「パパ活」というものにショックを受けています。56歳男性の悩み

2019/2/9 15:51 日刊SPA!

(日刊SPA!) (日刊SPA!)

― 連載「佐藤優のインテリジェンス人生相談」―
“外務省のラスプーチン”と呼ばれた諜報のプロが、その経験をもとに、読者の悩みに答える!

◆「パパ活」というものにショックを受けています
★相談者★老害(ペンネーム) 会社役員 男性 56歳

 私は「パパ活」というものがあると知り、ショックを受けております。友人がお金を払って若い女性と食事をしたことがあると自慢気に話していたのを見て(友人は同い年で、バツ1子ナシ)、世も末だなと。

 私も一時は高級クラブに接待で通ったことがありましたが、あのような店はその道のプロの女性とお金を払って疑似恋愛を楽しむところと認識しておりました。しかし、今はどんな女性でも男性と金銭の授受を伴う食事ができるようなのです。体の関係を必ずしも伴わないため、アルバイト感覚の人も少なくないと聞きました(つまり、貧困問題とは関係ないと友人は語っていました)。

 男性と食事をするだけでお金がもらえるのが当たり前になれば、人間関係は希薄化し、家族という概念さえ崩壊しかねないと感じております。佐藤さんは「パパ活」について、どうお考えでしょうか?

◆佐藤優の回答

 若い女性が、年上男性との会食などをすることで現金を得ることを「パパ活」という。表面的に見ると、性的接触を含まない援助交際のように見えます。援助交際は売買春の一類型ですが、パパ活にはそれよりも深刻な問題が潜んでいるように思えます。パパ活を理解するためには、それと似た「ママ活」について考察する必要があります。

 ママ活とは、若い男性が年上女性との会食などで現金を得るビジネスです。私は、大学や高校で教えていますが、高校生や大学生で母親が大好きな男子がとても多いです。母親と手を繫いでいる男子も時々います。また、高校生の母親から私は「息子が遠くの大学に通って下宿するのが嫌だ」という相談を受けたことが何度かあります。「そうしていると息子さんは結婚しないプロの独身になりますよ」と私が言うと、母親は「それは困るので、私が、息子の嫁を見つける」と答えます。

 大学生でも「お母さんのような人と結婚したい」と言うような男子学生が少なからずいます。さすがに自分の母親と性的関係を持つのはヤバイと思っているので近親相姦の可能性はないと思いますが、見ていて心配になることがあります。ママ活で、おそらく年上女性は、自分の息子とこういうふうに遊べたらよいのだと思っているのでしょう。

 パパ活は、そこそこ助平だが不倫をするリスクは取りたくなく、風俗では雰囲気が出ないと思っているため、若い女性とデートをして一種の支配欲を満たしている人もいると思います。

 それとは別に、妻との関係は冷めきっていて娘も口をきいてくれず、会社で女性の部下からも相手にされない男性が、金銭や高価な食事を媒介に女性とのコミュニケーションを必死になって取りたがっているのがパパ活なのだと思います。ここには社会的な背景があります。金沢大学法学類教授の仲正昌樹先生がこんな指摘をしています。

===============
 ボードリヤールが「第二の革命」と呼んでいるのは、この「自由の深淵」が次第に顕わになることによって、「人間」中心の世界観も揺らぎ、価値の座標軸が消失していくプロセス、言い換えれば、「ニヒリズム」が深く浸透していくプロセスであると見ることができる。

 近代の啓蒙主義は、神学的な「見せかけ=仮象」と思われるものを破壊することによって、“人間本性”を解放しようとしたが、「人間」それ自体を価値の源泉として浮上させたことによって、ニーチェのツァラトウストラが直面せざるを得なかった「自由の深淵」をも浮上させることになったわけである。「人間」自身の中心にブラックホールのような“深淵”が開いているかもしれないことが分かってしまった、ということである。

(『ポストモダン・ニヒリズム』21~22頁)
===============

 現下の日本でも、一人一人が分断されて心に深淵が生じています。カネの力で、その深淵を一瞬だけ埋めようとする哀れな努力がパパ活だと思います。

◆★今週の教訓……お金で“深淵”を埋める哀れな努力がパパ活
【佐藤優】
’60年生まれ。’85年に同志社大学大学院神学研究科を修了し、外務省入省。在英、在ロ大使館に勤務後、本省国際情報局分析第一課で主任分析官として活躍。’02年に背任容疑で逮捕。『国家の罠』『「ズルさ」のすすめ』『人生の極意』など著書多数

このネタ読んでどう思う?

投稿ありがとうございます。
よかったらログインしてコメントも書きませんか?閉じる

このネタへのコメント15

コメントを投稿するにはログインが必要です。

ログインしてコメントを書く

カテゴリ別アクセスランキング

トップ