世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 ★移民と国力

2019/2/12 06:30 週刊実話

 2018年10月時点の外国人雇用者数が公表になった。対前年比14%増の、146万463人。6年連続の増加であり、ついに’18年10月時点の日本人の派遣社員数(130万人)を上回ってしまった。

 左図の通り、第二次安倍政権発足前と後では、日本は全く「異なる国」と化してしまっている。野田政権期の外国人雇用者数(’12年)は68万2000人。それが、今や146万人。6年間で、実に78万人も増えた計算になる。つまりは、安倍政権下で外国人雇用者数は2倍以上に膨らんだのである。これが「事実」だ。安倍政権ほど、移民を受け入れた政権は、日本の憲政史上、初めてである。

 国籍別で外国人労働者を見ると、中国が約39万人で、最大となっている。中国一国で、外国人労働者全体の26・6%を占めていることになる。事実上の仮想敵国から40万人もの労働者を受け入れているような国は、普通に亡びる。もっとも、対前年比の増加率を見ると、ベトナム(約32%増)が最も高い。さらに、インドネシア(約22%増)、ネパール(約18%)が続いている。

 ’18年に可決された移民法(改正出入国管理法)により、日本政府は新たに34万人の外国人労働者を受け入れることを表明している。とはいえ、それ以前にわが国の外国人労働者は、毎年20万人近く増えているというのが現実なのだ。

 例えば、わが国の雇用環境が完全雇用に達し、実質賃金が上昇を続け、生産性向上の投資も間に合わない、といった状況であれば、外国人労働者の受け入れは「経済面」からは正当化しうる。

 とはいえ、現実の日本は実質賃金が下落を続け、国民が貧困化しているわけだ。さらに、長引くデフレで生産性向上の投資も抑制されてしまっている。生産性向上と実質賃金の相関関係は高い。実質賃金は、生産性向上と労働分配率で決定されるのである。

 企業が生産性向上の投資を「さぼり」、政府が緊縮財政で公共投資を抑制、労働分配率は低水準、内部留保の現預金が史上最高値を更新し続けている。

 その上で、少子高齢化に端を発する生産年齢人口比率の低下という「人口構造の変化」により、人手不足が深刻化しているのが日本国だ。本来であれば、国内に有り余る「おカネ」を生産性向上目的の投資に回し、さらに企業が労働分配率を高め、国民の実質賃金が上昇する形で「ヒトを確保」するべきなのだ。

 そもそも、生産性向上で人手不足を埋めることこそが、資本主義の本質なのである。それにも関わらず、人手不足を理由に移民国家化しつつあるのが、現実のわが国だ。いろいろな意味で「狂った国」と表現しうる。

 改めて考えてみると、人口構造の変化により人手不足が深刻化するのは「素晴らしいこと」である。何しろ、労働者にとっては自分を「高く売る」チャンスになる。さらには、経営者が生産性向上の投資を強いられるため、経済成長のエンジンが回り始める。

 企業経営者が生産性向上や実質賃金の引き上げを怠ると、単純に「ヒトを確保できない」ということになり、市場化は排除されてしまう。経営者に「甘え」を許さないのが、人手不足という環境なのである。

 そして、生産性向上こそが、国家を強国化する。日本人の多くは「強国」や「経済強国」と人口が強い関係にあると誤解しているが、歴史はその認識を裏切る。例えば、シーパワーとしてスペインに継ぐ2番目の覇権国となったオランダの人口は、200万人程度にすぎなかった。人口小国で資源の乏しい国土であったオランダは、だからこそ農業、工業、交易、そして金融の生産性を高め、覇権国として世界に君臨したのだ。

 また、イギリスが覇権国となったのは、産業革命により綿布産業をはじめ、各産業で劇的な生産性向上が起きたためである。産業革命により、イギリスの生産性は数百倍に高まり、人口大国であったロシアやフランスを差し置き、第一次グローバリズムの覇権を握った。

 さらに、イギリスの跡を継ぎ、覇権国家に成長したのがアメリカである。18世紀以降のアメリカは、慢性的な人手不足で、西部開拓や工業発展により、移民を受け入れていたにも関わらず、人手不足が続いた。移民という「ヒト」が増えてすら、供給能力不足を解消できなかったからこそ、アメリカでは一気に「機械化」「自動化」「技術発展」が進み、生産性が高まったのだ。

 アメリカの国民1人当たりの工業化水準は、1910年前後にイギリスを抜き去り、世界一に躍り出た。

 国家の経済力あるいは「国力」を決定づけるのは、人口ではない。人口が原因というならば、オランダやイギリスが覇権国になったことの説明がつかない。国力を決定するのは生産性なのである。中国共産党は、それが分かっているからこそ「中国製造2025」というビジョンの下で、技術開発(※技術を「盗む」ことを含む)を進めようとしているわけだ。

 すなわち、現在の日本が外国人労働者を増やすことは、国家を「かつて日本と呼ばれた国」に変え、外国人犯罪を増やし、国内に「異なる国」を作り、実質賃金を引き下げ、生産性向上による経済成長を抑制すると同時に、「日本の大国化」をも妨害する、最低最悪の政策なのだ。

 安倍晋三内閣総理大臣は、日本国の国体を破壊し、日本国の「大国化」を決定的に妨害した総理大臣として名を残すことになる。

 国民が日本国の繁栄の未来を望むならば、安倍政権の移民政策に反対する声を高めていかなければならない。さもなければ「どうにもならない」というのが現実なのである。

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みつはし たかあき(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、分かりやすい経済評論が人気を集めている。

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