ゲーム音楽と歌唱曲の制作工程ってこんなに違う! 作曲家に聞いてみた

2018/3/30 18:01 ネタりかコンテンツ部

こんにちは。ライターの砂流(すながれって読みます)です。

僕は今、ゲーム音楽のフェス「JAPAN Game Music Festival II:Re」(以下、JGMF)に来ています!

 

 

JGMFは、ゲーム音楽(ゲームのBGM)を作っている作曲家やバンドが、いろいろなゲーム音楽を生演奏するという音楽フェスです。

 

 

『ロマンシング サ・ガ』や『ダライアス』など懐かしの名作から最新のスマホゲームまで、とにかく最初から最後までゲーム音楽で構成されたフェス。会場のお客さんもすごい盛り上がりでした!

 

 

聞いていると、ゲームのシーンや当時遊んでいた情景などが脳裏によみがえってきて、昔の思い出と目の前のライブがリンクしてきました。これはほかの音楽フェスではなかなか味わえない、ゲーム音楽ならではの魅力ではないでしょうか。

 

ところで、こういうBGMって、アーティストやアイドルの人たちが歌っているような普通の曲と作り方に何か違いがあるのでしょうか。

気になったので、JGMFに出演していた作曲家の方に話を聞いてみました。

 

話を聞いた作曲家

 

お話を聞いたのは、上倉紀行さん。声優ユニットの曲や『朧村正』『サガ』シリーズのゲーム音楽を作っている作曲家です。

 

上倉紀行
1980年神奈川県生まれ。大学在学中より音楽活動を開始。作曲やアレンジ、またキーボードプレイヤーとして各種レコーディングやライブのサポートなど幅広く行う。卒業後レコード会社などを経て、2006年音楽制作会社のベイシスケイプに活動の拠点を移し、50タイトル以上ものゲーム音楽制作に携わる。2011年よりフリーランスとなり、世界樹の迷宮SQ F.O.E bandや様々なゲーム音楽バンドのメンバーとして演奏活動も本格化。また、アニメの劇伴音楽、amazon audible配信作品のBGM制作など、新たな分野でも活動の幅を広げている。

 

▲上倉さんが作曲した曲

 

J-POPとBGMでは、作曲の依頼方法から全てが違う

 

ーー アーティストやアイドルの人たちが歌っているようないわゆる「J-POP」と、映画やドラマ、ゲームの劇中に流れてくる「BGM」。作曲の工程ではどのような違いがあるのでしょうか

どちらも同じ音楽ではありますが、役割自体が違います。例えば、アーティストに楽曲提供をする場合、勿論ですがそのアーティストが主役です。仮にドラマやゲームなどのタイアップが決まっていて、「曲の世界観などもそれに寄り添うようにお願いします」というオーダーがあれば別ですが、そうでなければ純粋に曲自体が主役となります。

一方BGMは、「バック・グラウンド・ミュージック」という名前の通り、何かに付随する音楽なんです。曲単体の力よりも、物語や世界観、その場面などに合うことを重視した曲が求められます。

あと、BGMは基本的にヴォーカルが入っていないインスト曲が中心となりますね。

 

ーー J-POPを作曲する場合、どのような流れで制作されるのでしょうか?

アーティストからの作曲依頼の場合、「ロックテイストでお願いします」とか「泣かせるようなメロディでお願いします」とか、けっこうざっくりなオーダーだけもらって、「あとはお任せします」となることが多いんです。「リズムはこういう感じで」みたいな細かい指定をされることは、とくに無いですね。

作曲するときはアーティストのことを深く考え、歌っている絵面などを想像しながら、自分の個性とアーティストの個性をうまく調和できるような曲の完成を目指します。

 

ーー では、BGMを作曲する場合は?

 

ゲームのBGMの場合は、下記のような感じのリストが届くんです。

 

▲リストのイメージ

 

ーー けっこう細かいですね。発注書みたいというか

そうですね。あとはキャラクターのビジュアルや、草原や洞窟のビジュアル、設定資料みたいなものをくれるクライアントさんもいます。ただ、ビジュアルも音楽も全て同時進行というゲームもあるので、リストとゲームタイトルとテキスト情報のみから作曲するという場合もあります。

 

ーー そんなに情報が少なくても大丈夫なのですか?

そこはお互いの信頼関係ですね。あとはもう少ない資料を読み漁ったり、ディレクターと話し合ったりでしょうか。

 

ーー どういう話し合いをされるんですか?

例えば、リストに「爽快」という言葉があったとしますよね。でも、人それぞれで「爽快」のイメージって違うものだったりするじゃないですか。そういう言葉に対するイメージをお互いが出し合いながら、一緒に作曲していく感じです。

 

ーー ちなみに、ゲームのBGMって1作品で何曲くらい作曲されるのでしょうか?

最近のRPGの場合、1作品でだいたい60から70曲ぐらいでしょうか。一人で全部担当することもあれば、何人かの作家やアレンジャーとチームを組んだりします。プロジェクトの進行具合にもよりますが、だいたい半年~1年くらいかけて完成させることが多いですね。

 

 

ゲームのBGMは3つの要素からできている

 

ーー J-POPとBGMの作曲の違いについて、制作工程以外での違いを教えてください

どちらもスタンス的な違いはありません。ただ、ゲーム音楽の場合は「3つの要素」が重要だと僕は思っていて、それらをうまく組み合わせて作曲するようにしています。

 

ーー その3つの要素というのは?

「プレイヤーの視点に立つ」「第三者の視点に立つ」「敵の視点に立つ」の3つです。

まず「プレイヤーの視点に立つ」というのは、プレイヤーが戦っていて盛り上がれる曲かどうか、ということ。例えば、『ロマンシング サ・ガ』シリーズの戦闘曲とかって、メロディアスですよね。自分がプレイヤーだった場合、ああいう曲って気持ちが盛り上がるじゃないですか。

 

ーー ロマサガは戦闘曲を聴きたいから戦闘に入るくらいの高鳴りがあります

次に「第三者の視点に立つ」ですが、これは『ドラゴンクエスト』の戦闘曲などがわかりやすいかな、と。ドラクエの戦闘曲、とくにボス戦の曲は不協和音のような、ちょっとおどろおどろしい感じがありますよね。あれは、「おぞましい魔物と対峙している」「こんな強敵に勝てるのか?」という、主人公が敵と戦うときの心理を描写していると思うんです。

 

ーー たしかに。同じ戦闘曲でも、雰囲気や印象が全然違います

最後に、「敵の視点に立つ」。敵側の威厳やキャラクターを立たせることですね。例えば『ファイナルファンタジー』シリーズの敵には「帝国」が多いですが、帝国の音楽って威厳があったり、プレイヤーが恐ろしいと感じたりするものが多いですよね。

ちなみに映画やドラマのBGMでは、第三者の視点に立った曲が多く用いられます。映画やドラマはゲームと違い、自分で主人公を操作(プレイ)するなどしないため、見ている人の気持ちを代弁、盛り上げるというよりは、情景描写や心理描写など、その作品全体の世界観を構築する事に特化した作りになっています。

 

ーー なるほど、勉強になります。ところでこの3つの要素というのは、上倉さんがご自身で考えた作曲論なんですか? 

そうです。子どもの頃に遊んでいるうちに、なんとなくそういうことじゃないかなぁって。

 

ーー え、子どもの頃にすでに?

僕の兄がゲーム好きで、ファミコン、スーパーファミコン、メガドライブ、PCエンジン、ネオジオなどが全部家にあったんです。あと、なぜかプレイステーションが4台あったりとか……。そんな環境だったので、とにかくゲームでめちゃくちゃ遊んでいたんです。

さらに兄が音楽も好きで、エレクトーンやシンセサイザーも家にあったんですね。それで僕が小学校3年生ぐらいの頃に、兄が新しいシンセサイザーを買ったので、使わなくなったシンセサイザーをくれて。

そういうゲームと音楽に囲まれた環境で育ったからこそ、3つの要素も発見できたんだと思います。

 

ーー すごい家庭環境ですね……。では最後に。ゲームが好きでゲーム音楽の作曲までしている上倉さんの、「お墓まで持っていきたいゲーム」を1本挙げるとすれば、何でしょうか?

うーん……。難しいな……。年代によって違うんですが、あえてひとつ挙げるなら、PCエンジン CD-ROM2版の『イースIV』ですかね。米光 亮さんという方が曲のアレンジをされているんですが、このアレンジがキッカケでゲーム音楽にハマり、アレンジの面白さを知ったので。

 

まとめ

 

アーティストが歌う曲とBGMとの違い、いろいろな発見があって面白かったですね。

今回上倉さんにお話を聞いたことでよりゲーム音楽に興味を持ったので、これからもゲーム音楽フェスには積極的に参加していきたいと思います。

それでは!

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