日本の消費税アップは愚策か?アメリカvs中国は減税合戦/江崎道朗

2019/2/5 08:30 日刊SPA!

昨年12月1日、G20が開催されたアルゼンチンで、米国のトランプ大統領(右)と中国の習近平国家主席が会談。米中貿易戦争の激化は当面は回避されたが、問題は先送りされただけ。景気が失速してきた中国は今年、さらなる大型減税に踏み切る(写真:Dan Scavino Jr.公式Twitterより) 昨年12月1日、G20が開催されたアルゼンチンで、米国のトランプ大統領(右)と中国の習近平国家主席が会談。米中貿易戦争の激化は当面は回避されたが、問題は先送りされただけ。景気が失速してきた中国は今年、さらなる大型減税に踏み切る(写真:Dan Scavino Jr.公式Twitterより)

― 連載「ニュースディープスロート」<文/江崎道朗> ―

◆世界経済を牽引するために日本も減税に踏み切るべき

 米中貿易戦争の第1ラウンドは、トランプ政権が圧勝した。何しろトランプ政権は政権発足当初から、用意周到に準備を進めてきた。

 トランプ政権にとって米中貿易戦争は安全保障政策だ。このまま中国の軍事的経済的台頭を容認すれば、アジア太平洋は中国に支配される。だが、中国は口でいくら言っても聞くつもりがないことから、Diplomacy(外交)だけでなく、Intelligence(スパイ工作の摘発といったインテリジェンス)、Military(軍事)、Economy(経済)の4分野で中国を追い詰めようというのだ。

 その頭文字をとって「DIME」と呼ばれる総合戦略のもと、貿易戦争という形で中国の経済力を削ろうとしているわけだ。この貿易戦争では、中国からの輸入品に対して関税をかけるが、そうなると中国からの輸入品が割高になり、米国内の消費者にダメージを与える。国民から支持されなければ、中国との戦いは継続できない。

 そこでトランプ政権は米中貿易戦争、関税による物価高を前提に国内対策を打ってきた。具体的には①大型減税に踏み切り、②徹底した規制緩和、特に石油や天然ガスに対する環境規制の緩和、③老朽化したインフラ整備、④国防費増大による防衛産業の振興、そして⑤中国による知的財産侵害を是正し、米国の製造業を復活させる、といったものだ(安達誠司『ザ・トランポノミクス』朝日新聞出版)。

◆追い詰められた中国はさらなる大型減税へ

 いわゆる「トランプ減税」では、全国民の基礎控除をほぼ2倍にした。また、児童扶養控除も倍にした。所得7万5000ドルの標準的な4人世帯では2000ドルの減税となり、税額は半減した。巨額の減税によって中流階層を味方につけたトランプ政権は、習近平政権を容赦なく追い詰めていくだろう。

 対する習政権の側は、トランプ政権が本格的な貿易戦争を仕掛けてくるはずがないと油断していたようで、ここにきて景気後退に苦しんでいる。1月21日に発表された’18年の中国の成長率は’17年から0.2ポイント減速し、米欧の経済制裁を受けた天安門事件の翌年以来28年ぶりの低水準となった。

 景気が失速すれば、いくら一党独裁の中国でも政権は維持できない。そのため習政権は、さらなる大型減税に踏み切るなど景気回復に必死だ。’18年に個人所得減税など1兆3000億元(約21兆円)の減税などを実施したが、’19年はさらに上積みするという。

 問題は、日本だ。減税に踏み切って国内消費を拡大し、アメリカからの輸入を拡大して、トランプ政権に恩を売る絶好のチャンスであった。それなのに安倍政権は昨年秋、消費増税を今年10月に行うことを表明して消費者マインドを冷やし、景気を失速させたのだ。’18年12月10日に公表された7~9月期の実質GDP成長率が前期比マイナス0.6%、同年率マイナス2.5%と、2四半期ぶりのマイナス成長となった。

 米中貿易戦争は続く。低迷する世界経済を牽引するためにも、日本も減税に踏み切るべきではないだろうか。

【江崎道朗】
’62年生まれ。九州大学文学部哲学科を卒業後、月刊誌編集長、団体職員、国会議員政策スタッフを務め、外交・安全保障の政策提案に取り組む。著書に『日本は誰と戦ったのか』(ベストセラーズ)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』(PHP新書)など

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