静かなVHSビデオブームに、50円でビデオを売り続ける男は何を思うか

2017/10/28 11:31 ネタりかコンテンツ部

少し前までは家庭用ビデオ規格の主流だったVHSビデオ。2016年7月末の「全VHSビデオテープレコーダー生産終了」までに歩んだ40年という歴史においては、さまざまな名作が生み出されてきました。

そんなVHSビデオが今静かなブームとなっているとのこと。埼玉県内のVHSビデオ取扱店「オツラダ」さん(さいたま市南区太田窪1702-3)を訪ねました。

 

 

「オツラダ」さんで取り扱われている中古VHSビデオは、なんと全て1本50円(税込)という良心価格なのです。(※書籍セットBOXなどの一部例外アリ)

 

▲良心価格な上に割引制度もある

 

―この価格設定でビジネスになるのでしょうか?

店長:ならないよ(笑)。でも、まぁもともと捨てられるかもしれないものを好きな人に持っていってもらおうというものだから。VHSビデオは本来、産業廃棄物として捨てなきゃいけないんだけど、それってなんだか可哀想でしょ?

 

―それで今も経営を続けているんですね。

店長:そう。昔からVHSビデオが好きだったからこの店を始めたんだけど、もう3年以上経っちゃった(笑)。最初は店頭に「閉店セール」って掲げてたんだけど下げちゃったくらいで。今続けてるのはもはや“意地”みたいなもんだよね。

 

 

―お客さんにはどのような方が多いですか?

店長:2パターンあって、DVD化されていないレアなビデオを安く買って高く売りたいって人と、思い入れのある昔の懐かしい映像を自分で所蔵したいって人。うちは後者が多いかな。

マニアな人たちの間でうちの店の情報が流れたみたいで、大阪からわざわざ新幹線で買い付けに来る人もいるよ。この前も20本買って帰ったけど1,000円だった(笑)。

 

―レアビデオはどのようなものが人気ですか?

店長:ホラーとかカンフーものが人気だね。昔の格闘技やある女優さんの無名時代のアイドルビデオとか、マイナー映画や日本の古い特撮ビデオを見つけて買っていく人もいるよ。

でも最近の傾向は本当に分からないんだよ。「これは絶対に売れないだろう」って店頭に並べたものがすぐに売れたり。だからうちではメジャー映画が一番売れない(笑)。

 

―レアビデオの存在を把握しながらも全品50円でいいんですか?

店長:喜んで買っていってくれる人がいればそれでいいかな。50円で売ってはいるけど、しっかり映像のチェックもしてるし、テープの切れや酷いカビなんかは補修もしてる。レンタル落ちのビデオはパッケージも入れ替えてるから悪いものは売っていないという自負はあるよ。

 

―凄い“意地”ですね。在庫処分として始めたお店が続いているということは在庫が増えているということですか?

店長:そうなんだよね。無くなったら終わりって考えていたら、「うちのも扱ってくれ」って倒産したビデオ屋がどっさり持ってきてくれたりするようになっちゃって。今では店頭に出てる以外で倉庫に3,000本くらいあるかな。

 

▲店内にある懐かしビデオを購入

 

―現在、静かなVHSビデオブームですが、この現象をどうご覧になりますか?

店長:正直このブームもあと2~3年なんじゃないかと思ってる。状態のいい再生機の確保が問題になってくるだろうからね。VHSビデオは既に骨董品の領域に足を踏み入れている部分もあって、今後は扱いがますます難しくなってくるんじゃないかな。

 

―最後にVHSビデオファンに向けて一言ありましたら。

店長:50円で売ってるVHSビデオだけど、パッケージを買おうとすると60円するんです。なので、余っているパッケージがあればドンドン持ってきてください。パッケージが無くて倉庫から出せないVHSビデオがまだまだいっぱいあるので。

 

―ありがとうございました!

 

 

デジタル化されなかった映像ソフトに熱い視線が注がれる一方、取り巻く環境は大きく狭まりつつあるVHSビデオ。

今後も今の状態を守り続けるには、「オツラダ」の店長が言うように“意地”というものが必須になるのかもしれません。

 

(取材/文:ニポポ、編集:ドワンゴ)

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