がないな~」となるだろう。これが、「アベノミクスに実態が伴わない」との報道の実態である。

 ちなみに3人の賃金の合計、48万円から69万円に、21万円増えている。失業者が減ったのだから当たり前だ。さらに平均賃金は24万円から23万円に減っている。平均賃金は実質賃金とほぼ同じである。これをもって、「アベノミクスで実質賃金ガー」と叫ぶ人がいるが、そういう人たちは扇動だけするが、証明は何一つしない。

 お気づきだろうか。平均賃金を計算するとき、その時点での失業者は計算しない。失業者が就職に成功する時、既存の労働者より初任給は低いに決まっている。

 もちろん、いつまでも実質賃金が低いのは困るが、景気が回復軌道にある時に実質賃金は下がるのだ。

 野党もアベノミクスを攻撃したいのなら、「いつまで実質賃金が低いままなのだ? デフレを脱却していないのに消費増税をするからだろう! しかも再増税など、もっての外だ! 」と攻めるべきだ。実質賃金が下がること自体を攻めるなど、アジテーションにしかならない。

 なかには、経済学者・経済評論家を自称する人間が「実質賃金ガー」と絶叫しているので、信じた人もいるのかもしれない。しかし、その自称経済評論家諸氏、共産主義者ではないのかと思う。理由は三つある。

 理由その一は、数字の議論ができないことだ。上に挙げた算数すら、理解できていない。共産主義の教祖であるカール・マルクスも、方程式ができないので屁理屈だけを並べていた。近代経済学は数学を利用して証明するのだが、「実質賃金厨」の自称経済評論家たちは、アップデートの数字を持ってきて自説をがなり立てるが、まっとうな学問は苦手なようだ。

 理由その二は、議論しないで一方的な主張をがなり立てるだけだ。

 共産主義者も他人の批判は一人前だったけど、自分への批判には答えたことがない。

「実質賃金厨」も、上の私が挙げた程度の数字への直接反論をしない。どこかで聞きかじった見当違いの専門用語をがなり立てるだけである。

 ちなみに、某学者は「金融だけでは景気回復はできない! 財政だ!土木にもっと予算を寄越せ!」と絶叫していた。それに対し、現日銀審議委員で、原田泰氏が反論したことがある。原田氏は、管理通貨制での財政の効果に対し最も懐疑的経済学者でもある。その原田氏が「そんなに財政をやりたいなら土木じゃなくて防衛費をやれば」と提言したが、某学者氏は一切反応しなかった。日本が強くなると困るのだろうか。もしかして、某学者氏、外国の回し者なのかもしれないが。

 アベノミクス批判派はなぜか防衛費増額には否定的で、それを指摘されると、タマに出てくる反論が「空母を買おう」式の、空論くらいだ。

 理由その三は、理屈にしがみつき、事実を無視することだ。

 共産主義者は、マルクスの言っていることと現実が矛盾した場合、現実を無視した。マルクスの言ったことは、教科書を通り越して宗教の経典となっていた。それが共産主義者だ。事実に基づいて議論ができない人たちなのだ。

 そういえば、国会では共産党がやけに「実質賃金ガー」と叫んでいる。

 しかし、つくづく民主党政権は罪深い、悪夢だと思う。私は旧民主党の関係者に会うたびに苦言を呈している。「あなたたちの最大の罪は、自民党の方がマシだと思わせたことですからね」と。

 日本と何の関係もないリーマンショックで、時の首相の麻生太郎が経済政策を誤ったので、日本は地獄に落とされた。

 その時の首相が6年も財務大臣に居座っているのも、悪夢だが。

【倉山 満】

憲政史研究家 ’73年、香川県生まれ。’96年中央大学文学部史学科を卒業後、同大学院博士前期課程を修了。在学中より国士舘大学日本政教研究所非常勤職員として、’15年まで同大学で日本国憲法を教える。’12年、希望日本研究所所長を務める。同年、コンテンツ配信サービス「倉山塾」を開講、翌年には「チャンネルくらら」を開局し、大日本帝国憲法や日本近現代史、政治外交について積極的に言論活動を展開。ベストセラーになった『嘘だらけシリーズ』など著書多数

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