任天堂は絶好調?それともピンチ?中間決算から見えた現状と課題

2018/11/11 08:30 日刊SPA!

Nintendo Switch Nintendo Switch

◆ゲームコラムニスト・卯月鮎の絶対夢中★ゲーム&アプリ週報

 10月30日に任天堂の中間決算が発表されました。売上高は奇跡的なV字回復を見せた前年同期を4%上回り、営業利益は53.7%増の614億円と好調でした。今回は決算資料から、ハード売上など気になる数字をピックアップしていきましょう。

◆目標達成には黄信号のNintendo Switch部門

 2017年3月の発売から2年目に入ったNintendo Switchは、2018年4~9月で世界販売台数507万台を記録しました(累計は2286万台)。前期比3.7%増と伸びてはいるものの、今期のNintendo Switchの売上目標は2000万台。この下半期で残り1500万台を売らねばならず、目標達成には黄信号といったところです。

 また、販売台数のグラフを見る限り、日米欧市場で6月をピークに少しずつ台数が右肩下がりになっています。年末商戦の『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』がどれだけハードを牽引するかがカギとなります。

◆大減速のニンテンドー3DS部門

 発売から8年目を迎えた3DSは大減速。販売台数は100万台(前年同期比65.1%減)と急ブレーキがかかりました。携帯機と据え置きを兼ね備えたNintendo Switchがヒットしたのが理由のひとつですが、任天堂としても携帯機市場を失ってしまうのは痛いところ。3DSの後継機を開発・発売するのか、Nintendo Switch&スマホの体制でいくのか。決断の時が迫っているように感じます。

 ちなみに古川代表取締役社長は質疑応答で「当社のゲーム専用機ビジネスは当面Nintendo Switchとニンテンドー3DSで進め、ニンテンドー3DSに関しても需要のある限り販売を継続していきたいと考えています」と答えています。

◆ジワジワと存在感を増しているスマホ部門

「スマートデバイス・IP関連収入等」の売上高は前年同期比4.7%増の187億円(前年度下半期は約214億円)。あまり伸びてはいませんが、下半期は9月27日に配信が始まった『ドラガリアロスト』の売上も加わってきます。『ドラガリアロスト』はアメリカでのApp Storeのユーザーレビューが4.8と高く、海外でも盛り上がりを見せています。

 また、今年度中には『マリオカート』のスマホ版『マリオカート ツアー』の配信も予定されています。スマホゲーム各社がヒット作に恵まれず苦しむなか、任天堂はブランド力でジワジワと存在感を増していきそうです。

◆前年同期比91.3%!絶好調のソフト部門

 ソフトの販売本数は、前年同期比91.3%増の4213万本と絶好調。この期間のミリオンセラーは6本出ました。ただ、新規タイトルは『マリオテニス エース』(216万本)、『ドンキーコング トロピカルフリーズ』(167万本)の2本のみ。『マリオカート8 デラックス』『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』『スーパーマリオ オデッセイ』『スプラトゥーン2』が、定番タイトルとして売れ続けているという状況です。

 サードパーティでは、6月配信開始の『フォートナイト バトルロイヤル』(基本無料)が「全世界のNintendo Switchのうち半数に迫る本体にダウンロードされる勢い」とのこと。

 また、7月発売のスクウェア・エニックスのRPG『オクトパス トラベラー』は販売本数100万本を突破し、世界的に好調と決算説明会資料で言及されています。『オクトパス トラベラー』のような独自性ある新規タイトルが、サードパーティからどれだけ供給されるかが、今後のNintendo Switchのハード寿命を左右しそうです。

 上半期の任天堂の決算は数字的には好調でしたが、Nintendo Switchの販売台数の伸び悩み、3DSの後継機問題、年末の『大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』で人気シリーズが一旦出尽くしてしまうことなど、明るさのなかにも不安の種がちらほら……といった内容でした。

【卯月鮎】
ゲーム雑誌・アニメ雑誌の編集を経て独立。ゲームの紹介やコラム、書評を中心にフリーで活動している。著作には『はじめてのファミコン~なつかしゲーム子ども実験室~』(マイクロマガジン社)がある。ウェブサイト「ディファレンス エンジン」

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