山里亮太、自虐と嫉妬心に隠された「自己評価の高さ」を母親とのエピソードから考える

2018/10/11 21:00 サイゾーウーマン

TBSラジオ公式サイトより TBSラジオ公式サイトより

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「優勝すると、地元の1位はその子たち」南海キャンディーズ・山里亮太
『ボクらの時代』(フジテレビ系、10月7日)

 自分のみっともない姿をさらけ出すことは、笑いを誘う。故にお笑い芸人は、妬みや嫉み、僻みをあらわにする。売れている芸人への嫉妬心や、モテなくて悔しい思いをしたことがそれに当たるが、これらは過去のエピソードであり、貯金と同じようなもの。テレビで披露するたびにエピソードは減り、残額はゼロになるはずだ。しかし、エピソードの貯金が尽き果てたはずなのに、妬みや嫉み、僻みにこだわる芸人がいる。オードリー・若林正恭と南海キャンディーズ・山里亮太である。

 彼らはブレーク直後も自虐的で、モテるだろうにモテないキャラを貫く。その姿は、世間に彼らの自己肯定感の低さを印象づけるだろう。リア充嫌いの世の中に合っているし、あれだけ売れていながら、謙虚でオンナ遊びもしないということに、女性は好感を抱くかもしれない。

 しかし、若林は今年、女優・南沢奈央と交際宣言をしており(結婚すると予想します)、また『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』(角川文庫)で「第3回斉藤茂太賞」を受賞。一方の山里も『天才はあきらめた』(朝日新聞出版)の売れ行きが好調なようだが、ノンタイトル、さらに彼女がいないという点で、仕事でも私生活でも、若林に差をつけられたように思う。しかし、自分の可能性と成功を信じているという意味で、自己評価が高いのは、山里の方ではないだろうか。

 10月7日放送の『ボクらの時代』で、若林、直木賞作家の西加奈子と鼎談にのぞんだ山里は、嫉妬心の強さを表すエピソードとして、「母校を応援できない」と話す。その理由は、今のところ、自分が地元で一番の有名人なはずだが、「母校が大会で優勝すると、地元の1位はその子たちだから」と語っていた。ジャンルも違うし、不利益を被るわけでもないのに嫉妬する狭量さや、自信のなさに、おかしさを感じる人もいるのだろうが、専制君主みたいな人だなというのが私の感想である。

 そもそも、私は山里の自己評価が低いと思ったことはない。『毒出しバラエティー 山里&マツコ・デトックス』(TBS系)で、山里は「お前を干す」とかつて脅してきた人気オンナ芸人の存在を明かしていた。山里の怒りは収まらず、そのオンナ芸人の悪口だけを言うライブを大阪で定期的にやっていたと付け加えた。しかし、もし本当に山里の自己評価が低かったのなら、怒るのではなく、「干されたらどうしよう」と震えるのではないか。やられたらやり返す負けん気の強さに「オレはお前の下ではない」という自意識を感じてしまうのだ。

 「山里、自己評価高い説」を私の中で決定的にしたのは、今年のお正月の『ボクらの時代』に出演した、山里と両親を見たときである。この日の会場は、山里が両親にキャッシュで買ってあげたというマンション(4LDK)。山里自身は贅沢をしないのに、親にはマンションのほかに369万円もするクルージングの旅をプレゼントするなど、親孝行をしている。売れた芸能人が親に物を買ってあげるというのは珍しくないが、それよりも突出していたのは、山里の母が、山里の全てを愛していることである。

 成績が良かった、運動が得意だったなどの“成果”を、親が褒めることは多い。しかし、山里の母は「亮太はごめんなさいを言うスピードがいい」と、他人から見たら褒める対象になり得ないことも、いちいち評価する。山里の母は、学校の先生にもひるまない。小学生の頃、山里は授業を妨害する問題児だったそうだが、担任がそれを母親に知らせると「見ていないのに、叱ることはできない」と突っぱねたそうだ。また、山里の父は、息子が芸人になることについて、「お前は面白くないから」という理由で反対したものの、山里の母は大賛成。お笑い芸人の常として、山里はルックスの気持ち悪さをウリにしているが、母親は納得せず、上戸彩が結婚した際には「あんたがぼさっとしてるから」「HIROに盗られた」と言い、「この子と結婚したら、どうなの」とテレビを指した先には石原さとみがいて、山里が仰天したというエピソードも披露された。しかし、当の母親は「なんで驚くかね」とこぼし、息子と石原が釣り合っていると信じて疑わないのだ。

 子どもの自己肯定感を育むのは母親であることは心理学で証明されているが、ささいなことでも褒める母親に育てられたら、強い自己肯定感を持って成長することができるだろう。故に、自分をけなされると「そんなはずはない」と腹が立つのではないだろうか。

 ちなみに若林も、2015年放送の『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)で、母親の話をしていたことがある。言うまでもなく、若林は多くのレギュラー番組を持つ売れっ子だが、母親に「オードリーは今の芸風のままでははやらない」とダメ出しされたそうだ。若林は「そんなことを言う前に『駆け込みドクター』(TBS系)が続いていることを褒めろや!」とキレてしまったそうだが、世の中には、できていることは当然のこととして無視する代わりに、できていなさそうな部分を執拗に責める母親というのも存在する。

 若林が子どもの頃、自転車に乗る練習をし、その成果を見せると、母親は「まだフラフラしているじゃない」と褒めなかったといい、恐らくそういうタイプなのだろう。完璧でないと褒めてもらえないという状態では、人は自信を持ちにくい。若林は『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の「マイナス思考芸人」回で、犬を連れて仕事にやってくる芸能人について「よっぽど自信があるんだな」と発言したことがあったが、若林の神経に触るのが「実績のある人」ではなく、「自分に自信がありそうな人」なのは、母親との関係と無関係とは言い切れないのではないか。山里と若林は、芸風こそ似ているが、ある意味“真逆”のように思う。

 話を山里に戻そう。『ボクらの時代』で、若林に「山ちゃん、酔っ払って『ここまで来たら、女子アナか女優と結婚しないとやってられねーよ』って言っていたもんね」と暴露された山里。無理だというニュアンスを含んだ笑いが起き、山里は「モテない人間の特徴で、素敵で知的な美人に弱い」と言い訳したが、恐らく女子アナ狙いは本心だろう。お母さんも「亮太と釣り合う」と応援してくれるはずだ。母親が子どものメンタルに与える影響というのは大きいと、あらためて思い知らされた。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。著書に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)『確実にモテる 世界一シンプルなホメる技術』(アスペクト)。
ブログ「もさ子の女たるもの」

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