韓国と日本のボートレースの違い……3単複ってなんだ?

2019/2/12 08:47 日刊SPA!

ミサリのボートレース場。広がる光景は日本と変わらない ミサリのボートレース場。広がる光景は日本と変わらない

 日本の公営競技と言えば競馬、競輪、ボートレース、オートレースの4つだが、実は韓国にも、同じように公営競技が4つあることをご存じだろうか? その4つの公営競技とは、競馬、競輪、ボートレース、闘牛の4つだ。

  闘牛?と誰もがここでツッコミを入れたくなるだろうが、この話はまた今度。今回は日本でも馴染みの深いボートレースの話をしたいと思う。

 韓国のボートレースは’02年にスタートした。ボートレース場はソウル郊外の渼沙里(ミサリ)にある1場のみで、’88年のソウルオリンピックでボート競技を開催した漕艇場を改修して使用している。現在は基本的に毎週水、木曜日の2日間開催で、日本の場合は1日12レース制となっているが、1日14、または16レース制で20~25分間隔で淡々と進むのが特徴だ(※’18年時点)。

 選手の総数は約160名で、日本の約1500名と比べると数は少ない。日本と同様に年に数回グレードレースが開催されていて、今回訪ねたのは、そのグレードレースの最高峰、韓国のグランプリだ。

◆日本のボートレースとは異なるスタート方式と賭け式……3単複ってなんだ?

 ルールは基本的な部分は日本と大きく変わらないようだ。一部、当初はフライングスタートで2秒以上のスタートでフライングとなり、1秒である日本よりも甘い基準だったが、現在は日本と同じく1秒以上のスタートでフライングとなっている。しかし、韓国独自のレギュレーションとして、’16年よりオンラインスタート方式と呼ばれる競走が始まった。これはピットからそのままスタートして1マークへ向かうというレースで競馬のスタートのような感じになっている。

 ルールの大半は日本のボートレースと近い反面、舟券の種類や発売方法は日本と異なる点が多い。日本は100円単位での発売だが、韓国ではすべての公営競技(競馬、競輪、ボート、闘牛)において100ウォン(約10円)から購入可能だ。韓国では依存症対策や射幸心の抑制に重点が置かれており、投票券の販売に様々な制約が設けられている。

 まず一つは、1レースあたりの購入上限が10万ウォン(約1万円)までとなっている。実際には窓口を変えればそれ以上購入できるのだが、それでも1度の購入での上限は10万ウォンだ。次に、賭式の種類にも違いがある。売られている賭式は、単勝、複勝、2連複、2連単、3連複、3連単、3単複の7つで、拡連複(ワイド)は存在しない。ちなみに、3連単が導入されたのは’17年とかなり遅く、現在も現金で購入することはできない。購入するには電話番号などの個人情報を登録した専用のカードを作る必要があり、おそらく依存症対策として購入額などが管理されているのではないかと推測する。

 このように3連単の購入には制限がある、しかし2連単、3連複では配当が安すぎる……そんな状況を打開するためなのか、’18年から「쌍복승식」(※直訳すると:単複勝式、ここでは3単複と表記する)という新たな賭式が登場した。この3単複は韓国独自の賭式のようで、1着を当てる、かつ、2,3着に入る2艇を選ぶ(順序は問わない)。

 例えば1-2-3と購入した場合は、1着は1号艇、2着3着は2号艇3号艇が入れば的中だ(3連単で言えば1-2-3、1-3-2)。こちらは現金でも購入可能で組み合わせは60通りとなり、2連単と3連単の中間的な賭式となっている。

 気になる控除率は28%(単勝、複勝は19%)だが、100倍以上、もしくは20万ウォン(約2万円)以上の払い戻しとなった場合は、所得税などの税金が差し引かれて払い戻されるのだ。日韓の違いをお話したところで、実際にミサリボートで昨年末行われたグランプリの開催日での現地観戦の感想に入ろう。

◆マークカードは競輪と併用

 ミサリのボートレース場の最寄り駅はソウル中心部から地下鉄5号線で約40分、上一洞(サンイルトン)駅で、ここから15分おきに出ている無料バスで向かうことになる。10分ぐらいでレース場に到着した。入場料は1000ウォン、約100円で日本と変わらない。日本のボートレース場と構造は一緒で、大時計やバック側の大型ビジョンなど、日本でもおなじみの光景が広がっている。

 出走表の項目も日本と大きく変わらない。そのため、ハングルではあるが書かれている内容は何となく理解できる。だが、日本の出走表は紙1枚となっているのと比べると、フルカラーで冊子になっている韓国の出走表は非常に読みやすいと感じた。また専門紙も冊子の形態となっていて、1レースごとに見開き2ページを使用しており、詳細なデータが載っている…のだが、ハングルが読めないのでデータ内容を全て理解することはできなかった。

 日本のボートレースでは1開催が基本的に4~6日間の開催が中心であり、開催日が後半になれば、前半時点の成績が予想の参考になるのだが、韓国ミサリは開催が2日間のため、初日だけの成績ではあまり参考にできない。個人的にはモーターの成績と選手のコースごとの成績を重視して予想するのが良い感じだった。

 日本ではマークシートはヨコ長になっているが、韓国では縦型で、ボートと競輪は共用で使えるものとなっているのも特徴的だ。舟券の買い方は、まず最初は有人窓口に行く必要がある。それは、基本的に舟券の購入では金券が必要だからだ。

 金券の入手方法は2通り。1つは有人窓口で舟券を購入し、お釣りを金券でもらい、次レース以降、その金券で購入する方法と、有人窓口で現金を金券に変える方法だ。こうして手に入れた金券を使えば自動券売機での舟券購入が可能となる。最初にある程度の金額を金券にしておけば、いちいち財布を出さずに舟券が購入できるのだ。ちなみに光明競輪では現金での直接購入はすでに廃止されており、金券を使用しないと車券が購入できなくなっていた。今後ミサリボートも同様の方式になると思われる。

 おそまつながら、到着早々2連単で50倍台が的中、その後も中穴がそこそこ的中し、早い段階でプラス収支が確定したので、試しに3単複も購入してみた。これはその6レースの舟券で、1着は1号艇固定、2,3着に3号艇と4号艇の目が的中(17.6倍)しいい感じにプラスとなった。

 その後昼過ぎとなり、知人と合流して昼食へ、だが食堂は1か所しか見当たらなかった。そこで私はジャージャー麺、知人はラーメンを注文。約350円と格安ではあったが、味は正直…イマイチ。飲食物のクオリティは日本のほうが圧倒的に優っていると思った……。

◆ギャンブラーは国境を越える!? 韓国のファンとボート談義

 実際のレースを見てみると、韓国ではチルト角度は-0.5~+1.5まで許容されているが、多くの選手が0から+1.0の間を使用していることに気付いた。チルトはプラスが大きくなるほど直線での加速は増すが、その反面旋回時のスピードが落ちる傾向がある。日本では-0.5にするのが主流なため、旋回時に鋭く回るのを見るのに慣れていたこともあり、小回りではなくスピードを残して大回りする選手が多く目立った。

 また日本ではスタートを決めた選手がいた場合、内側の艇の進路を絞って旋回する迫力のある捲りが見られるが、韓国ではスタートで先制しても絞るシーンは今回見られず、1マーク手前から一気にハンドルを入れて捲っていくスタイルだったのが印象的だった。

 私は競輪をメインとしているので、ボートに詳しい同行した知人に韓国ボートの感想を求めたところ、韓国のボートレースは日本と比べて2ランクは下がる、と評していた。ターンの技術が明らかに差があるのである、と。

 そのため、ボート好きの知人は韓国の選手を知らないにも関わらず、試走でターンの上手い選手を見抜いて的中させていた。日本で普段からボートレースを買っている人は、選手を知らなくても出走表や展示を見れば十分韓国のボートは楽しめるのではないだろうか。

 グランプリ優勝戦が近づく後半になっていくと堅い決着になり始めた。3連単が買える専用のカードを作っていない(日本人が作れるかどうかは不明)ため、後半になってついつい3単複や2連単で無理に高い配当を求めて穴を買い、結果、外すようになってしまった……。

  韓国のグランプリのシステムは、出走資格を持つ24人が1日目に走り、その成績上位6人が優勝戦に出走することができる。グランプリの時間がさらに近づく。途中でマーチングバンドの演奏会はあったが、グランプリという特別な雰囲気は特に感じられないままグランプリ本番レース(第15レース)を迎えた。1号艇のシムサンチョル、3号艇のキムウンソンが格上で人気、シムサンチョルがエースモーターだったため、おそらく1-3は堅いだろう、と予想……。とはいえ1-3では安いので3-1になる望みをかけて1-3と3-1を均等に購入した。

 結果は予想どおり、

がイン逃げを決めて1番人気の1-3だった。途中でキムウンソンの差しが入り3-1になりかけたが、エースモーターの伸びには勝てなかった……。

 日本では優勝者のみが表彰される形が多いが、ミサリでは3着以内に入った3人が登場し表彰されていた。グランプリ前には特別な雰囲気は感じられなかったが、花火も上がりレース後は大きな盛り上がりとなった。グランプリの優勝賞金は約300万円。約160人という選手規模を考えれば妥当な額かもしれない。ちなみに、トップクラスの獲得賞金は、日本円で約1000万円強となる。

 盛り上がる表彰式を見ていると、近くにいた韓国人のお客さんが日本語で話しかけてきた。「日本のボートレースと比較して韓国はどうか」という質問を受けて会話を交わす。日本でも韓国でも、ギャンブラー同士は仲良くなれるものだ。

 また帰りの無料バスに乗車中でスマホからネットで住之江のグランプリシリーズの中継を見ていたところ、周囲のお客さんから「日本のボートか?」と興味を持たれ一緒に観戦するという一幕もあった。国は違えど、同じ競技を趣味とする者同士で楽しい一時だ。

 現地のファンとも交流し、レースを見終えて思ったのは、韓国でもボートレース場が増え、選手数も増えれば一段とレベルが飛躍していけば、いつか日韓の選手が同じ水面でバトルを繰り広げることはできないだろうか? 日韓で選手の交流はあると聞く。競輪では日本と韓国の選手で交流戦が毎年定期的に開催されていることもあり、ボートレースでも交流戦ができるようになるといいなと感じたのだ……。

取材・写真・文/的場雄一郎

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