黒板に字をうまく書くのって難しくない? 学校の先生に聞いた「板書」の3つのコツ

2017/10/5 19:01 ネタりかコンテンツ部

なんで先生って、黒板に字を書くのがうまいの? なんで先生って、黒板に字を書くのがうまいの?

 

小中高の学校生活の中で、黒板に字を書く、いわゆる「板書(ばんしょ)」をする機会があったかと思います。そんな板書をする際、みなさんはこう思ったのではないでしょうか?

 

「書きづれ~!」

 

というわけで今回は、

 

黒板ってなんであんなに書きづらいの?

どうやったら、うまく書けるの?

なぜ先生の字はキレイなの?

 

そんな疑問を解消するべく、現役の先生にいろいろ聞いてみたいと思います。

 

 

左は大原先生、右に見切れているのは田畑先生(顔出しNG)。どちらも中学校で教鞭をとる先生です。

 

 

板書は「教育実習で初めてぶつかる壁」

私「ズバリ、板書って大学で教わったんですよね?」

 

大原先生「教わってないですよ! 練習する人もいなかったですね」

 

私「いやいや、でも……ちょっとそこの黒板に書いてみてください」

 

 

ホラホラ!

 

 

ホラ~!!

 

私「めちゃくちゃうまい!! 絶対秘密があるはずなんですよ」

 

田畑先生「そういえば、私立学校の採用試験では板書があるところが多いですね」

 

私「それだ!」

 

田畑先生「あ、でも、板書というよりは模擬試験のために黒板を使用するだけで、字のうまさはそれほど関係ないはずです」

 

大原先生「そもそも大学で教わることは『どのように授業を構成するか』などの中身についてで、板書は教育実習で初めてぶつかる壁なんですよね」

 

田畑先生「そうそう。板書に関わらず、字がうまくなりたい人はドリルを買って勉強したりするみたい」

 

私「そうなんだ……ちょっと私や友人たちも黒板に書いてみるので、添削してみてもらっていいですか?」

 

二人「いいですよ!」

 

 

分かった! 板書のコツ

 

私と、同席していた友人二人で字を書きました。

 

 

その下に、先生のお手本を書いてもらいます。

 

 

「やっぱり違うなぁ」「力強いですよね」「まさに『海峡!』って感じ」

 

では、大原先生に添削してもらいましょう。

 

 

大原先生「これはハネが足りない……これはバランスが……」

 

 

一同「へぇ~!」

 

大原先生「コアさんが一番うまいですね。一字一字、丁寧に書けてる」

 

私「おぉ、ベトナム人のコアさんが。母語じゃないだけに、ゆっくり丁寧に書いているのがよかったのかな」

 

大原先生「うーん、待てよ……コアさん、もう一度書いてもらってもいいですか?」

 

コアさん「はい」

 

 

ビシッ、バシッ、と大原先生の指導が入る!

 

 

真ん中が指導後で、一番下が今まで通りの書き方で書いた文字。あれ……うまくなってない? うまくなってるよねコレ!? 「環」と「洋」がとくに!

 

大原先生「なるほど……コツ、分かったかもしれません!」

 

私「教えて教えて!」

 

 

大原式・板書攻略法!

【その1】鉛筆持ちはせず、指先でシッカリとつまむ!

 

【その2】手首から肘を固定し、黒板と腕の間に空間をつくる!

 

【その3】目線を字の位置に合わせる!

 

大原先生「ちょっとこれで書いてみてください」

 

全員「はい!」

 

 

私「あれ……」

 

 

私「うわっ、うまくなった……というか、板書っぽくなった!!

 

 

「おめでとう」「おめでとう」「おめでとう」

 

なんだこの状況、エヴァンゲリオンで見たことあるぞ。

 

これまでの書き方で書いた一番上の弱々しい字と、一番下の字を見比べてみてください。

 

 

かなり変わったと思いませんか? 例えるなら、スポーツに必要な足腰の強さが増したという印象。書けば書くほど安定して上達していく予感がする。

 

紙が黒板に、鉛筆がチョークになる分、力が必要になる。その力を入れるためのフォームの調整こそが、板書のコツだったようだ。

 

大原先生「普段は気に留めないけど、人の字を添削すると分かりますね」

 

私「さすがは先生」

 

 

上が大原先生、下が田畑先生の字。二人とも丁寧!

 

田畑先生の字は、丸みを帯びていて柔らかい印象がある。これ、性格が出そうだな。

 

フォーム以外のコツとしては、

 

「黒板上にマス目をイメージする」

「黒板を左と右でブロック分けして、全体を把握しやすくする」

「黒板消しで薄く横書きのラインをつくっておく」

「チョークの断面に常に角をつくって書きやすくしておく」

 

などがあるらしい。なんだかもう……職人の域だな!

 

 

ちなみにチョークホルダーもあるが、使う人は少数派とのこと。確かに、教えてもらった書き方ではかえって使いづらくなるかもしれない。

 

 

先生を悩ます「羽衣チョーク・ロス」

私「一字ずつキレイに書くコツは分かりましたが、何文字も書いていくうちに斜めになっちゃいませんか?」

 

大原先生「レイアウトですよね、それはこんな風にあらかじめノートにまとめてあるんですよ」

 

 

私「わっ、すごい!」

 

私「板書する内容も基本的にはこれと同じなんですか?」

 

大原先生「はい、授業のたびにブラッシュアップしたり、アドリブで変えたりはしますけど」

 

私「あ、そうか。生徒にとっては最初で最後かもしれないけど、先生は他のクラスで同じ授業をすることがありますもんね」

 

 

それでも字が上がる・下がるといったクセは先生によってあるそうで、各々の「ごまかし方」があるそうだ。写真は、「い」で下がったから、「う」で上げてごまかした例。

 

 

こちらが、大原先生が普段使っているチョークの数々。

 

私「1回の授業ですべて使うわけじゃないですよね? 基本は何色なんですか?」

 

大原先生「白、赤、青、黄……4色ですね」

 

 

私「チョークをたくさん使うのはどんなときですか?」

 

大原先生「私は社会科を担当しているので、地図の色塗りで必要になってくるんですよ」

 

私「あぁ! 納得です」

 

 

社会科は使う色が多い!

 

大原先生「実は2年ほど前に、チョーク関連で大変なことがあって……」

 

私「え、何?」

 

大原先生「羽衣(はごろも)チョークという製品が軽くて発色も一番良かったのですが、廃業してしまったんです」

 

私「あらー!」

 

田畑先生「最近は電子黒板も増えているので、その影響があるのかもしれません」

 

 

左が他社製品、右が羽衣チョーク。

 

 

実際に書き比べてみた。上が羽衣チョークで曲線が滑らか。下の他社製品は曲線が途中で引っかかり、途切れてしまっている! チョーク素人(?)の私でもはっきりと違いが分かった!

 

大原先生「教頭がプールしていた羽衣チョークをくれたので、当分は大丈夫ですが……」

 

私「悲しい話題だけど……教頭先生、何気に英雄ですね!!

 

そのほか、日々触れるチョークにまつわる悩みは多く、授業のたびにチョークの粉で手がパサパサになるので、授業後、先生専用の洗面所には手を洗う先生たちの行列ができるらしい。

 

 

先生にとって「いい授業」とは?

私「ダメな板書ってありますか?」

 

大原先生「字がうまく書けないからって何度も消すのはダメですね」

 

田畑先生「あれね、良くないよね」

 

私「え、なんで?」

 

大原先生「書き直されると、生徒の集中力が切れるから。授業の本質は字の良し悪し以前に教えることですから」

 

田畑先生「『渋滞』させちゃいけないんです

 

私「はー。意味は分かるけど、『渋滞』って言葉がさらりと出てくることがおもしろい。もはや業界用語ですな」

 

大原先生「生徒にも目や耳で得られる情報量や速度に差があるので、全体の状況を見ながら進行しないといけません」

 

田畑先生「授業は真剣勝負ですからね」

 

 

【先生あるある1】手頃な空き缶をチョーク入れにする。これはもともとキャンディーケース。

 

 

私「では、お二人にとって『いい授業』とはどのようなものですか?」

 

大原先生「聞く時間と書く時間のバランスが取れていて、メリハリがある授業だと思います! 例えば、『今は書く時間だよー』と伝えるために、あえて同じ語句を復唱したりする。あと、うまい先生はやはり生徒を飽きさせないと思います。授業を進行させる構成がうまいのはもちろん、おもしろい小話をたくさんして、それが学ぶ内容に収束していく」

 

田畑先生「逆におもしろくても授業に関係のない話ばかりだと、生徒が『この先生の授業は息抜きだ』と聞かなくなりますね」

 

私「確かにそれは、真剣勝負だ……」

 

 

【先生あるある2】チョークで手が荒れるのでハンドクリームは常備。

 

 

全国の小中高生のみなさんは、お試しあれ!

いかがでしたでしょうか!

 

板書にはやはりコツがありました。教育関係者の方にとっては常識だったかもしれませんが、そうでない方にとっては意外な事実だったのではないでしょうか。

 

学生のときにまるでうまく書けなかった板書が、教えてもらったコツにならって書いたら、急に自分の字ではないような力強さが生まれてかなり驚きました。ただ、肘から手首まで常に浮かせることになるので結構疲れます。先生は大変だ……。

 

もしこの記事を小中高生が読んでいたら、ぜひ学校で試してみてください!

 

ネルソン水嶋+有限会社ノオト

ベトナム在住のライター。現地のマニアックな魅力を伝えるウェブマガジン「べとまる」(外部サイト)で活動中。そのほか、ガイドブックやイベントなども企画。

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