営業畑一筋の40代、副業OKでも「何をしていいのかわからない」現実

2018/5/17 08:51 日刊SPA!

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 政府が旗振りをする“働き方改革”の一環で、これまではNGとされていた副業や兼業を解禁する企業もチラホラ。残業は減り、余った時間で収入アップといきたいところだが……東京都内の人材系企業に勤める佐々岡さん(仮名・40代)は、会社が取り組む「残業の禁止」と「副業の奨励」によって追い詰められつつあるというのだ。果たして、現場ではなにが起きているのだろうか。

◆“副業OK”の裏で本末転倒な現実も…

「副業って言ったって何をすればいいのか。趣味もなけりゃ得意分野もない。営業一本でやってきて潰しも効かない。まさかこの年齢で土木作業員やコンビニでレジを打つのか」

 佐々岡さんは大学卒業後に大手インフラ系企業に就職。その後、10年ほどして現在の人材系企業に転職した。「派遣法」の改正で、ちょうど人材派遣業界に「春」が訪れていたタイミングだった。

 営業畑一筋だった佐々岡さんだが、社長賞を年に数回受賞するほどの成績。小世帯ではあるが「部長」の肩書も得た。しかし、政府が「働き方改革」を提唱して以降、佐々岡さんの将来に陰りが見え始めた。

「人材系企業ですから、会社として働き方改革には真っ先に取り組むべき、ということです。まずは残業が一切禁止された。自宅での仕事も厳しく禁止されていますが、実際、若手は持ち帰って仕事をやっている。スタートと同時に形骸化しているシステムに何の意味があるのか……。さらに“多様な働き方”の推進がうんぬんで『副業しましょう』なんて言っている。デザイナーの社員なんかは、実際に副業でポスター作ったりウェブデザインやったりして、月に数万円の副業をしている人間もいるそうですが」

 働き方改革によって減った給与の差額分を、実際に副業によって稼ぎ出す社員もいることはいるが、佐々岡さんを含む大多数は、これといった特別なPCスキルもない中年の営業職。副業をしようにも、何をしてよいのかわからず、ただただ減収を受け入れるしかない……というのが実情のようだ。一方で、若手の社員はどうか。

「部下の若い社員が、運動もかねて“引越し”のアルバイトを始めたと言ってました。若い奴はいいな、などと思っていたのですが、副業の疲れなのか本業のほうが疎かになった。勤務時間中に居眠りが増えたり、ケガして病院に行くだの……。まさに本末転倒ですよ」

◆部下から愚痴をこぼされても言い返せない

 そんなある日、中間管理職である佐々岡さんは、飲みの席で部下から次のようなひと言を突き付けられたという。

「酔っていたからかでしょう。働き方改革なんて、若者にもっと働け、老人も引退せずに死ぬまで働け、と強制する制度だと部下に指摘されました。柔軟な働き方、などというのは詭弁であり、ひとりにつきひとつの職場ではなく、朝から晩まで、土日もなく働き続けなければ、超高齢化社会はすぐに破綻するのだと……。部下なりの本音だったのでしょうが、私だって『その通りだ』と言いたかった。でも、立場がそれを許すわけがない」

 佐々岡さんは、働き方改革、そして副業推進のモデルケースになるよう上層部から圧力をかけられている。意を決して「在宅ワーク可能」と謳うデータ入力やネット記事執筆のアルバイトに応募するも、合否の結果すら返ってこなかったと嘆く。

 ハローワークで「ダブルワーク可」の求人を見つけても、クリーニング工場や警備員など、とても本業の傍らに出来そうもない、ハードな仕事ばかりだった。

 政府が掲げる「柔軟な働き方」とはいったい何だろうか? 「改革」という心地よい聞こえの裏には「今よりもっと働け」「休むな」というメッセージが秘められている気がしないでもない。<取材・文/山口準>

― 不満続出! “働き方改革”のリアル ―

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