ラップの伝道師・晋平太が主催するワークショップでオリジナルの「社歌ラップ」を作った

2017/8/29 19:01 ネタりかコンテンツ部

フリースタイル(即興)によるラップでバトルを行うテレビ番組が人気を集めるなど、世間では今ヒップホップブームが起こっています。

 

そんな中、皆さんはヒップホップやラップに対してどんなイメージを持っていますか。「怖そうなお兄さんたちがやってそう」「スクールカーストの上位層が聞いてそう」など、ブームとはいえ自分には関係ない世界だと思っている人も多いのでは。

 

でも、そんなことはないんです。特にラップは、やろうと思えば誰でもすぐにできるし、やってみると意外と面白いもの。そして、歌詞(リリック)を考える過程は、物事や自分自身の本質を深く見つめ直す作業にもなるのです。

 

 

というわけで今回は、先日ヤフー株式会社にて開催された「自分たちの仕事をラップで表現する『社歌ラップ』を作ろう」というワークショップの様子をお伝えしたいと思います。

 

(▲ワークショップのダイジェスト動画はこちら)

 

講師を務めるのは、ラッパー・晋平太さん。テレビ番組『フリースタイルダンジョン』の全ステージクリア達成などでも話題の実力派が、あえて「皆で社歌ラップを作ろう」的なワークショップを開催する理由とは……?

 

 

セミナー講師:晋平太

1983年生まれ、東京都出身のヒップホップ・アーティスト。ドリーミュージック所属。MCバトルの大会に数多く出場し、2005年にB-BOY PARK MC BATTLEで優勝。2010年と2011年には、ULTIMATE MC BATTLE(UMB)の全国大会で史上初の2連覇。先日『フリースタイルダンジョン』(テレビ朝日)にて初の全ステージクリアを達成。また、全国各地でラップのワークショップを開催するなど、日本語ラップの普及活動を行っている。

 

社員自らが作る“社歌ラップ”

 

プロのアーティストが作った社歌ラップが話題になることもありますが、晋平太さんの考える社歌ラップは少し違います。

大事なのは、クオリティがどうとか、ネットでバズるとか、社歌ラップ自体の完成度ではありません。社員が、自分たち自身の言葉でラップを作ること。その過程で、自分の会社やサービスに関して「良いところ」「悪いところ」「あるべき姿」などを見つめ直すことが重要なのだと語ります。

 

なお、今回のワークショップの参加者は、全員が「ヤフオク!」というサービスを担当している社員。日頃一緒に仕事をしている皆でわいわいと「ヤフオク!」のオリジナルラップを作ってもらいました。

 

ヤフオク!

 

ヤフオク!とは……

ヤフー株式会社が運営する、日本最大のオークション、フリマサイト。個人が簡単にモノを売り買いできる。月間約1,600万人の方が利用しており、約4万カテゴリに常時5,000万点の商品を取り扱っている圧倒的NO.1サービス。

 

マイナスイメージから始まったラップセミナー

当日集められたのは、20代〜50代の営業・企画・デザイナー・エンジニアなど12名。年齢・職種ともバラバラで、ほぼ全員がラップに興味がない人たちです。(※今回は、会社のワークショップだから、という理由で参加)

 

 

「ラップのイメージは?」という質問に対しては、「不良」「無職」「嫌い」など、プロのラッパーの目の前で辛辣なコメントが次々と。

「まぁ普通の会社員の方から見れば、そうなりますよね……。でも、マイナスから入ったほうが、後で絶対プラスになるので!」と、晋平太さんは若干引きながら?も、笑顔でワークショップスタートです。

 

 

「ラップを作る上でポイントになるのはなんだと思いますか?」という質問には「韻を踏むこと」という声が多数あがりました。特にラップに興味のない人たちにも「韻を踏む」という言葉は浸透しているようですね。

では、韻を踏むにはどうすればいいのか? 基本的には「響きの似た言葉」を探せばいいのです。

 

 

晋平太さん「『ヤフー』で韻を踏む場合、どんな言葉がありますか?」

男性社員A「社風」

女性社員B「タブー」

男性社員C「シャンプー」

男性社員D「カンフー」

 

親父ギャグが好きな世代の参加者が多いせいか、次々と言葉が出てきます。

 

ラップとは自分の言い分

 

とはいえ「韻を踏む」だけでは、ラップにはなりません。

晋平太さん曰く「ラップ=自分の言い分」であることが大切なのだそうです。

そもそもラップとは、かつてニューヨークに住まう貧困層が世間に対し自己主張する術を持っていなかった時代、「自分が何者であるか」を伝えるために生まれたものだったとか。

 

というわけで、ヤフオク!のラップを作る前に、まずは自分の言い分をラップで表現できるようになるべく「自己紹介」をラップでやってみることになりました。

 

履歴書のストリート版、それが自己紹介ラップ

自己紹介をラップでやるために、特別なことは必要ありません。単純に履歴書に書くようなことをストリート風にアレンジすればいいとのこと。

 

 

具体的には「名前」「出身」「趣味」「特技」など、いつも言ったり書いたりしているような内容です。そして最後に「これから自分がしたいこと」。つまり「夢」を書きます。

これらの項目でうまく韻を踏みながら、「自分の言い分」になっていれば、自己紹介のラップが完成です。

 

 

なお、自分の名前は「MC○○」と必ずラッパーネームを用いることがルール。名乗るだけで、だいぶ気分が変わります。

 

 

勤務中と同じぐらい真剣な様子の参加者たち。

 

 

会場を回りながら、丁寧にアドバイスをしていく晋平太さん。その様子は、ラッパーというより完全にセミナー講師という印象です。

 

 

特に印象に残ったアドバイスは、「文章の最後に単語を持ってくると、次の文章へとつなげやすくなる」というもの。

例えば「趣味は江ノ島のハマでサーフィンすることだぜ」と書いていた社員は、「趣味はサーフィン、江ノ島のハマ。いつかは行きたいワイキキのハマ」と、“ハマ”という単語で文章を止めることで、趣味から夢を語る良い歌詞に書き換えることができました。

 

 

ラップに全く興味がなかったはずの参加者たちもコツをつかみ、ラップを書き進めていきます。

 

自己紹介ラップは一度聞いただけで相手を覚えられる

一通り書き終えたところで、まずはお手本として「MC晋平太」が自己紹介ラップを披露。

 

 

——–
俺の名前は晋平太 ラップは俺の人生だ
新宿生まれ 狭山市育ち 20年以上マイクが友達
会社に行くのはめんどっちい
今じゃラップの伝道師 日本にラッパーを増やしたい
一緒にしようぜ フリースタイル
——–

さすがの完成度です。

 

 

続いて参加者たちも、不慣れなラップに戸惑いつつも、全員が自分の考えた「自己紹介ラップ」を披露していきます。

 

 

また、いくらワークショップとはいえ、「知り合い相手にラップで自己紹介をする」というのは、やはり恥ずかしいもの。だからこそ、「Put your hands up!」とビート(音楽)にのって一体感を出すなど、皆で発表しやすい空気を作ることも大切になります。

 

 

「普通に自己紹介をされても、すぐに相手のことは忘れてしまう。でも、ラップで聞くと忘れられなくなる。例えば彼の『鈴鹿市出身。田舎の暮らしはいとおかし』っていう歌詞は、一度聞いたら『あ、鈴鹿市出身の人だ』というのは覚えてしまう」と晋平太さん。

単に出身地や趣味を紹介するだけでも、ラップでやれば「人となり」が自然と現れてしまうもの。合コンやパーティで披露してみるのもいいかもしれませんよ。

 

 

【自己紹介ラップをやってみた社員の感想】

・最近、『プレバト!!』(TBS系列)の俳句ランキングをよく見るのですが、非常に通じるところがあって面白かったです(50代男性)

・参加者全員が終わる頃にはラップに対するイメージが良い方に変わっていて、社員同士も仲良くなった気がします(20代女性)

・ストーリー性と韻の両立が難しかった(30代男性)

・頭使うけど、楽しい!(40代男性)

 

自己紹介ラップで参加者たちの仲も深まり、ラップがどういうものかも理解できたところで、本題である「ヤフオク!」のラップ作りに挑戦です。

 

ヤフオク!の魅力が伝わるラップ作りへ

 

まずは自己紹介の時と同様に、「名前」を名乗ります。複数人なので「We are ヤフオク!」。これが入り口です。

次に「ヤフオク!」という単語の韻にあったワードを考えていきます。 自己紹介ラップの制作でラップ脳になっているおかげか、「ワクワク」「ゾクゾク」「満足」というワードが次々と繰り出されます。

 

 

そして、それらの単語に、「ヤフオク!」のサービスに紐づく動詞が組み合わせられることで、一気に歌詞っぽくなっていきます。

男性社員A「『売るのワクワク』」

女性社員B「『買うのゾクゾク』……?」

男性社員C「『みんな満足』!」

 

 

晋平太さん「じゃあ、ヤフオク!で一番伝えたいことは何?」

女性社員D「日本一の商品数!」

 

ラップは韻を踏むだけでは意味がありません。“伝えたいこと”があって初めて成立するもの。ヤフオク!では「日本一の商品数」を社歌ラップのコアにすることにしました。

 

 

晋平太さん「でもなー……。日本一の商品数を『なんでもある』って言っちゃうと、隕石とかあるの?ってなっちゃうよね」

男性社員E「隕石、ありますよ。本当にだいたいのものは出品されるんですよ」

晋平太さん「え、あるの!? じゃあなんでもあるって言っても嘘じゃないんだ!」

 

晋平太さんの何気ない一言が、偶然サービスの本質を突きました。これも皆でラップを考えることの醍醐味の一つ。今度は「隕石から韻を派生させてみよう」と、次の新しい言葉を皆で言い合います。

 

 

「隕石」→「宝石」→「運命のものと出会う奇跡」 そして「いらないものが売れるって素敵」→「出品せずにそれ捨てる気?」

と、まさにヤフオク!にぴったりの韻が踏まれていきます。

 

 

男性社員F「これらのフレーズをまとめると、資源を“リユース”するってことになりますね」

晋平太さん「いいですね。リユース! この単語を使いましょう。『○○○でリユース』という形で文が終わるように考えてみましょう」

穴埋め方式で、完成に向けてのヒントを出していく晋平太さん。

 

 

女性社員G「リユースは、つながるもの……」

晋平太さん「いらないものを売る人と、それを買う人。ヤフオク!というサービスって、人と人をつないでるんですよね。『人と人をつなぐリユース』っていうのはいけそう」

男性社員A「リユース……。っす。リユウっす。『人と人をつなぐリユース。これがヤフオク!のある理由っす』!」

全員「お〜〜!」

 

ついに締めのフレーズが決まりました。

このワークショップのポイントになるのは、晋平太さんはラップの方向を示唆しつつも、基本的には社員たちが自分たち自身の言葉で歌詞を完成させたこと。「晋平太さん(プロ)が歌詞を書いたわけではない」からこそ、参加者たちも「これがヤフオク!のラップだ!」と愛着を持てるようになるのです。

 

 

というわけで、素人たちがほんの20分で作ったとは思えない作品がこちら。生まれたてのラップをビートに合わせ、老若男女関係なく全員で歌いました。

 

 

【社員の感想】

・サービスについて振り返りの場になった(30代女性)

・発言が他者を介して派生して最高の歌詞が生まれるプロセスを目の当たりにして、企画立案に通じるものがあるなと感じました(40代男性)

・言葉に起こすと、自分たちのサービスに愛着が湧く感覚がありました(20代女性)

・少ない文章で、端的に伝えるようにするというのは、サービスづくりでも大事な要素だなと思いました(30代男性)

 

おわりに

 

当初は、著名なラッパーに来てもらいながら「ラップは嫌いなんで」と言い放つ社員たちにヒップホップ魂を感じて震えていましたが、最後は皆すっかりラップの魅力にハマった様子。

結果として社歌ラップが完成したこと自体よりも、自分たち自身や「ヤフオク!」というサービスに真摯に向き合う時間を皆で持てたことが、最大の収穫だったのではないでしょうか。

 

 

頭をフル回転させて己の語彙力をひねり出すラップはとっても知的な言葉遊び。

頭の体操にも、自身やサービスの振り返りにも、そして社員間の交流促進にもなるという、まさに一石三鳥の“社歌ラップ”作り。ホワイトボードとペンがあればすぐにできるので、みなさんの会社でも取り入れてみてはいかがでしょうか。

セミナーの様子を動画で公開していますので、こちらもよろしければ参考に。それでは!

 

 

「社歌ラップ」に興味を持たれた企業の担当者の方へ

今回紹介した記事のように、晋平太さんを講師とした「社歌ラップ」のワークショップを開催したいという方は、以下よりお問い合わせください。

■ドリーミュージックアーティストマネージメント

TEL:03-6452-8233

*お問い合わせの際は、「ネタりかの記事を読んで」とお伝えください。(筆者がとても喜びます)

 

おまけ

ヤフオク!ラップの歌詞全文

 

講師:晋平太(株式会社ドリーミュージック) 文:高松さおり 写真:小堀訓  動画:株式会社バルデラマ 企画協力:ヤフオク!

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