「アイマスライブ」で盛り上がる当日の前橋市内、プロデューサー記者が歩いてみた

2018/9/12 11:00 Jタウンネット

ゲーム内でのアシスタント役、千川ちひろさんの等身大パネル ゲーム内でのアシスタント役、千川ちひろさんの等身大パネル

2018年9月8日と9日に、群馬県前橋市のヤマダグリーンドーム前橋で、人気ゲーム「アイドルマスター(アイマス)」シリーズのライブ「THE IDOLM@STAR CINDERELLA GIRLS SS3A Live Sound Booth♪」(通称SS3A)が開催された。このライブには前橋市が正式に協賛し、市やコンベンション協会が率先してプロデューサー(アイマスのプレイヤーの通称)を歓迎していたのは、Jタウンネットでも伝えている。

では、一体ライブ当日の街はどうなっているのか。アイマスPの端くれでもある記者、ライブ2日目の9月9日に(ライブ参加も兼ねて)前橋の街を歩いてみた。

ご当地キャラがにわかにブーム

前橋駅を降りると、始終人だかりができている高架下の観光案内所。ライブ前日からアイマス仕様になってプロデューサーを迎えている。ここのグリードーム前橋だけで、キャラクターとコラボした限定マップを配布している上に、前橋土産の売れ行きも好調のよう。


ライブのイメージビジュアルライブのイメージビジュアル
マップの市街各所には、ゲーム内のキャラクターがあしらわれている。前橋市役所のところに、一日市長を務めたユニット「セクシーギルティ」のキャラクターが描かれていて芸が細かいマップの市街各所には、ゲーム内のキャラクターがあしらわれている。前橋市役所のところに、一日市長を務めたユニット「セクシーギルティ」のキャラクターが描かれていて芸が細かい

マップの裏は肉料理のお店がたくさん紹介されている。群馬県は養豚が盛んで、前橋市の豚肉出荷額も全国トップクラス。豚をモチーフにした、前橋市のPRキャラクター「ころとん」はプロデューサーにも大人気で、ぬいぐるみも飛ぶように売れていた。

子どもたちにも人気のころとん子どもたちにも人気のころとん

ライブ開催前から積極的につぶやきで存在をアピールしていた上、ライブ1日目にステージ上でゲスト登壇したとのことで、すっかり時の人(豚?)となっていた。

9月9日の前橋駅前は、特産品の販売やステージが行なわれる「まえきフェス」を開催していたため、かなりの人出でにぎわっていたが、ここでもプロデューサーが長蛇の列をなしていたのが、「近藤スワインポーク」さんの、前橋産の豚肉をこんがり焼いた渦巻ウインナー「ころとんのしっぽ」だ。

「ころとんのしっぽ」に長蛇の列が「ころとんのしっぽ」に長蛇の列が

人気の理由と思われるのは、ころとんの知名度に加えて、ゲームの中に登場するアイドルのイラストに、よく似た渦巻状のソーセージが描かれていたから......というもの。インターネットでも拡散され、公式HP上で通販も完売する事態になった。お祭り気分で財布のひもも緩んでいるプロデューサーの購買力はあなどれない。

ゲーム内のキャラクター、北川真尋が食べているソーセージがそっくりゲーム内のキャラクター、北川真尋が食べているソーセージがそっくり

前橋駅とグリーンドームは、徒歩30~40分程度の道のり。臨時の直行バスも運行されているが、地図に従って歩き始めることにした。駅から北に延びる国道17号線では「けやき並木フェス」を開催中で、こちらも地元の市民が主体のイベントながら、プロデューサーも混じって料理や音楽を楽しんでいた。

国道17号線にはライブのフラッグが立ち並ぶ国道17号線にはライブのフラッグが立ち並ぶ
にぎわう通りにぎわう通り

太陽の「鐘」?

国道17号線を直進し、広瀬川にぶつかるところで川に沿って北西に進路を変える。ここから西側へは「広瀬川 詩の道」という名前で河岸が整備され、柳が植えられて涼しげな遊歩道となっている。

水辺に緑があふれて落ち着いた雰囲気(Triglavさん撮影、Wikimedia Commonsより)水辺に緑があふれて落ち着いた雰囲気(Triglavさん撮影、Wikimedia Commonsより)

途中で見つけたのが、「太陽の鐘」というオブジェ。見ると確かに鐘だが、あの岡本太郎の「太陽の塔」と同じ顔が彫られている!?

確かに太陽の塔で見た顔だ確かに太陽の塔で見た顔だ

この「太陽の鐘」は釣鐘と鐘を吊るすモニュメントが一体になった作品で、太陽の塔に遡る4年前、1966年に岡本太郎が制作したもの。静岡県内のレジャーランドにあったものだが、99年に閉園。日本通運で保管されていたものが、前橋市と市内有志企業の発案で2018年3月からこの地に置かれるようになったそうだ。

撞木もあるが、普段は撞くことはできない撞木もあるが、普段は撞くことはできない

さらに歩くと前橋文学館と、その対岸の萩原朔太郎記念館に到達する。

萩原朔太郎像と文学館萩原朔太郎像と文学館

萩原朔太郎は1886年に前橋で生まれ、少年時代をこの地で過ごし、いくつかの詩集も前橋で作られた。前橋時代の住居は復元され、2017年4月から萩原朔太郎記念館として公開されている。

住居であり創作拠点でもあった母屋や土蔵を復元公開住居であり創作拠点でもあった母屋や土蔵を復元公開

前橋市のキャッチフレーズは「水と緑と詩のまち」。いわば芸術や自然があふれる都市というコンセプトだが、太陽の鐘に萩原朔太郎記念館と、芸術をまちづくりに生かそうとする町の取り組みを実感できる広瀬川通りだった。

この日行ってみた場所のほかにも、芸術・歴史にまつわる場所がたくさんあるこの日行ってみた場所のほかにも、芸術・歴史にまつわる場所がたくさんある

ライブ会場近くはレトロな遊園地と文化財

広瀬川から離れて、グリーンドームに向かう途中、レトロな屋外遊園地「るなぱあく」に突き当たる。家族連れでにぎわっていて、親しまれている様子だ。

るなぱあくの様子るなぱあくの様子

1954年開業の歴史ある遊園地。園内の乗り物は50円から10円と安く、開業当初から稼働している遊具もある。あいにく時間がなく園内をゆっくり歩くことができなかったが、昭和の風情が残る、大人も童心に帰れそうな場所である。

ジェットコースターもこんなこじんまりとした、かわいいものジェットコースターもこんなこじんまりとした、かわいいもの

ヤマダグリーンドーム前橋一帯は、前橋公園として整備されている。グリーンドームとともにひときわ目立つのが、立派な和風建築の臨江閣(りんこうかく)。

明治時代に群馬県の迎賓館として建てられた。本館・別館・茶室の3つの建物からなり、国指定重要文化財にもなった貴重な近代化遺産である。

豪壮な近代和風建築の臨江閣豪壮な近代和風建築の臨江閣
庭園と一体になった純和風の空間庭園と一体になった純和風の空間
臨江閣からグリーンドーム前橋を眺める。公園に集まっている人はほとんどがライブに参加するプロデューサーだ。臨江閣からグリーンドーム前橋を眺める。公園に集まっている人はほとんどがライブに参加するプロデューサーだ。

かつての群馬県といえば、富岡製糸場を擁して日本の主要な輸出産業だった養蚕産業の一大中心地である。前橋は市制施行も関東地方で4番目の早さで、臨江閣が建てられた明治時代の繁栄ぶりがうかがい知れる。萩原朔太郎を生んだ豊かな文化も、そうした前向きな時代の空気の中で形成されたのだろう......と昔日の前橋に思いをはせたくなった。

このほかにも市内ではあちらこちらで、アイマス関係のTシャツやグッズを身に着けたプロデューサーを見かけ、飲食店では食材が売り切れる店も出るなど、プロデューサーたちは思い思いに前橋の街を楽しんでいた。

またゲームのキャラクターとコラボした限定マップの試みは大成功と言っていいだろう。筆者も前橋にはさほど明るくなかったが、実際に歩いてみると歴史や文化を知るいい機会になり、単にライブを楽しむ以上に実りある時間を過ごすことができた。

開演が近くなると、続々と集まってくるプロデューサー開演が近くなると、続々と集まってくるプロデューサー

市とプロデューサーの交流は続く

公演が終わった今、地元と前橋を訪れたプロデューサー、双方が互いに感謝しあって、ライブの成果を喜んでいる。ころとんが喋る前橋市公式ツィッターでは終演後も出演者のつぶやきを拡散し、プロデューサーにアンケートを行うなど交流を続けている。

山本龍市長は9月10日の会見で、2日間でのべ2万人近くが訪れたライブと街の盛り上がりようへの、率直な驚きを言葉にしていた。

前橋市がコラボ企画を始めたのは、8月中旬から実質1か月足らず。市長も「この短期間でよくここまで」と地元の協力に賛辞を送っていた通り、コラボ具体化からのペースを考えると、消費者(プロデューサー)を巻き込んでここまで大きくなるとは予想だにしなかったようだ。

アニメ・ドラマ・ゲーム・映画などのコンテンツを地域振興に活かす――この試みは各地で行われているが、その多くは「聖地巡礼」型だ。アイマスに特段縁が深いという訳ではない前橋市が、事前からプロデューサーを歓迎する姿勢を明確にしたのは異例のことかもしれない。それでもネット上でプロデューサーの声をていねいに拾い、併せて地域のみどころ・食文化を堪能できる仕掛けを用意した。

たった2日間のイベントでも本気でコンテンツと向き合い、ファンと同じ目線に立ったことが、筆者を含めた多くのプロデューサーに前橋の好感度をアップさせてくれたのだろう。

アイマスという異色のカルチャーに着目し、地元アピールのきっかけとした前橋市と、積極的に情報を共有して観光を楽しんだプロデューサー、双方向の良好なコミュニケーションが街をにぎわせた今回のコラボ、行政によるさらなる効果の検証と、コンテンツ産業と地域社会の関係に一石を投じることがあれば面白い。

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