おでんに食べる順番はあるの? 具材の地域差は? 謎を調べてみた

2017/11/8 11:31 ネタりかコンテンツ部

これからの季節に食べたくなるのが「おでん」。

 

味のしみた大根やこんにゃく、たまごに練り物などさまざまな具材たちが織りなすコンビネーション。アツアツのままほおばったらもう……たまりません。

 

食品メーカーの紀文食品が毎年発表している『紀文・鍋白書2016』によると、「あなたの好きな鍋料理は何ですか?(2016年)」というランキングにおいて、既婚男性、小学生、主婦それぞれの部門で、おでんが堂々の1位を飾っています。

 

出典:「紀文・鍋白書」(外部リンク)

 

このように、老若男女から人気の高い鍋料理であるおでん。でも、たとえばそのルーツや食べる順番、地域差など……私たちはおでんについて、知っているようで意外となにも知らないのではないでしょうか。というわけで、今回は徹底的におでんの謎を解き明かします!

 

誕生は関東、でも出汁のルーツは関西にあり! おでんの歴史

「おでん」が誕生したのは幕末期の江戸。もともと室町時代に流行していた、熱した石で豆腐を焼き、味噌をつけて食べる「豆腐田楽」から変化したものが「おでん」の原型となりました。

 

その後、豆腐の代わりにこんにゃくを使用し、焼かずに煮込むようになり、そこに大根や芋、ちくわなどが加わることで、現在の形へと近づいていったのです。

 

一方関西でいう「おでん」は、こんにゃくを茹で、すり味噌に砂糖を加えて甘くした「こんにゃく田楽」のことをさしていました。関東のおでんのことを、関西では長らく「関東煮」(かんとだき)と称されており、現在もそのように呼ぶ人もいるようです。

 

 

ちなみに、おでんの「出汁」は関東ではなく関西の発祥。

大正時代に発生した関東大震災の際、関東のおでんを出汁で味付けした「関西風のおでん」が炊き出しされたことをきっかけに、逆輸入のような形で関東でも普及したようです。

今では好きな鍋料理第1位に君臨するまでになったおでんですが、その裏には歴史あり、です。

 

昭和のおでんは「おやつ感覚で食べられる屋台の味」

家庭やコンビニで手軽に食べられるおでんですが、その手軽さは昔から変わらず。昭和のおでんは「おやつ感覚で食べられる屋台の味」だったそうです。

 

今回は、その道40年の料理人である知人に「おでんの昔話」を聞いてみました。

 

 

「おでんは、地域によっても人によっても味付けや具材は異なりますし、食べる順番などのルールもありません。自由に食べるものです。

自分が小さな頃(昭和30~40年頃)は、外で遊んでいると夕方チリンチリン鈴を鳴らして、おでん売りが来ていました。具はこんにゃくと大根。それに練り込んだ甘味噌を塗って食べるんです。

おやつとして気軽に食べられるので、おでんを買うのは子供ばかり。1本5円くらいでした。あんまり大根は食べず、串を打った三角のこんにゃくばっかりを食べていました。出汁ではなく、ただのお湯に入れて売られていました。」(知人・談)

 

今とは購入スタイルこそ異なるものの、昭和のおでんも手軽に楽しめる味だったようです。昭和初期から昭和20年代後半くらいまでは、屋台やおでん専門店はもちろん、駄菓子屋などで食べるものだったとか。

 

家庭料理として普及するようになったのは、実は戦後以降。比較的最近になってからの話なのです。

 

具材豊富な地元オリジナルなおでんの具材たち

時代とともに少しずつ形を変えながら、さらに地域によってもいろいろな違いがあるのがおでんの特徴。

 

出汁の種類もその地域でのみ食べられているような具材も、実は豊富にあるんです。というわけで、以下さまざまな都道府県の皆さんに、「地元のおでん」について聞いてみました!

 

 

「ちくわぶと白いふわふわのはんぺんが好きです」(神奈川)

「上京して初めて知った」という人も多い具材がちくわぶ。小麦粉をこねたものを茹でて作る麩(ふ)の一種、関東で人気の具材となります。ちなみに、関西では「何を食べているかわからない」とはんぺんの人気は低く、あまり浸透していない具材なんだとか。

 

「タコはマスト食材です。あと、東京に来てから『スジ』(牛すじではなく、魚を骨ごとすり潰したような練り物)がおでんの食材としてスーパーで売られているのを初めて見て、驚きました。そんなもの、存在自体知らなかった」(京都)

関西や中国地方のおでんに欠かせない具材はタコ。昔はサエズリ(鯨の舌)やコロ(鯨の皮から皮下脂肪あたりの部位を、油で揚げ絞り乾燥させたもの)も欠かせない具材だったそうですが、鯨が高級品になったため、今ではタコが定番に。京都では、京野菜や湯葉などの食材が使われることもあるそうです。

 

「牛すじはおでんに必須!! と思っていましたが、関東のスーパーには売ってすらなく衝撃を受けたことがあります」(島根)

牛すじは関西だけでなく、四国や山陰でも広く愛されている具材。なお、関西では「牛すじの脂っこい味がよくしみておいしい」と、厚揚げが牛すじの名パートナーとして人気が高いそうです。牛すじ以外では鶏肉(かしわ)をよく入れるという声も。

 

「ホタテとか、つぶ貝が入っていました!!」(北海道)

北海道では、ホタテやつぶ貝をはじめとした魚介類が多く入っている模様。

 

「沖縄に旅行したとき、コンビニのおでんにテビチやソーキがあったことにすごく感動しました」

「うちではソーキ汁として出ていた料理がおでんに近い感じでした。テビチを入れている家庭やお店もあったかと思います」(沖縄)

沖縄では、豚足(テビチ)やソーキが登場。コクのある味が特徴的だそうです。

 

その他、「うちだけかもだけど、鶏のスペアリブが入ってた」「我が家は玉ねぎを1玉入れます! いい味が出ます」(ともに神奈川)など、各家庭でもいろいろな具材が定番メニューとなっているようです。

 

おでんの食べ方・食べる順番にルールはない! 自由に楽しもう!

先述したように、おでんには食べ方や食べる順番に関してのルールはありません。ただ、こうした方がいいのでは、というおすすめについて、プロの料理人の方にお話を聞いてみました。

 

冬場にはおでんも扱うという、日本酒と発酵食品を使った料理がメインの飲み屋「酒と醸し料理BY」の店主・馬場吉成さんです。

 

▲店主の馬場さん「酒と醸し料理BY」(外部リンク)

 

「おでんを作るときは、基本は大根など煮えにくいものから順に入れます。練り物は膨らむので最後の方で、はんぺんは食べる直前に少し煮る程度がいいでしょう。味がしみきったクタクタのはんぺんも、あれはあれで美味しいんですけどね。

煮えすぎないように、という観点でいえば、はんぺん、練り物、玉子、大根といった順で食べていくのがいいのかもしれません。とはいえルールはないので、自分の好きな順番で食べればいいと思います」

「酒と醸し料理BY」が作るおでんは、大根・玉子・こんにゃく・ちくわ・がんもの5種類です。味がしみしみで、うんまかったです!

 

▲酒と醸し料理BYのおでん750円(少なめもあり)

 

日本酒全般がおでんに合うということだったので、本日のおすすめの中から「大典白菊(たいてんしらぎく)」をいただきました。

 

 

岡山の白菊酒造で造られた、メロンを思わせるフルーティな甘さの日本酒でした!

 

今回のおでんの調査からわかったのは、おでんという料理の持つ自由度の高さ、地域や時代にあわせて姿を変えていく柔軟性。単純に見えて、実は奥深い料理だったのです。

 

いつの時代も手軽に食べられる料理として人気だったおでん。今もなお進化を続けており、トマトを入れた「洋風おでん」や、夏に食べたい「冷やしおでん」など、変わり種のおでんも珍しくなくなってきました。

 

これからおでんを食べるときは、具や出汁の違いにも注目してみたら面白いのではないでしょうか。

 

■取材協力

酒と醸し料理BY

住所:東京都板橋区南常盤台1丁目29-6 シブヤビル1F

電話:03-6325-9874

■参考文献

関西と関東(文春学藝ライブラリー)文庫 – 宮本 又次 (著)

「関東の味」のしきたり 「関西の味」のしきたり (青春文庫)文庫 – 話題の達人倶楽部/編 (編集)

 

取材・文 井口エリ/編集・プレスラボ

 

*11月9日追記:おでんの呼称の読み仮名に誤りがありました。お詫びして訂正をさせていただきます。

誤)「関東炊き/関東煮」(かんとうだき) 
正)「関東炊き/関東煮」(かんとだき)

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