〈目からウロコの健康術〉 喫煙と飲酒で発症リスクが増える! 声を失い最悪死に至る「咽頭がん」の脅威

2018/11/8 22:00 週刊実話

 つい先頃、「黄金の左」と呼ばれて人気の元横綱・輪島大士さんが、咽頭がんと肺がんの影響で命を奪われた。死因はがんによる衰弱だった。70歳。

 日大からプロ入り。学生出身で初の横綱に昇進し、得意の左下手投げで歴代7位の14度の優勝。年寄名跡を借金の担保にして廃業後は、全日本プロレスでも活躍した。土俵の内外で自由奔放な個性的な横綱だった。

 現役時代の朋友・北の湖さんとのエピソードについてこんな事が書かれている。
「ちょっとくらい土俵外で盛り上げたら面白いと喋ったら、大変なことになった。でも、それが大相撲人気につながった」

 サービス精神旺盛な性格がうかがえる。そんな輪島さんは、近所の住民によると以前は1人でよく散歩し、顔を合わすと喋る代わりに肩や手を叩いて、気さくに挨拶されたそうだ。

 '13年に咽頭がんの手術を受けた後は声が出ないことがあり、筆談を余儀されたそうで、本人にとってはショックだったに違いない。

 日本癌研究センターによると、'18年の咽頭がんの死亡数予測は、口腔がんと合わせて約8000人。7万人超の肺がんや5万人を超える大腸がんなどと比べると少ない数字だが、病状によっては生活の質が大きく損なわれるため、予防が大切なのだ。

 東京医療センター放射線科の馳澤康孝医師は、こう語る。
「この咽頭がんは、咽頭にできるがんをいいますが、組織的には扁平上成がんが多く、粘膜表面に発生するがんです。咽頭は鼻の奥から食道の入り口までで、上から順に『上』『中』『下』に分かれます。どの位置にがんが出来るかによって、原因や症状、治療が異なります」

 さらに「この部分は、たばこやお酒の影響を受けやすいところで、リスクも増えます」と言い、次のように指摘する。
「たとえば、たばこを吸う男性は、吸わない人に比べると咽頭がんの罹患リスクは2.4倍。1日の喫煙箱数と年数をかけて算出する累積喫煙指数が60以上だと4.3倍です。たばこには70種類の発がん物質が含まれ、喫煙することで煙が肺に達し、血液によって全身に運ばれる。咽頭は、たばこの煙が直接当たるため、さらに発がんリスクは高まります。部位別だと、下咽頭への影響が強く、喫煙グループで13倍、累積喫煙指数60以上で21倍と報告されています。飲酒については、週1回以上飲む人は、飲まない人に比べて咽頭がんの罹患リスクが1.8倍。アルコール換算で週に300㌘、1日平均で日本酒4合以上だと、3.2倍です。適量飲酒のリスクはそれほどでなくても、常用すればリスクは高くなるのです。飲酒も下咽頭への影響が強く、週1回の飲酒で3.3倍。週300㌘以上のアルコール摂取で10倍超にアップします」

 ただ、咽頭がんになると25〜30%の確率で食道がんも発生すると言われる。

 これは転移ではなく、別のがんだ。
 どちらも飲酒と喫煙の影響を受けやすいがんであることがその要因と考えられると専門家は言う。

 また日本では、咽頭がんにかかる人は圧倒的に男性が多く、年齢は50〜80代の人が多い。

 特に危ないのが、もともとお酒が弱ったのに、飲むにつれて飲めるようになった人、赤ら顔になりやすいタイプに重複しやすいことが分かってきた。「上」「中」「下」の三層に別れる咽頭がんは、症状がそれぞれ違う。

★“胃カメラ”で早期発見!

 都内で総合医療クリニックを営む久富茂樹院長は、こう説明する。
「上咽頭にがんが出来ると、鼻から空気が通りにくくなり、鼻づまりや鼻血を出します。耳との圧を調整している耳管開口部までがんが広がると耳がつったような感じになり、聞こえが悪くなります。さらに脳神経を圧迫したり、神経そのものががんに侵されてしまった場合は、脳神経に症状が表れます。神経の場所により異なりますが、視覚をつかさどる視神経に影響した際には、視力障害が起こります」

 また、上咽頭がんは転移しやすいことでも有名だ。肺や骨、肝臓が代表的な転移部位となる。

 これに対して中咽頭は比較的早い段階から、頸のリンパ節に転移しやすいのが特徴とされる。

 一方の下咽頭がんは進行しないと現れない事が多く、受診した時はがんが進行していることも少なくないと言われる。さらに、下咽頭とは異なる位置に食道がんや胃がんなど、全く別ながんが見つかることがあるという。

 咽頭がんの特徴として、早くから声がれがあるが、声がかれるのは進行時で、他に嚥下時の異物感や耳の痛みも表れる。その痛みは、中耳炎にでもなったような強さだから、まず見逃す事はないだろうといわれる。

 これらの検査方法は、がんの早期発見のカギともいえる内視鏡や消化管内視鏡検査である。いわゆる“胃カメラ”で、早期発見には欠かせない重要な医療器具だ。

 ノドから先端に超小型のカメラのついた管を入れ、食道や胃の粘膜の状態を観察する。CT、MRIでがんの疑いがある場合やがんの転移の有無を調べる。
「使用するのは専用のプローブを当てるだけですので、痛みはほとんどありません。本来、胃カメラといえば、胃を検査するものでしたが、近年、カメラの進化とともにノドの異変も見つけられるようになりました。驚くほどの進歩です。また、通常、がんはリンパに乗って転移しないように頸のリンパ節を切除するのが一般的です」(久富院長)

 もう1つ見逃せないのが、セックスの影響だ。頻繁にオラールセックスを行うと、HPVというウイルスが咽頭に感染し、がん化する恐れがあるという。

 特に、中咽頭がんのうちの半分はHPV感染が原因とみられているので、注意が必要だ。

 いずれにしても咽頭がんの早期発見には胃カメラの検査が重要である。適量飲酒や禁煙に努めるのはもちろんだが、健診などで定期的に受けることも大切。そして、検査の前に「咽頭も調べてください」と伝えること。以上のことが肝心だという事を、ぜひ覚えておくべきだ。

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