シャンプーのときに顔に被されるアレについて| カツセマサヒコと月曜日の退屈(第十話)

2017/10/9 07:01 ネタりかコンテンツ部

「月曜日の憂うつな通勤電車とかでサクっと読めるような記事を書いて、その原稿料でダラダラと暮らしたい」という夢を持つライター・カツセマサヒコさんのエッセイ連載。疲れを残した週の始まりに、ゆるりとどうぞ。

(前回はこちら)

 

シャンプーのときに顔に被されるアレについて

 

美容院の話を前にも書いた気がするが、今回も、美容院の話である。

 

多くの人は、美容院に着くと“カウンセリング”という名の「どのような髪にするか相談会」をした後、シャンプー台に連れて行かれる。

シャンプー台に座ると、背もたれを倒されて、仰向けになる。そこで、空から薄布というか、厚手のテイッシュというか、何かそのようなモノを、フワっと顔に受ける。

 

この布が、今回の記事タイトルになっている「シャンプーのときに顔に被されるアレ」である。

 

 

分かる人にだけ、分かってもらえればいい。そのくらいのつもりで語弊を恐れずに書く。

 

あの薄布が、非常に憎いのは、私だけだろうか?

 

顔の上に布が載せられているのに、平然と話しかけてくるシャンプー担当のアシスタント。

 

「今日はお仕事、おやすみですか?」
「はひ、やふみでふ」

 

「はい、休みです」と言ったつもりが、布のせいでうまく喋れない。耳元ではシャワーがジャワジャワと音を立てているので、果たして向こうまで声が届いたかどうかも不明だ。

 

「お湯加減いかがですか?」

「はひひょうふです(大丈夫です)」

「かゆいところございませんか?」

「はひひょうふです(大丈夫です)」

「流し足りないところございませんか?」

「はひひょうふです(大丈夫です)」

 

口を大きく開こうものなら、布はそれに合わせてズレていき、目隠しのための薄布のハズが、鼻先くらいまで露わになってしまう。ズレた薄布から見えてしまったアシスタントと目が合うこと、羞恥の極み。

 

さらにそこから、唇をアウアウと器用に動かして、薄布を元のポジションに戻そうとすると、アシスタントは「はいはい」といった調子で、ささっとまた薄布を初期セットの位置に置く。

 

――なんなのだ。こっちがアウアウと密かに努力して直そうとしてるのに。

 

むしろ、それに気付けるということは、私が薄布を唇でアウアウしている事実は、アシスタントにもバレているのではないだろうか。

実は、アシスタントから見たら薄布はほぼ透けていて、なんのプライバシーも守られていないのではないか。だとしたら、あの薄布には、何の意味があると言うのだ。

 

そう考えると、今日も私は、あの薄布が怖くて憎くて仕方ないのである。

 

 

美容室という最上級なオシャレ空間において、あのシャンプーの薄布と、パーマもしくはカラー中の自分の姿というのは、人生でも稀に見るダサい姿だ。

そんなギャップは求めていないと思いながら、きっと来月も私は、アウアウとズレた薄布を直すのだろう。

 

 

(次のお話はこちら)

(前のお話はこちら)

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