保護犬を家族に迎える前にもう一度考えてほしいこと

2018/11/9 11:00 わんちゃんホンポ

里親になる前に知っておかなければならない【現実】

網越しに見つめる保護犬たち

何らかの理由で、人間によって無責任に捨てられたり、持ち込まれたりした犬には、【過去】があり生活を共にしていくと、過去の影響が様々な形で現れます。

✔人間に対して恐怖を感じている
✔人間に対して敵意がある
✔飼い主と離れたことによる精神的不安
✔無駄吠え
✔噛み癖
✔マーキング
✔攻撃性
✔無気力
✔病気

など。

ついこの前まで大事に育てられていて、事故ややむを得ない理由で手放され、躾もしっかりされていて一見、犬に問題はないが不幸になってしまったケースであっても、里親さんのもとで〝幸せになれるとは限らない″のです。

保護犬の心の負担

虐待、放棄、飼育崩壊、繁殖リタイア、飼い主との死別、野良犬、など様々な理由で生き場所を失い、彼らは保護犬と呼ばれます。
そして、殺処分を回避して、新たな飼い主の元へ命が繋がれた犬は幸運です。

ですが、里子に迎えられたらすぐに、「安心する」「懐く」「家族になる」「心を開いてくれる」わけではありません。
保護犬を家族に迎え入れると、「過去の辛い思い出を払拭しよう」「早く家族として安心してもらおう」と手を尽くし、愛情を注ぎます。
ですが、家族に迎えられた犬は、すぐに現実を受け入れられないこともあるのです。

里子に迎えられた犬が、飼育放棄されてしまうケースとは

悲しげな表情の黒い犬の横顔

✔犬を飼うならペットショップではなく保護犬を迎えよう
✔犬種や好みは関係ない
✔可哀そうな犬を救いたい
✔ペットショップで買うより安い
✔ただでもらえる
✔運命の子が保護犬だっただけ

など。

保護犬を家族として迎えようと考える方は、様々な気持ちがあります。優しさや哀れみや社会貢献という気持ち。生体が物として売買されていることへの抵抗感。メディアやSNSの影響、犬を飼いたいけれど、経済的に安価で手に入れられる犬が良いという方もいます。

どんな、感情、事情があったとしても、里子に迎え入れた犬に愛情をもって、終生「適正飼育」が全うできる里親さんなら、辛い過去があったとしても、第二の幸せを手に入れることができます。

ですが、どんなに社会的に称賛を得られても、犬を終生適正飼育するという覚悟がない里親さんによって、里子に迎えられた犬が、「2度も飼育放棄される」という悲しい現実があります。

保護犬の美談にふり回されない

笑顔を見せる柴犬

悲しい過去を背負った保護犬を家族に迎えた方の体験談を聞くと、里子に迎えた犬から、まるで鶴の恩返しのような感動を体験できたという美談が多くあります。
たしかに、怖い場所から救い出されたことや、辛い思いをした分、里親さんの溢れる愛情を感じとり、飼い主に依存体質になる傾向が高いと思います。

犬はとても感情豊かな動物で、長い歴史の中で人間と深く心を通わせてきた遺伝子を受け継いでいます。
自分を守ってくれた里親さんに対し、喜ぶことをしたいと犬が考え行動するのは、珍しいケースではありません。

心を閉ざしていた保護犬が、

✔苦手なことを克服してくれた
✔自分を信じて、全てを許して任せてくれた
✔笑ってくれた
✔名前を憶えてくれた
✔笑うようになった
✔思い切り遊ぶようになった
✔危険を知らせてくれた
✔家族を守ろうとしてくれた

など。

家族に迎えてからの変化や成長の1つ1つが、感動で「この子に出会えてよかった!」と感じられる嬉しい瞬間です。ですが、これらは全ての保護犬におこる変化や成長ではないということを、改めて理解しなければいけません。

せっかく家族に迎えたのに…

威嚇して牙をむく犬

下記は、実際に里親さんが家族に迎えた保護犬を手放した理由です。

✔無駄吠えがひどい
✔家族を噛んだ
✔ケージから出てこない
✔ご飯を食べない
✔リードを着けて歩けない
✔先住犬を傷つけた、先住犬と相性が悪く喧嘩ばかり
✔トイレが覚えられない
✔重大な病気が見つかった
✔懐かない
✔何度も脱走する
✔食糞が治らない
✔イタズラする
✔人間の子供が苦手で遊んでくれない

など。

お気づきでしょうか?
上記の理由は、ペットショップで購入した犬を「不要」として捨てる飼い主の理由とほとんど同じなのです。
つまり、無責任な理由で捨てられた保護犬たちは、また人間の身勝手な理由で生き場所を失うのです。

なぜ?いろいろな事情がある保護犬だと理解しながら、このような身勝手な理由で再び悲しい思いをさせるのか?捨てるなら、なぜ里親になったのか?

これらは、心に傷を負った犬と暮らすということが、どれほど大変なことなのかを理解していなかった軽率な譲受けであったためです。

そして、「せっかく里子に迎えたのに」という、愛情以外の感情が、譲り受けた犬に対して大きくなってしまったためです。

「可哀そう」「安い」「助けたい」…それだけでは保護犬を育てられない

顔を押さえて悩む女性

殺処分の期限が迫り、何とか助けたい!可哀そう!という思いは、犬を愛する人であれば自然に抱く感情でしょう。
また、安いからと安易に犬を迎えて、重大な病気が発見されたとき、「ただでもらったただの雑種に医療費なんかかけられない」という里親さんは、実はとても多いのです。

まるで、道端に捨てられた不用品家電を、もったいないからと拾ったが、修理しなければ使えないからやっぱり捨てる、というのと同じことが、起こっています。

すべてを受け入れるということは

ペットショップで購入した犬も、里子に迎えた犬も、どちらも終生全てを受け入れて、全てに責任をもつことが飼い主の義務であり、それができないのであれば、犬を含め動物を飼育する資格はありません。そして、保護犬には、誰にも知りえない過去があり、癒えない深い傷があることが多いのです。
その過去の影響で、里親さんが理想とする犬との暮らしが叶わないことは、起こりうることなのです。

里親として保護犬を家族に迎えるということは、

「どんなことがあっても、絶対に二度と悲しい思いをさせない」
「どんなことも一緒に乗り越えて、少しずつ家族になっていく」

悲しみや、攻撃性、閉ざした心は、健全な生活に大きな影響を及ぼします。何年一緒に暮らしても、愛情をたくさん注いでも、完全に心を開いてくれることはないかもしれません。ですが、そのどれもその子の「個性」として認めて受け入れてあげなければいけません。そして、「待つ」ということが、その子にしてあげられる最大限の愛情でもあるのです。

里子に迎えたわが子に対して最大限の愛情を注ぐには

ハートのクッションに手を置いた犬

感動ドラマのように、「迎えに来たよ!」という里親さんの声に、わき目もふらず胸に飛び込んでくるというシーンは現実では稀です。家族に迎えた保護犬からは、警戒心や恐怖、不安や悲しみが、体中からあふれ出ています。

なぜ、ここに居るのか?ここから逃げ出したい!わけも分からず保護されてきた犬にとって、どれほど恵まれた環境であっても、捕らえられた恐怖から逃れたいと、「拒絶」「脱走」が繰り返されることもあります。

✔早く慣れてほしい
✔一緒にお散歩に行きたい
✔美味しい物を食べさせてあげたい
✔自由にさせてあげたい

など、してあげたいことがたくさんありますが、保護犬にとっては大きな負担になっているかもしれないと理解してあげましょう。

家族に迎えた保護犬を幸せにするための心構え

✔①一生懐かないかもしれないけれど家族として生きていくという覚悟を持つ
✔②命にかかわること以外は、犬の気持ちを最優先させる
✔③どんな問題行動からも逃げない覚悟
✔④最期まで、愛情を注ぎ絶対に傷つけないという覚悟
✔⑤犬の行動や精神的行動を正しく理解するための勉強をして備える

性格や行動に何の問題もない犬であっても、大好きな飼い主さんと離れたことによる精神的ダメージが大きく、なかなか心を開いてくれないこともあります。
このような場合は、いつか家族として認めてくれるまで、そっと傷ついた心に寄り添ってあげてほしいのです。
無理に抱きしめたり、新しい環境に慣れさせるために無理をさせたり、躾を入れなおしたりするのは、逆効果になり、信頼関係はつくれません。

一般的な犬の飼育とは違う生活になるかもしれませんが、命にかかわるような大ケガや重病でなければ、医療ケアやボディケアは犬と人が健全な生活を送れる最低限にとどめてあげましょう。

また、様々な問題行動があるかもしれません。

✔咬む、吠える
✔攻撃性、破壊行動
✔脱走
✔食事拒否
✔接触拒否
✔マーキング、威嚇行動

など。

少しずつ環境や生活、里親さんにも慣れてくるにつれて、問題となる行動が現れるケースや、保護当初から、明らかな問題行動が確認できるケースもあります。
ですが、多くの場合、犬の問題行動は、飼い主さんの接し方と環境整備で、対応することができます。
※病気による攻撃行動や認知症の症状は、一般飼育では改善できないことがあり、適切な治療が必要なので、専門家による判断が欠かせません。

脱走行動においては、保護犬でなくても適切な環境を整える必要があります。
特に、パニックや混乱がある保護されて間もない犬の脱走率は、とても高いのです。
そのため、信頼関係もなく、行動予測もできない犬を庭でフリーにさせたり、お散歩に連れ出したりすることは、「命の危険」に直結します。

十分に環境に慣れてから、少しずつ共に歩くということ、ここが君の家であるということを伝え、習慣づけてあげることが必要です。

そして、どんな犬でも病気になる可能性はあります。ペットショップで購入した仔犬でも、保護犬でも、そのリスクは同じです。家族に迎えて、規則正しい生活が整い、栄養バランスのとれた食事と安眠で精神的に落ち着いてくると、それまで隠れていた病気の兆候がみられることがあります。

「こんなはずじゃなかった」
「元気な犬だと言われたからもらったのに」

そんな思いを口にする里親さんが多くいます。永遠に病気にならない健康な犬は存在しません。もし、大きな病気になったら面倒を見切れないのであれば、動物を飼わないという選択をしてほしいです。

家族に迎えた時点で、保護犬であっても、無償で譲り受けた犬であっても、購入した犬であっても、適切な治療、看護をするのは飼い主の義務です。

多くの覚悟や備えなど、保護犬を家族に迎えようと考えたとき、ペットショップで仔犬を迎えるときよりも、「大変そうだ」という印象をもたれるかもしれません。

ですが、全ての生き物を飼育し、命に責任をもつということは、里親になるという形でなくても同じ覚悟と備えが絶対に必要です。

理想とする犬との生活とは?

大きな犬を抱きしめる女性

保護犬を迎えようと考えたとき、犬を購入しようと考えたとき、あなたが思う「理想の犬との生活」とはどのような形ですか?あなたが理想とする、犬との関係はどのような形ですか?あなたが理想とする犬はどんな性格ですか?それらの理想が実際の犬との生活で崩れたとき、それでも迎えた犬を心から愛せますか?

里親になろうと考える人、動物を家族に迎えようと考える人、すべてにこれらの質問を自分自身に投げかけてみてほしいと思うのです。

これまで、犬や猫の里親さんになられた多くの方とお話をさせていただいて、感じたことがあります。
「やっぱり里親にならなければよかった。こんなに負担が大きいなんて思ってなかった」と感じている方が、とても多いのです。自ら選んで迎えた仔犬であっても、「犬なんて飼わなければよかった」と飼育の苦労を嘆く人もいます。想い通りにならない保護犬との生活に、

✔里親になってあげたのに
✔命を救ってあげたのに

という思いがあれば、犬にたいして不満や苛立ちが大きくなっていきます。

✔○○なのに、なんで言うことをきかないのか?
✔○○なのに、なんで懐かないのか?
✔こんなにしてあげているのに!

こうして、命の期限を切られ、生き場所を失った犬が、奇跡的に第2の犬生を歩き始められたのに、再びどん底へとつき落とす〝里親さん″がたくさんいます。

日本中でたくさんの犬が、身勝手な人間の犠牲になり殺処分され、命を奪われています。そんな犬たちの命を繋げるのも、悲しみや過去を乗り越えて幸せを掴めるのも、里親さんの存在が欠かせません。

世間でも、ネットの世界でも「里親さんになる」という選択を呼び掛けはどんどん増えています。芸能人が里親さんになっていたり、殺処分0を訴えたりと、動物愛護や保護犬への関心は高まっています。これらの変化はとても素晴らしい傾向です。

ですが、保護犬を気軽に迎えられるということではないことを、十分に理解しなければ、何度も人間によって飼育放棄される犬が増え、結果として、殺処分される犬は0になることはありません。

まとめ

犬の手を包む人の手

里親になるとしても、犬を購入するとしても、どちらにも命に対する責任について、私たち飼い主は、もっと適正飼育に対する意識を高めなければならないのではないでしょうか?

犬を捨てる飼い主にとっては、【やむを得ない理由】であっても、無惨に命を絶っても良い理由など1つもありません。すべて、人間の勝手な事情です。

責任が持てないのなら、犬や動物を飼育しないという選択も、不幸な犬を減らします。
里親にならなくても、保護活動やボランティア、チャリティーに参加しなくても、不幸な犬たちを減らすための意識の改革はできます。

いま一度、【里親になるということ】、【犬を飼うということ】について、あなたが理想とする形と、起こりうる現実に対応できるのか?を考えてみてください。

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