徳谷柿次郎に聞くローカル領域の企画術「フラットな視点と優しさ、そして斜めの関係性を大切にしたい」 連載:大人の学び 第9回

2017/10/31 17:01 ネタりかコンテンツ部

私たちは、日々何かを企画しながら生きています。

新しいイベント、月末の旅行のプラン、今日の晩御飯のメニューetc……。仕事はもちろん、日常生活の中でも「企画」をする機会は訪れます。だからこそ、企画を特別なものとして距離をおくのではなく、自分の人生をちょっと良い方向に変える手段として捉えてみる。そうすることで、少しずつ変化は起きていくのかもしれません。

 

「自分はこれから何をして生きていきたいか」、「自分はこれからどんな世の中をつくりたいか」。これらをテーマに、コピーライターの阿部広太郎さんが主宰する講座が「企画でメシを食っていく」(通称・企画メシ)です。

 

各業界の現場の第一線で活躍される方たちをお招きして「企画」の捉え方・考え方について伺っていく企画メシ。こちらの連載では、「大人の学び」をテーマに、自分の人生を企画していくためのヒントをお届けしていきます。

 

今回のテーマ:「地元」

 

話し手(写真左):徳谷柿次郎

株式会社Huuuu代表。1982年生まれ。大阪府出身。47都道府県のローカル情報を届ける『ジモコロ』、全国の小さな声を届けることを使命とする『BAMP』という2つのウェブメディアの編集長を務める。

 

聞き手(写真右):阿部広太郎

1986年生まれ。2008年、電通入社。人事局を経て、コピーライターに。「世の中に一体感をつくる」という信念のもと、言葉を企画し、コピーを書き、人に会い、つなぎ、仕事をつくる。東京コピーライターズクラブ会員。宣伝会議コピーライター養成講座「先輩コース」講師。

世の中に企画する人を増やすべく、2015年より、BUKATSUDO講座「企画でメシを食っていく」を立ち上げる。初の著書『待っていても、はじまらない。―潔く前に進め』(弘文堂)を出版。

 

※本連載は、BUKATSUDO講座「企画でメシを食っていく」(通称・企画メシ)における講義内容を、対談形式に再編集したうえで一部内容をネタりかにて補足したものとなります。

企画メシ:http://kikakumeshi.jp/

大人のための街のシェアスペース・BUKATSUDO:http://bukatsu-do.jp/

 

ジモコロ流「地元の企画を考えるための7つの視点」「地元の取材における3つの編集術」

 

阿部:本日はよろしくお願いします。まず柿次郎さんが編集長を務めるwebメディア『ジモコロ』について紹介しますと、求人会社のオウンドメディアとして「仕事」と「地元」というニッチなテーマを扱いながら、月間PVは100万超。

しかも読者の7割が18歳~34歳の層で、そのほとんどがスマートフォンで閲覧しているという若い世代のファンに支えられているのが特徴的なメディアですよね。

 

▲イーアイデムの地元メディア『ジモコロ』:https://www.e-aidem.com/ch/jimocoro/

 

柿次郎:見せ方としてスマホという面はすごく意識していますが、コンテンツが受け入れられている理由は、しっかりとした独自取材に基づいた内容を発信し続けているからではないでしょうか。

webメディアには、「もともとネットにあった情報を拾ってつなぎ合わせて作っただけ」みたいなコンテンツも多いのですが、ジモコロは「取材でちゃんと1次情報を得て、それを企画・編集の力でより多くの人に届ける」という基本姿勢を守り続けていることで、読者の支持も得られるようになったのだと思います。

やっぱり自分で取材し、自分の五感で感じたことを蓄積していかないと、いいものは作れないのではないかと考えているので、今もほとんどの取材に自分が同行するようにしています。

 

阿部:全国47都道府県を対象とした取材活動を2年以上ずっと続けていらっしゃるということですが、とにかくその行動量がすごいですよね。

 

柿次郎:取材に行くと飲む機会が増えるので、どんどん不健康になっている気がします(笑)。でも、辛いことなんてそれぐらいです。公私混同で、とにかく自分の「好奇心」を満たしていけるというのは超エネルギーが出ることなんで、全然苦にならないんですよ。

 

 

阿部:今回はそんな柿次郎さんから、全国どこでも適用できるジモコロ流の「地元の企画を考えるための7つの視点」「地元の取材における3つの編集術」を教えてもらえるということで、とても楽しみにしています。

 

柿次郎:はい。全国どの土地に行っても通用しそうな視点と編集術について、事例とともに紹介していきたいと思います。

 

 

地元の企画を考えるための7つの視点

 

 

視点1. まだ全国的に見つかっていない「個性」を発掘する

柿次郎:まずは「地元の企画を考えるための7つの視点」のうち、一番わかりやすいこの視点から紹介させていただきます。

そもそも僕のローカル取材での最初の成功体験は、静岡で偶然「クワガタとタケノコでフェラーリを2台買った」というクワガタタケノコおじさんを見つけたことだったんですね。もうほんとにこのおじさんの発掘が、僕のその後の人生を変えてくれたと言っても過言ではありません。

 

▲写真:ジモコロ 【伝説】クワガタとタケノコで大稼ぎ! 謎の農家「風岡直宏」はなぜフェラーリを買えたのか?

 

阿部:どうしてこの方を取材されることになったんですか?

 

柿次郎:本当に、自分自身の違和感と直感に従った結果でしたね。別の取材での移動中に偶然店の看板を見かけたんですが、そのときの衝撃が忘れられなくて。だから取材の帰り道に、本人のところにアポ無しで直接話を聞きに行ったんです。

 

阿部:まさに突撃取材だったわけですね。

 

柿次郎:そこからは、もう本当に勢いで記事にしました。テープ回して写真撮って、帰りの車の中で記事タイトル考えて……。「とにかくこのおじさん、すごい特ダネだ!」という直感に従っての行動でした。結果として、見事ジモコロ開始以来一番の反響を得た記事となったので、めちゃくちゃ気持ち良かったですね。

この体験以来、何かに対して違和感を覚えたときは、いかにその直感に従って行動できるか。それが全てなんだ、と思うようになりました。

 

阿部:今の柿次郎さんにとっての原体験とも言えるのが、この方との出会いだったんですね。

 

柿次郎:はい。そこからはもう、直感に従った取材を重ねていくようになりました。山形の鶴岡で出会った「マッドサイエンティスト農家」とか、長野県在住の「ヨガきこり」とか、未知のおじさんたちとの無数の出会いが……。

 

 

阿部:ネーミングがとにかく強いですね……。その方たちと出会わなければ、絶対に生まれなかった言葉たちだと思います。

ただ、そういう方々を取材していくと、記事に強烈なインパクトが宿る一方で、なんというか情報やノイズが過多になりそうな気がします。結果として記事が長くなってしまい、逆に最後まで読んでもらえなくなってしまうのでは、という懸念もありますが。

 

柿次郎:文章だけではそうなる場合もあると思います。だから、取材現場で「何だ、これ!?」と感じたものは、しっかりと写真を撮っておくといいのではないでしょうか。

それを記事の一番いいところに載せておけば、読んでる人も「何だ、これ!?」となり、説明が欲しくなる。だから長い文章でも離脱することなく、最後まで読んでくれるようになるのではと思います。

 

視点2. 知る人ぞ知る「場所」の掘り下げインタビュー

 

柿次郎:続いて、どこの地域でもみんなが知ってるような「場所」ってあるじゃないですか。例えば横浜だったら「中華街」。でも、中華街の創設者が誰かとか、どういう経緯でできたのかとかは、普通知りませんよね。だから企画のタネになると思うんです。

もちろん創設者をただ紹介するだけでは記事にはならないんですが、その人に創設当時の話を聞いたとなると、少し気になりませんか? 特にwebには掘り下げたインタビュー記事っていうものが意外に少ないという印象があるので、それだけで「情報価値の高いコンテンツ」になる場合も多いと思うんですよ。

 

阿部:その場所自体は有名でも、背景や事情は誰も知らないというケースはたくさんありますよね。

 

柿次郎:例として挙げた中華街は全国区ですが、ジモコロの場合は地元でのみ有名なスポットを掘り下げていくというスタイルでも記事を作っています。

反響が良かった記事例を挙げると、長野県の上田にある、頼んでないメニューが勝手にセットで出てくる「故郷」という喫茶店の紹介記事。

 

▲写真:ジモコロ 「頼んでないメニューが勝手にセットで出てくる」 独特すぎる喫茶店『故郷』の商売論とは?

 

阿部:「知る人ぞ知る地元の名物喫茶店」というのはどこの土地でもあるし、気になる存在ですよね。

 

柿次郎:この店の何がすごいって、座った瞬間にオートマチックにメニューが出てくるところなんですよ。40年間ずっと値段も300円のまま、「ゆで卵・コーヒー・しそ茶・カール6個」というセットが淡々と提供されるというシステムで継続してる。

しかも昼間に来た常連のおばあちゃんが夕方にもう1回来ると、1回来てくれてるからという理由で、夕方の回はタダになるんですね。

 

阿部:何とも素敵なシステムですけど、お店の経営はどうやって成り立ってるんですかね……?

 

柿次郎:そこがローカルの良さなんですよ。要は自分の土地でお店をやっていれば賃料はかからない。自分の好きな客に向けて好きなものを出すだけなら、これで十分やっていけるんです。

物の価値っていうのは本来は土地代や賃料などいろんなものから算出されるものですが、ここの店主はそういう経済観念からもはや脱却してるわけです。そういう風に考えると、なんかカッコいいという気すらしてきませんか?

 

阿部:確かに。まさに地元だからこそ成立するスタイル。

 

柿次郎:もちろんここは地元でも相当コアなお店なんですが、こういう知る人ぞ知るという場所であっても、掘り下げればちゃんとみんな面白がってくれる記事になるんだという好例になったと思います。

 

視点3. 土地×既知の「あるある」を再定義する

 

柿次郎:土地と既知を掛け合わせての「あるある」というのも、きちんと掘り下げればいいコンテンツになると思います。

例えば静岡には「さわやか」という超有名なハンバーグ屋さんがあります。“食べてない人は人生損してる”ってぐらいおいしい店で、コアなファンがいっぱいいるんですが、静岡県内にしか出店していないんですよ。

 

阿部:隠れた名店が隠れてるままの場合って、何かしらの理由がありそうですね。

 

柿次郎:そうなんです。「さわやか」の場合は、「作ったハンバーグを1回も冷凍しないチルドの状態で届けられる範囲は静岡県内までだから」という社長のこだわりが、その理由らしいんですね。

でも、何はともあれ単純にめちゃくちゃおいしい。備長炭の強火と遠赤効果、肉汁もたっぷりで、コンテンツとしてこの店のハンバーグが非常に強い。

 

▲写真:ジモコロ 【完全攻略マンガ】究極のハンバーグ店「さわやか」への愛と肉汁を詰め込んでみた

 

柿次郎:だからこの「さわやか」の良さについて、もともとこの店が大好きだった山本さほさんという漫画家さんに、あらためて全力で語ってもらうっていう形式の記事にしてみたんです。結果、やはりすごく良い反響を得られました。

 

阿部:コンテンツとしての「さわやか」自体を発見したわけではなく、その魅力にあらためて光をあてたような形となったわけですね。

 

柿次郎:地元なら誰もが知っているようなコンテンツこそ、深く話を聞いたら意外に知らないストーリーや時代背景が出てきて楽しめる、というものが多いと思います。だから「あるある」を再定義するという手法は、すごくおすすめですね。

 

視点4. 歴史×文化で土地を掘り起こす「民俗学」的な記事

 

柿次郎:地元の取材では、既知の情報がほとんどない“未知の場所”についての記事を書くことも多いんですが、それを全国の人が興味を持って読める内容にするというのは、やはり結構難しいんですね。そういう場合の視点の1つとして、自分なりに考えてみたのが、民俗学との掛け合わせという手法です。

 

阿部:民俗学……ですか?

 

柿次郎:はい。例えば「初島」というリゾート地として有名な離島があります。そこはめちゃくちゃ小さい島なんですが、なぜか島民の住居が1つの場所にぎちぎちに密集しているんですね。だから気になっていろいろ調べてみたんですが、どうも江戸時代からずっと「41世帯」という縛りが続いていて、これ以上増やしちゃ駄目っていう決まりまであるらしいんです。

 

▲写真:ジモコロ 江戸時代から続く「41世帯」縛り… 東京から一番近い離島の謎を調べてきた

 

阿部:住居の密集に世帯数の縛り……確かに気になる謎ですね。

 

柿次郎:それで実際に島の人に話を聞いてみたら、最初はめちゃくちゃ警戒されながらも、インフラ環境をベースとした島内事情によるものだということを親切に教えてくれました。

でもやっぱり、その背景には島社会の営みや歴史的事情みたいなものが透けて見えるんですね。だから全体的にはリゾート地としての紹介をしながらも、最終的にはその土地の謎というか、民俗学的な歴史のちょっとした面白さに言及する記事としたんですよ。

 

阿部:それで民俗学。確かに全国のその土地その土地で、必ずいろいろな歴史がありますもんね。それなら自分にとって未知の場所であっても、興味を持って記事が読めそうです。

 

柿次郎:はい。ただ、どうしても内容がマニアックになりがちなので、記事の作り方としては注意が必要だと思います。

 

視点5. 難しいテーマを「漫画」で再編集する

 

柿次郎:webでは常套手段の1つになるんですが、難しいテーマをわかりやすく伝えようと思うと、やっぱり漫画という手段が現時点では最強です。

最近では、『PIECES』という子供の貧困問題解消支援のNPO団体を紹介する記事で、この手法を採り入れました。こういう取り組みに対しては、メディアとしてちゃんと協力しないとけないと常々思ってるのですが、読者に正しく内容を説明するのはやはり難しいんですね。

 

阿部:前提の説明がどうしても長く難しいものになってしまうので、読んでも理解が追いつかないということも多いですよね。

 

柿次郎:そうなんです。文字だけだとかなり厳しいと思います。だから漫画でちゃんと丁寧に構成を組んで、とにかくわかりやすい記事として仕上げよう、ということを心掛けました。

 

▲写真:ジモコロ 漫画でわかる『子どもの貧困』- ポイントは「3つの孤立」と「溜め」だった

 

柿次郎:もう1つ強く意識したのは、「この記事を、PIECESのメンバーが自分たちの活動を伝える際のツールとしても使えるように作る」ということでした。

やっぱり「PIECESって何ですか?」と質問されると、メンバー当人は活動に対するアツい思いがあるから、説明のための言葉が増えてしまうと思うんですね。でも、言葉が増えたらその分ちゃんと引き算しないと、相手には伝わらない場合も多くなるじゃないですか。

 

阿部:なるほど。だからこそ、漫画でそこをわかりやすく。

 

柿次郎:そうですそうです。あと、これ自体はwebの記事用に作った漫画ではありましたが、印刷してもらえば資料としても配れますよね。だから結構「web」と「紙」の両軸を意識して作りました。

例えば教師の方が子供に貧困問題を伝えようとした場合、教科書より漫画のほうが使いやすいというケースも多いと思います。そういうときに、この記事を印刷して使ってもらえたらいいな、と。実際、そういう用途での使用許可みたいな問い合わせが今増えてきてるので、本当にこれはやっといて良かったなと思います。

 

阿部:すごく素敵な取り組みですね。

 

柿次郎:あわせて僕自身も、webメディア専用の記事をずっと作ってきて、表現として少し飽きてたというタイミングだったこともあって。フリーマガジンとかも含め、もっとリアルな届け方とかないかなぁと模索していたんです。そういう点でも、漫画というのはこの先まだまだ表現の可能性が広がる手法ではないかと考えています。

 

視点6. まだ語られていない潜在意識の「仮説」を記事に落とし込む

 

柿次郎:次はちょっと小難しい感じの視点になるんですが、僕たち編集者の仕事っていうのは、突き詰めると常に「これはなんでだろう」「これって面白いんじゃないか」みたいな仮説をいっぱい考えることになると思います。その仮説を検証することが、そのまま記事になるわけですから。

 

阿部:つまり、仮説を多く持てる人ほど優秀な編集者、とも言えるわけですね。

 

柿次郎:そうなんです。例えば「ゲストハウスのオーナーって、きっと心の中にすごい孤独を抱えているはずだ」という僕の中の仮説に基づいて作ったのが、こちらの記事になります。

 

▲写真:ジモコロ 愛が枯渇する!? ゲストハウス経営者が抱える「孤独」のジレンマ問題

 

阿部:興味深いタイトルですね……。解説をお願いしてもいいでしょうか。

 

柿次郎:はい。ゲストハウスのオーナーって、常に利他的なマインドでいないといけないというか、365日ずっと旅人と一緒に過ごさないといけない仕事ですよね。でも、そもそもの前提として、オーナーの多くはもともとバックパッカーなどとして1人でいろいろ旅をした経験があって、旅先で出会ったゲストハウスが最高で、それが自分の人生を変えたから「自分も作ろう」ってなった気がするじゃないですか。

 

阿部:そういう人が多いだろうな、というイメージはあります。

 

柿次郎:一方で「なぜ人は旅をするか」というと、潜在意識的なところの答えとしては「1人になりたいから」になる気がするんですね。

1人で旅をすると孤独でちょっと心の空白が生まれてきて、そういうときに旅先で人と出会うからこそ、旅人は人と仲良くなりやすい。東京とか人が多い場所に住んでいると、そこの空白ってなかなか生まれないですが、例えば言語が違う場所に行ったらすごく孤独で寂しくなる。だから外国の人でも話し掛けようとなる。

旅人っていうのは本来そういう人種であり、だからこそ、もともとは1人が好きなはずなんじゃないかなぁと。それなのにゲストハウスなんかを始めてしまうと、365日朝から晩までずっと人の相手をすることになるから、そのストレスで気が狂いそうになることも多いんじゃないか。

……そんな風に考えていった結果、この仮説が立てられたんですね。

 

 

阿部:つまりオーナーの方たちは、向いてそうで実は一番向いていないことを仕事にしてしまってるのではないかと……?

 

柿次郎:そうです。この孤独感が本当にあるかどうか、仮説として検証すれば記事として十分成り立ちそうだと思えませんか?

 

阿部:そう聞くと、すごく気になるテーマに見えてきました。

 

柿次郎:もちろん実際に記事にしたのは、仮説として単に面白いからというだけでなく、問題提起として意味がある記事になりそうという前提があればこそでした。

ゲストハウスの場合は今ブームということもあって、これから始めてみようかと考えている人は多いですが、「そこには楽しさだけじゃなく、こういう問題があるんだよ」っていうのを誰かが投げておくのは大事かなと思ったんです。

 

阿部:なるほど……!

 

柿次郎:こういう風に自分なりにある程度の根拠に基づいて仮説を立て、同じような状況の人に3人ぐらいインタビューすれば、大体のことは記事になると思っています。小っちゃいネタ、「そうかもなぁ」ぐらいのものでもいいんです。とにかく日頃から仮説のストックを持っておくことですね。それが編集者としてのスキルアップにもなると考えています。

ただ、ネタによっては取材相手が読者から後ろ指をさされてしまうというか、ちょっと見え方として損をしてしまう場合もあるので、その辺りはよく配慮しておく必要があります。

 

視点7. 社会課題を抱えた「人物」の才能をフラットに伝える

柿次郎:いよいよラスト、7つ目です。

最後もちょっと難しい言い方になってるんですけど、以前「ブラインドライター」という、視覚に障害があって視野が極端に狭い分、聴覚とかがすごい発達しているという女性を取材したことがありました。

 

▲写真:ジモコロ ブラインドライター松田昌美は、なぜ「耳」だけで人生を切り開けたのか?

 

柿次郎:僕は基本、誰に対してもフラットに接しようとするタイプなんですね。松田さんに取材したときの印象は「音の捉え方がすごい!」で、そこを伝えたかった。新聞やテレビだと「視覚障害が原因で過去にこんなトラウマがあった」という切り取り方をしがちですが、僕はそういうのがあまり好きになれないんです。

だって単純にすごいんですよ。何かを失ったから何かが成長するって、必要性というか、やっぱり生物としてすごく重要じゃないですか。だから、これは本当に「才能としてすごい」っていう記事にしたんですが、けっこう好意的なほうの反応で話題になってくれました。

 

阿部:なるほど。

 

柿次郎:記事自体はブラインドライターとしてのいろんなエピソードも含め、とにかく素直でポジティブなメッセージを発信することを軸に作りました。松田さんは今、モデル活動とかネット番組に出演したりとか、ブラインドライター以外でもいろいろ活動していてすごく楽しそうです。

やっぱり取材側が適切に取り上げれば、適切な場所に上がれるというか、メディアの役割ってこういうところにあるんだというのを改めて思いました。

 

阿部:記事では、すごくいいなというその思いを、本当にフラットな視点で伝えられていますよね。

 

 

柿次郎:個人的に、フラットであるということは、これから先のメディアではすごく大事な視点になる気がしています。

あわせて、メディアに掲載されることで人の視線が集まりすぎると、取材対象者がそれに飲み込まれてしまうという危険もあります。だからこそ取材対象者に対する優しさみたいなものを同時に持っておかないと、絶対にダメだと思うんです。

 

阿部:特に今は、不倫報道をはじめ、「人の好奇の目」がコンテンツになりすぎてしまっている時代という印象です。

 

柿次郎:やっぱり人間の欲求や欲望というものは変わらないし、なくなりもしないと思います。ただ、そこを追いすぎるとメディアのブランドっていうもの自体が変わってしまうのかな、と。

また、逆にこういう時代だからこそ、そこの話題にあえて触れないジモコロのスタンスは、結果的にいいものになってるんじゃないかなとも思っています。それが「ジモコロらしさ」として評価されるようになると嬉しいですね。

 

阿部:以上が「7つの視点」ですね。すごく勉強になりました。

 

 

ジモコロ流・地元の取材における3つの編集術

 

編集術1. 現場での「直感」「取材力」でフリースタイルに編集する

 

柿次郎:企画を立てるうえでの「視点」に続いては、僕が地元取材の世界に飛び込んでからの3年間で学んだ「編集術」を紹介させていただきたいと思います。

 

阿部:よろしくお願いします。

 

柿次郎:まずは先ほどお話したように、現場で違和感を見つけたら直感に従ってちゃんと動くこと。そして、取材相手に対しては「この人、きっと次はこう言うだろうな」みたいに、会話の流れの予測を立てることですね。そういう多くの予測の中から話を引き出していくのが、『ジモコロ』的な取材力だと思っています。

というより、『ジモコロ』って取材自体は事前に準備しないんですよ。だから常にフリースタイルで勝負です。

 

阿部:準備をしないでいいと聞くと何だかラクそうな印象を受けますが、全然そんなことはなさそうですよね。現地に行く前の下調べや計画は、最低限のインプットにすぎないという意味でしょうか。

 

柿次郎:いや、そもそも準備のしようがない場合も多いんですよ。地元の人しか知らない「マッドサイエンティスト農家」とか「ヨガきこり」とかに対し、事前に質問項目を準備していくのは難しい(笑)。ほぼ毎回手ぶらで行ってるようなもんです。

もちろん、東京で大企業の社長にインタビューをするような場合はきちんと準備をします。情報が既にたくさんある相手なら、準備してから行ったほうが絶対にいい。

ただ、取材対象が現地で偶然出会ったような相手である場合は、何を聞くかっていうのはその場その場で考えるしかない。だから結果的にフリースタイル編集になるんですよ。

 

 

阿部:そういう編集力というか、フリースタイルのスキルなどは、普段どうやって磨けばいいのでしょうか?

 

柿次郎:僕はそういうスキルこそ、日々の飲み会で鍛えていくことができると思います。だって飲みながらの会話って、特にサシ飲みともなれば、インタビューをしているようなものじゃないですか。

 

阿部:そうですね。お互いの話を聞き合うというか、会話の応酬というか。

 

柿次郎:そういう「相手からの言葉の引き出し方」っていうのは、常日頃から鍛えられるものなので、とにかくいろんな人とどんどんコミュニケーションをとって鍛えていくのがいいと思います。

それを積み重ねていったうえで、「この人のこの話、もっと聞いたら面白くなるかもな」っていう取捨選択が瞬時にできるようになれば、フリースタイルでもだいぶ強くなるのではないでしょうか。

 

阿部:地元取材での「バトル」にも自信を持って挑めるわけですね。

 

▲柿次郎さんは以前個人ブログでサシ飲みの様子を定期的にアップしていた:柿次郎のHuuuuブログ

 

柿次郎:ただ、いわゆる“地元の名物おじさん”的な人は、自分の話したいことしか話さない場合が多いので注意が必要かもしれません。既に本人の中でトークの編集が完了してしまっているため、10人に話を聞かれたら10人に対して同じ話ができるというか、もう古典落語並みの完成度になってるんですよ。

 

阿部:しゃべりの間も含めて、全てが繰り返しになってる、と。

 

柿次郎:話としてはそれでも面白いかもしれないのですが、取材者としては質問でそれを崩さないとダメだと思っています。

だから僕がよくやるのは、「え? すごいっすね!」とあえて大きめにリアクションして間を作ってから、「で?」と次の質問を斜め上から投げつけるというような方法です。

 

阿部:いったん相手の話を受け止めつつも、ちょっと違う角度から刺激する、みたいな?

 

柿次郎:仕上がってる話に対しては「すごいっすね」と適当に相槌を入れつつ、いきなり「で、どんな女性が好きなんですか?」と全然関係ない質問をつなげる。

そうすると、相手は一瞬「お?」となるんですが、そういう引き出しはそういう引き出しとしてちゃんと持ってるから、新しいアンサーが生まれることが多いんです。

 

阿部:まさにフリースタイルバトル……!

 

柿次郎:相手の口から、普段と全然違う言葉がぽろっと出てくるからこそ、他のメディアとは違う切り口の記事が生み出せるのではないでしょうか。

こういう現場でのフリースタイル力こそが、ジモコロの最大の強みだと思っています。

 

編集術2. 無名の人を面白く見せるためのコピー(名言)を重視する

柿次郎:全く知らない人が主役の記事に関心を持ってもらうためには、やはり取材相手からどんな名言を引き出せるか、どういうインパクトのあるコピーをつけられるかが大事になると思います。

 

▲写真:ジモコロ わたしのパパはヨガきこり

 

柿次郎:例えばジモコロで反響が良かったこちらの記事。「わたしのパパはヨガきこり」というのは非常に面白いコピーですが、「長野に住むきこりの中野さんはヨガの達人だった」という事実をそのまま記事タイトルにしていたら、多分誰にも読まれない記事になっていたと思います。

 

阿部:たしかに。嘘とか大げさに言うとかではなく、スルーされないために、言葉や事象をどう言い換えるかで勝負する。まさにコピーワークですね。

 

柿次郎:あと、実はジモコロって、記事タイトルから「地名」を意識的に外してるケースもあるんですよ。

 

阿部:地元メディア、という打ち出し方であるだけに、少し意外な気がします。

 

柿次郎:というのもwebの情報っていうのは、一度読者から「他人事だ」と思われたら、もう読まれなくなってしまうものなんですね。例えば「山口県の○○」ってタイトルが目に入ってきた場合、山口に関係ある人でなければ普通は興味を持てないと思います。

だからより多くの人の興味を引きつけるためには、地名よりもコピーが大事になるんです。特に記事タイトルのような短い一文の中で、自分の思いを凝縮して伝えようとすると、引き算で言葉を考えないといけません。

 

 

柿次郎:さらに無名の地元のおじさんの取材記事ともなると、内容なんか誰も知らないことだらけ。だからこそ、読者から興味を持ってもらえるような名言を、相手から引き出す取材力が問われることになると思います。

あと面白いのは、人って「自分が名言を言った」と思った瞬間って、めちゃくちゃキラキラするんですよ。

 

阿部:「俺、言ってやったぜ!」感のあるドヤ顔ですね。

 

柿次郎:そうそう。だからその顔が出たら次の瞬間に「その言葉、めっちゃいいっすね!」と言って、相手の目の前で大きなリアクションをするんです。

そうすると相手は喜んでくれるし、あとで取材テープを文字起こしするときも「ここが名言か」ってわかりやすくなるんで、仕事がラクになります。

 

阿部:面白い。取材しながら編集ポイントまで意識を。

 

柿次郎:目の前でいくら素敵なことが起きていても、それをただ伝えただけでは、自分に関係ない話題である限りはなかなか読んでもらえません。目の前で起きている素敵なことを、どれだけ面白い言葉に変換できるか、面白そうだと思わせられるかどうか。ローカルであればあるほど、それが大事になると考えています。

ただ、なぜかこのコピーの部分をないがしろにする人がすごく多いんですよね。それは超もったいないなと思っています。

 

編集術3. Fact(ファクト)×Fantasy(ファンタジー)。広く届けるためには「FF」が必要

 

柿次郎:最後に紹介したいのが、ファクトとファンタジーの掛け合わせによる「FF」という概念。僕がつくった造語なんですが、今日はこの言葉だけでも持って帰ってほしいです。

 

阿部:絶対忘れられない強い言葉ですね。

 

柿次郎:まずファクトっていうのは「事実」なんですが、やっぱり数字的なことが一番読者に伝わりやすいと思います。

このファクトがタイトルに埋め込まれていないと、ただの世間話になっちゃうというか、事実としてのインパクトを与えることが難しくなるのではないでしょうか。例えば「大金で車を買った」より「借金を3000万円して買った」のほうが、絶対強い印象が残りますよね。

 

阿部:思い入れの強さのようなものが、全く違う伝わり方になります。

 

柿次郎:そしてファンタジーというのは、これまで何度も例で出してきたような「マッドサイエンティスト農家」や「クワガタ王」といった言葉が持つ、「何これ?」っていうちょっとした謎ですね。

 

阿部:数字という事実があるだけで人の反応は変わりますし、謎にはやっぱり興味を引かれます。

 

柿次郎:だからこそ、この事実と謎の2つを掛け算したものには、注目が集まると思うんですね。

事例として挙げたいのが、『年商2億!孫に5万円! 巻き寿司で町を変えた「カンピューターおばちゃん」』という記事タイトル。これぞFFです。

 

▲写真:ジモコロ 年商2億!孫に5万円! 巻き寿司で町を変えた「カンピューターおばちゃん」

 

阿部:全部入ってますね。完全にFFです。

 

柿次郎:まず年商2億っていうのがファクトですよね。兵庫県の多可町というところで巻きずしを作って大ヒットさせて地元の雇用まで生んでるという、めちゃくちゃ夢があるおばちゃんの話。

そこに「巻きずしで町を変えたカンピューターおばちゃん」というファンタジー性のあるコピーをつけてる。

 

阿部:これは本当に気になりますよね。「コンピューターおばあちゃん」という既存のコピーとも少しかかってるようにも思えますし。

 

柿次郎:ちなみに「カンピューター」っていう言葉は、取材中におばちゃん自身が実際に言ってる言葉だったんですね。僕個人の印象ですけど、関西の人ってやっぱりこういうコピー力が高い。これがもしタイトルが素直に「兵庫の地元で雇用を生んでるおばちゃんとは」みたいなやつだったら……

 

阿部:読まれなかったと思います。

 

柿次郎:そう。でもFFがあったおかげで、多くの人に読まれる記事になりました。

繰り返しになりますが、覚えておいてほしいのは、カンピューターだけではダメだったということ。僕はライターに対しても「数字のことをちゃんと聞くように」と指示をしているんですが、売り上げとかのファクトが抜けてると、ただの面白そうなおばちゃんの記事という印象で終わっちゃうので、間口が狭くなる。それは非常にもったいないと思います。

 

阿部:ファンタジーだけでも、ファクトだけでもダメ。たしかにwebで話題になるようなものは、大体こういう仕組みになっているのかもしれません。本当に勉強になりました。

 

ローカルをきちんと楽しむ力が鍛えられれば、きっと人生がもっと楽しくなる

 

阿部:ここまで7つの視点と3つの編集術についてじっくり教えていただいたわけですが、他にローカルの取材現場で特に注意されていることなどあればぜひ教えていただけないでしょうか。

 

柿次郎:みんなが陥りがちな罠として挙げられるのは、おじいちゃん・おばあちゃんって実はめちゃくちゃしゃべることですかね。相槌で「めっちゃいいっすね」とか入れると、気持ち良くなってもっともっとしゃべってくれる。

でもこれ、ほっといたら本当に3時間とか平気でしゃべってくれるので、取材後のテープ起こしとかが辛くなってしまい、記事が仕上がるのも遅くなってしまうんです。そうなると、鮮度みたいなものが失われて、ちょっと良くない記事になってしまう可能性が高くなるんですよ。

 

阿部:まさにローカル取材における負の連鎖。

 

柿次郎:だから、取材時間を1時間なら1時間と決め、時間がきたらシビアに切り上げてしまうようなことも時には必要になると思います。

 

阿部:いつまでも話に付き合うことが、必ずしも良い結果につながるとは限らないわけですね。

 

 

柿次郎:あと僕、さっきからおじさんの取材って楽しいものとしてしゃべってますけど、おじさんって最初は取材をめちゃくちゃ警戒する生き物なんですよ。

 

阿部:まぁ普通は取材の人とかと会わないですからね。

 

柿次郎:工場とかへ事前に許可取って取材に行っても、「お前は一体何者なんだ?」という現場のおじさんの警戒心はハンパないです。

でも、そういうときこそ業界の背景とかがきちんと話せるようになっておくと、「こいつわかってるな」となる。そうなった瞬間、おじさんってめっちゃいい顔になって、ちゃんとしゃべってくれるようになることが多いんです。心を開いたおじさんは、すごく優しい。

だから僕、今はテレビで『ガイアの夜明け』とかを毎週見るようにしています。雑誌も『東洋経済』とか『週刊ダイヤモンド』とか、ビジネス誌をちゃんと読むようにして、おじさん世界の情報を仕入れてるんです。「こいつ本当に興味あるんだな」と思ってもらうために。

 

阿部:ビジネスマンも同じですが、本当に大事なところですよね。ベースの部分の知識が共有できるかどうかで、相手からの信頼度は全く違うものになると思います。

 

柿次郎:そして仕上げの部分では、記事の文章を綺麗に整えすぎないことも技術の1つとしてあるかなと思います。

 

阿部:文章は整ってるほうが読みやすくて良い気がしますが……。

 

 

柿次郎:いや、例えば地方特有の強い方言とか、リアクションで出た変な言葉とかを、わざとそのままにしておくんです。

そういう違和感というかざらざらした感じがあるほうが、記事としては絶対面白くなると思います。

 

阿部:たしかに、そのほうがライブでの語りという感じがでますね。

 

柿次郎:ただ、それをやるためには、やっぱりその場で編集できる力っていうのがすごく大事になります。その力がないのにそれをやると、ただ散らかっただけの読みづらい記事になってしまうので。

 

阿部:そこの力を鍛えるためには、どうすればいいのでしょうか。

 

柿次郎:シンプルな話ですが、自分で何度も取材現場に足を運び、解像度を高め、面白がれる力をアップさせること。山の感じとか川の流れとか、いろんなものが見られるようになるしかないんじゃないかなと思います。

その究極形っていうのが、たぶんタモリさんだと思うんですよ。NHKの『ブラタモリ』があんなに面白いのは、関わるスタッフさん全員の視座が高く、その土地の文化や風土を楽しむ力を持っているからこそ。

逆にそういう視点や楽しむ能力を持てれば、多分ローカル以外のあらゆる仕事に応用もできるでしょうし、何よりも人生そのものが楽しくなるはずです。

 

 

阿部:人生を楽しくするために必要な、その土地を楽しむ能力、ですか。

 

柿次郎:東京にいるとなかなか鍛えづらい能力かもしれないので、まずは旅に出ることをおすすめします。見知らぬ土地に行き、目の前の新鮮な景色をどう楽しむかは、旅に出ないと鍛えられないと思います。

ただ、せっかく旅に出ても、ずっとスマホを見てたら東京にいるのと同じことになってしまいます。だから僕は2泊3日とかの取材旅行の間は、全然仕事が進まなくなるんですが、スマホをあんまり見ないようにしてるんです。

だって目の前の景色を大事にしないと、すごくもったいないじゃないですか。

 

阿部:旅先でずっとSNSに投稿してる場合じゃない、と。

 

柿次郎:自分の目から入ってくる情報を、ちゃんと面白がって、違和感を見つけて、そこに飛び込む。企画を考えるための原動力になるのって、結局はそこなんじゃないかって思ってます。

 

 

阿部:先ほどから柿次郎さんのお話を伺っていると、根底にはずっと「優しさ」のようなものがあると感じられるのですが、普段一緒に仕事をする後輩や若手に対してはどのような接し方をされているのでしょうか。

 

柿次郎:そうですね……。意識しているのは、縦でも横でもなく「斜め」という関係性です。

僕の場合、若手を引き上げるために普段からフリーの子に仕事をふることが多いのですが、そこではどうしても師匠と弟子みたいな関係にはなってしまいます。雇用主ではなく依頼主なので本来主従はないのですが、相手が言われたら嫌だというようなことは若手にもやってほしくないので、その辺についてはめちゃくちゃ厳しく言うようにしてます。

同時に、若手には成功体験を持たせてあげないといけないとも考えています。だからその材料として、バズりそうな企画のヒントはいつも与えるようにしつつ、油断させないためにも成功したらしたで「お前の成功じゃない」というのは言い続けないといけません。

 

阿部:厳しく接するとこは接しつつも、助けるべきところは助け、教えるべきところは教える……。まさに斜めの関係性です。

 

柿次郎:はい。僕たちの仕事で特に大事なのは「企画力」になるんですが、若手ほどやっぱり企画が弱いことが多い。そこを強くするための日々のインプットやものの見方についても教えてはいるのですが、成長のためにはやはり斜めの関係で、ある程度ストレスを与え続けないといけないのではないかと感じています。

野菜もストレスを与えないと育たないように、横の関係値ではないからこそできる接し方で、若手への還元というか成長のサポートをしていきたいですね。

自分の会社の社員だからとか、部下だからとかでなく、共同体の中で若手を大事に育てることこそ業界に対する恩返しになると思っていますし、それが人間社会で僕たちおじさんに求められている本来の役割だと考えていますので。

 

まとめ

 

阿部:最後にですが、柿次郎さんにとって「企画する」とはどういうことだと思われますか?

 

柿次郎:うーん。そもそも企画を考えられる編集・ライターじゃないと今は食えない時代ですからね。もちろん専門性の高い編集・ライターには仕事が集まってきますが、それが集まってくる状態になるためには、情報発信が必要です。その辺の設計までちゃんとやるのが、僕らの仕事における企画であり飯のタネと言えるのではないでしょうか。

だからこそ、自分の興味や情熱があるものに取り組むことが大切になると思います。企画を思いついたら楽しくなるような働き方ができていることが一番ですからね。

あとは自分がやりたいことと同時に、みんなから求められているものをちゃんと知ること。おじさん対策で『東洋経済』を読むのもそれですが、自分の好奇心とニーズが合致すれば、とにかく楽しく仕事ができるはずですよ。

 

阿部:楽しさを追いかけるというのは、とても大切ですよね。

 

柿次郎:やりたいことはいっぱいありますし、僕自身はとても欲張りなので、常に1石5鳥とかを狙いたいと思っています。編集者という仕事のいいところは、それが狙えるところ。面白がりながらいろんなことを実践していけば、それがまた企画になる。最高じゃないすか。

 

阿部:なるほど。本日は本当にありがとうございました!

 

 

 

以上、柿次郎さんによる地元の企画術のお話、いかがだったでしょうか。ポイントをまとめると以下のようになります。

 

 

今回のお話から、あなたはどんな学びや気づきが得られたでしょうか。あなた自身の日々の企画に活かし、人生を“ちょっと良い方向”へと変化させるヒントになったなら幸いです。

 

それでは、次回の企画の話もお楽しみに。

 

 

インタビュー:阿部広太郎 文:森川ヨシキ 撮影:秋葉康至 企画協力:企画でメシを食っていく(運営・BUKATSUDO)

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