名作Flash『ウシガエル』の塚原重義が新作長編アニメ『クラユカバ』の制作支援を募集! 「僕は生きています。ずっと作り続けています」

2018/12/6 19:01 ガジェット通信

名作Flash『ウシガエル』の塚原重義が新作長編アニメ『クラユカバ』の制作支援を募集! 「僕は生きています。ずっと作り続けています」 名作Flash『ウシガエル』の塚原重義が新作長編アニメ『クラユカバ』の制作支援を募集! 「僕は生きています。ずっと作り続けています」

Flash黄金期に現れた“稀なる星”

―― 塚原生きてるのか?―― ネットでそんな書き込みを目にした、と語るのは映像作家、塚原重義今からさかのぼること14年前。2004年にFlashアニメ『装脚戦車の憂鬱』がホームページ『弥栄堂』で公開された。インターネット上でFlashアニメのムーブメントが起き、オンラインでは『紅白Flash合戦』、オフラインイベントでは『flash★bomb』が開催されるなど『Macromedia Flash』を用いた映像熱が最も高まっていた頃だった。その頃に登場したクリエイターの一人に、塚原重義が居た。リベットと赤錆をまとった重機が躍動する特徴的な動画はこれまでにない衝撃を起こし、2ちゃんねるFlash板やニュースサイトでまたたく間に話題となる。同年7月に開催された『flash★bomb’04』では甲鉄傳紀シリーズとして新作『オーニソプター』を携え登場。まだ学生だった氏にとって初の映像イベントでの発表となる。『flash★bomb』では公開作品のすべてが新作。会場で初上映され、観客の生のリアクションを共有できるのもこのイベントの特徴だ。果たして、塚原は歓声と拍手をダイレクトに浴びることとなる。良くも悪くも、あれが僕の人生を狂わせました(笑)」と塚原は当時を振り返った。 続く年末に行われた『紅白Flash合戦』では『ウシガエル』を発表。 氏の作品は描き込みも動きも多い上、尺も長い。にも関わらず短期間でクオリティの高い作品を立て続けに発表できたのは“禁断の果実”を味わってしまったからこそなのかもしれない。これは氏に限らない。当時Flash作品を作り、現場でダイレクトなレスポンスを受けたことがある人間であれば、つらい制作工程すべてが肯定されることを知っている。そんな“Flash黄金期”を築いたクリエイターが「生きてるのか」と聞かれる2018年になった。僕はまだ生きてますよ。ずっと作り続けています」 今、塚原は新作に取り掛かっている。タイトルは『クラユカバ』。トレーラーを見る限り、レトロでいて世界線が異なる“塚原ワールド”はきわめて健在のようだ。■クラユカバ / KURAYUKABA Teaser PV 「始動篇」https://youtu.be/uO4cnLc9ME8

最新作にして初の長編

最新作『クラユカバ』は「今、やれることを全部やる作品」であると塚原は語った。これまでも、その時点でやれることを全てやってきたことに変わりはないんです。『ウシガエル』(2004年)の時はもちろん、『端ノ向フ』(2012年)や『押絵ト旅スル男』(2018年)でも、その時点でやれることを全てやってきました「今まで個人やごく小規模での作品づくりが多かったのですが、『クラユカバ』は(長編の映像制作として)環境を整えてやります」 『クラユカバ』の構想は『端ノ向フ』と同年の2012年から。ずっと「作りたい」と6年余り練っていた企画が2017年4月にいよいよ始動し、今に至る。 「今回考えているのは70分の長編なんです。どうやら60分超えると長編映像と呼んでいいらしいんで(笑)」 ある程度の尺で“入り組んだ”ドラマを作りたい、と考えた塚原はクラウドファンディングでの支援募集を決める。そして2018年12月5日、クラウドファンディング『makuake』で『クラユカバ』制作資金の支援募集がスタートした。

■『クラユカバ』制作支援プロジェクトhttps://www.makuake.com/project/kurayukaba/

「支援が集まらないと長編が中編になる可能性もあります……。塚原は生きているのですが、作品である『クラユカバ』は資金が足りなかった場合、死んでしまうかもしれない。なんとか、全部やり切りたいんです」 <!--nextpage-->

作品の中に立つ体験、身体に電流が走る

今回『クラユカバ』本編とは別に、VRを用いたコンテンツも準備しているという。塚原作品とVR……ピンと来なかった筆者の様子を察したのか、塚原はまだ試作の仮想世界を見せてくれた。 ※注・VR画面写真はプロモーションムービーによるイメージです。取材時のものとは異なります。ヘッドマウントディスプレイをかぶると、UnityでのVR開発画面から一転、“あの光景”が広がる。 切り立った崖沿いの板張りの通路。赤錆の浮いたトタン。折り重なるような建物。それら全てが眼前に広がっている。今までモニター越しで見ていた“塚原ワールド”に自分が立っている驚きがあった。インターフェースも世界もまだ未完成ながら、その世界を“歩く”ことで首の後ろの神経がさざめく。誇張ではなく鳥肌が立った。 「アニメーションに3Dを用いたとしても、手描きとして見せる」ことにこだわり続けてきた塚原だからこそ、このなめらかな没入感を得ることができたのだろう。当時、Flashムービーに没頭した人たちには是非観て、そして驚いてほしいと感じた。

空気のにおいがする並行世界

『クラユカバ』本編について塚原は、テーマのひとつに「並行世界」の存在がある事をにおわせた。重機はもちろんのこと、もともと廃路線や廃墟が好きだった塚原は「鉄道車両そのものより線路設備」や「重さのある駆動機械」そして「闇の垣間」が見えるような世界観をこれまでの作品群で構築し続けてきた。乾いた土埃や硝煙の香りを描いていた初期作品から、次第に空気のよどんでいく感じ、コケが生え湿気を含んだ空気など有機的な表現も積極的に取り入れるようになる。それらは前出の『端ノ向フ』や『押絵ト旅スル男』、30秒に凝縮された奇妙な会話劇『よろず骨董 山樫』などでも見てとることができる。<写真:『よろず骨董 山樫』> 『クラユカバ』の「並行世界」は、おそらく明と暗が交錯するひとつの完成形を描くのではないだろうか。今回、過去作品のオマージュも入れつつ、エンタメとして面白いものを作りたいと考えています。短編では成し得なかった、入り組んで少し考えられるスケールを描きたいんです

作りたいものを作るという原点

Flashブーム後に時間を巻き戻そう。『甲鉄傳紀』シリーズから『ブリキ帝國』『カラクリ戦記 鬼ヶ島』などいくつかの作品を作り続けながら、塚原は映像制作会社への就職、そして退社を経験する。 「一番つらかったのは2008年から2010年ごろですね。自分の作風とは違う作業的な仕事が続くときもありました。自分の作品が作りたい、どうしたら作れるか、ってそんなことばかり考えていました。ネットでは石田祐康さんの『フミコの告白』のような個人製作の良作が出てきたりしていた頃です」「とにかく自分の作品を作ろう」と考えた塚原は当時、会社に企画書を提出することを思いつくが、思いとどまる。 「誰かの許可を得なくても、今は自分で作ってしまえばいいんだ、って気づいたんです。忘れていた感覚がその時蘇って」再び個人作家に戻った塚原は、作りたいものを作るようになった。そして、「来る仕事が変わった」という。『SEKAI NO OWARI』の『「炎と森のカーニバル」イメージアニメーション』(2013年)もそのひとつだ。塚原の和なレトロに欧風テイストが加わり、まさしく和洋折衷した新しい雰囲気が見られる。<写真:『炎と森のカーニバル』イメージアニメーション> 「自分の作品はどんどん出しておいた方が良いですよ、って若いクリエイターの人たちには言いたいですね」

ファンとともに作品を作りたい

最後に『クラユカバ』への支援募集を行うにあたり、呼びかけたいことがあるかを聞いてみた。 「アニメなどではとかく、有名原作じゃないと作りづらい現状というのも有ると思います。僕が作ってきたのは無名のオリジナル作品ですが、みなさんの力を借りて一緒に作っていきたいです技術は格段に変われど、Flash黄金期から塚原の根の部分は変わらず、みずみずしいままだった。 しかし、かつては出来なかった長編をネットを通じファンと新しいやり方で作り上げようとしている。 「一緒に歴史を作りましょう。“塚原はワシが育てた”と言ってほしいです(笑)。 支援、おねがいします!

■『クラユカバ』制作支援プロジェクトhttps://www.makuake.com/project/kurayukaba/[リンク]■クラユカバ:あらすじ―いつかみた、どこかへ。 皆知っているが誰も知らない。 すぐ足元にある、クラき異郷。 街の地下には様々なものが吹き溜まる、未知の広大な空間があった。 光あふれる地上からあぶれ落ちた人や物。 あるいは、奈落の奥底より湧き出た「何か」たち。 「坊や、あの祭列についていってはいけないよ」 「どうして?」 「永遠に、クラガリを彷徨うことになるからね」 いつもの朝、いつもの道、いつもの街角。 それらのすぐ脇に闇はぽっかりと口を開け、踏み込む者をじっと待っている。 これは「異郷」を往来する者たちと、その中を邁進する謎の装甲列車「ソコレ四六三」の、冒険の物語である。■弥栄堂 / 塚原重義http://iyasakado.com/[リンク]

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