日常を大事に自由に “おばあさんの達人”樹木希林の死生観

2018/5/27 12:06 日刊ゲンダイDIGITAL

樹木希林(C)日刊ゲンダイ 樹木希林(C)日刊ゲンダイ

コラム【今週グサッときた名言珍言】

「みんな、やりたがらないから、いっくらでも、おばあさんの役が来るの」(樹木希林/テレビ朝日「徹子の部屋」5月16日放送)

 第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した是枝裕和監督の「万引き家族」。作品の中で、“一家”の家計を年金で支える祖母を演じているのが、樹木希林(75)だ。

 この作品もそうだが、樹木希林といえば、「おばあさん」役のイメージが強い。1974年の出世作「寺内貫太郎一家」(TBS)で、小林亜星が演じた貫太郎の実母に扮したとき、まだ30代で、しかも本人の発案だったというのは有名な話だ。そんな樹木が黒柳徹子に漏らした言葉を今週は取り上げたい。

「寺内貫太郎」のときは髪の毛の色を脱色。皺のない若い手を隠すため、手袋をして「おばあさん」役を演じた。そうした経験からだろう。彼女は「おばあさん」っぽく見せるのは「体型」だと看破している。

「それはもう絶対体型です。歳を取るというのはそういうこと。だから、私は顔に皺とかを書いたことないの。いつも体型なんです。歳を取っていくと段々体が小さくなっていく。それだけ」(スイッチ・パブリッシング「SWITCH」16年6月号)

 背中を丸めることはもちろん、「骨を抜く」ように「腰を落として、厚みを全部横へ流す」という。そうやってリアリティーあふれる「おばあさん」を演じてきたのだ。

 まさに達人。屈指の「おばあさん」女優である。そうして演じ続けているうちに、実年齢が追いついてきた。

 樹木希林が被写体となった「死ぬときぐらい好きにさせてよ」という、宝島社の企業広告のコピーは大きな話題になった。けれど、彼女は「あれは私とは違うの。私はふだんから好き勝手しているから」(朝日新聞出版「AERA」17年5月15日号)と語る。

 確かに彼女は日常から自由に暮らしているイメージが強い。

「やっぱり役者だから、日常生活をしないと役を演じる上でいざというときに損しちゃう。私は車の運転もするし、なるべく1人でやっちゃうの。事務所もなし。留守電で十分。人がいる方が手間がかかる、そんな気がします」(「産経新聞」15年5月25日付)

 役者として日常を大事に自由に生きている。だからこそ、大病を患い、「死」がリアルに迫っていても「おばあさん」を演じることをやめない。むしろ、ますます精力的にも見える。

「死ぬということは悪いことではない。当たり前のこと。『生きているのも日常、死んでいくのも日常』。私はちゃんと見せていきたい。そういう事を伝えるのも、死んでいく者のひとつの役目かなぁと」(oricon ME「ORICON NEWS」16年1月5日)

(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)

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