ガウディ建築に負けず劣らずの傑作 「バトリョ邸のお隣」は隠れ名所!

2018/10/18 07:00 CREA WEB

ガウディ建築に負けず劣らずの傑作 「バトリョ邸のお隣」は隠れ名所! ガウディ建築に負けず劣らずの傑作 「バトリョ邸のお隣」は隠れ名所!

 ガウディ建築のなかでも特に人気のある作品のひとつ、バトリョ邸。

 バルセロナの目抜き通りグラシア通りに面していることもあり、写真を撮る人、入場の列に並ぶ人、チケットを買う人で、入口にはいつも人だかりができています。

 そして、そのすぐ左隣に建っているのは、同時代の作品であるアマトイェール邸です(正確には、少し前に建てられていた建物を全面改修したもの)。

ガウディ作のバトリョ邸の左隣にあるアマトイェール邸(中央)。この一角には、以前にご紹介したイェオ・イ・モレラ邸(ムンタネー作)も含め、建築家たちが粋を競った建物が並んでおり、それぞれのライバル心がせめぎあい「不和の区画」と呼ばれている。

 実はこちらも、ガウディに負けず劣らず評価の高い建築家プッチ・イ・カダファルクの作で、その内部も非常に優れたモデルニスモ建築。

 ですが、なぜかあまり観光客に知られておらず、列を作ることもなく見学が可能ということで、ぜひお勧めしたい見どころのひとつです。

 見学は基本的に、専用タブレットによるビデオガイド付きツアーになります。入場時間は30分ごとに区切られており、一度に入場できるのは12人までですが、前述のとおりほとんど混んでいないので、いつ行ってもほぼ問題なく次の入場時間に入ることができます。

 タブレットのガイドは、過去の映像を交えながら居室ごとに詳しい解説をしてくれるスグレもの。

 もし分からないことや、もっと知りたいことがあれば、同行してくれる係員がいつでも答えてくれるので、遠慮なく声をかけてみましょう。


ダイニングルームは
一見の価値あり

 この家での一番のみどころは、何といっても、明るい陽射しが差し込むダイニングルーム。

 スペースはそれほど広くないものの、壁一面を占めるかのような大きな暖炉やそれを飾る彫刻が重厚さを醸し出す一方で、大きな窓は繊細なアーチに縁取られ、テーブルの上の照明器具にはかわいらしいステンドグラスが効果的にあしらわれているなど、独特のコーディネイトが印象的です。

上部にステンドグラスが施された大きな窓から明るい光が差し込むダイニングルーム。左:廊下の明かり取りの窓。窓越しに見えるのは玄関ドア。
右上:吹き抜けの天井部に施されたステンドグラス。
右下:ダイニングルームの照明。建物内の照明器具は、ステンドグラスを多用したものが多く、いずれもデザイン性に優れたものばかり。

 ステンドグラスや色ガラスは、ダイニング以外でも建物のそこかしこに効果的に取り入れられ、構造上ともすると暗く重たくなりがちな雰囲気を、華やかで軽やかなものにしています。

 例えば、住居の玄関は日本式に言えば2階に位置しているのですが、その玄関ドアへと続く階段の上部は吹き抜けになっており、天井部分は美しい花々が描かれたステンドグラスに覆われています。

 また、家の中の廊下も、明かり取りの窓に丸い色ガラスが特徴的に使われています。

 この家のもうひとつの特長は、その当時の最先端技術が導入されていることです。

 例えば、まだまだガス灯が一般的だった時代でありながら、家の中の照明器具にいち早く電灯を取り入れています。とはいえ電気の供給は不安定だったようで、念のためにガス灯も併せて設置されていました。

ダイニングルームの壁側には、大きな暖炉が。テーブルの上の照明には、ガス灯と併せて電灯が設置された。

 また、階下のキッチンから上階のダイニングに料理を運ぶために、電動の小型エレベーターが設置されるなど、いずれも1900年頃の建物としてはたいへん画期的な設備であったことは間違いありません。

1階のキッチンから2階まで食事や飲み物を運ぶために作られた小型エレベーター。こちらも電動で、当時の最先端技術が使われていた。

 家主のアントニ・アマトイェール氏は、チョコレート工場を経営し成功を収めていましたが、夫人とは早くに離婚し、一人娘のテレサとこの家で暮らしていました。

 1910年にアントニは他界し、工場は売却されましたが、今もアマトイェールブランドのチョコレートは生産され続けています。

アントニ・アマトイェール氏の書斎。仕事をしながらも家族や使用人、訪問客など、人の動きを把握できるように、家の中央部に置かれている。1階部分のカフェ。かつてのキッチン部分を利用しており、当時のしつらえがそのまま残されている一角もある。アマトイェール・チョコレートなど、お土産にぴったりの商品も販売。テラス席もお勧め。

 なお建物の1階にはこのアマトイェール・チョコレートのカフェがあり、誰でも利用できるので、見学の前後にぜひお立ち寄りを。

Casa Amatller(アマトイェール邸)

所在地 Passeig de Gràcia, 41, 08007 Barcelona
アクセス パッセージ・デ・グラシア(Passeig de Gràcia)駅 ※メトロ2・3・4号線、Renfe
電話番号 934 617 460
営業時間 10:00~18:00(最終入場)
※30分ごとに入場。タブレットによるオーディオガイドツアー19ユーロ
※11時(英語)、12時(カタルーニャ語)、17時(スペイン語)の回はスタッフの解説によるガイドツアーとなり24ユーロ
※チケットは当日でも現地購入できるが、ウェブサイトにて事前購入すれば、15%割引になる
※床を傷つけないよう、シューズカバーを付けての見学となり、高いヒールは不可なので要注意
http://amatller.org/en/

坪田みゆき(つぼたみゆき)

バルセロナ在住、コーディネイター。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)イスパニア語学科卒。在東京スペイン政府観光局勤務などを経て、2004年よりバルセロナ在住。バルセロナ、バレアレス諸島(マヨルカ島他)、バスク地方などを中心に、スペイン全土の取材・撮影コーディネイトの他、通訳・翻訳業務も行っている。http://spainbcn.exblog.jp/


文・撮影=坪田みゆき

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