アラスカの離島遠征、ヘリのチャーター。陣取りゲーム「Ingress」の作戦実行が想像の斜め上だった

2017/8/7 19:01 ネタりかコンテンツ部

スマホアプリ「Ingress(イングレス)」

世界中でヒットしているゲームですし、実際にプレイされたことがある方も多いでしょう。

細かいルールに踏みこむと専門用語が飛びかって、未プレイの人には複雑で分かりづらいと思いますので、あえてざっくり説明しましょう。

 

要は、スマホを使った陣取りゲームです。

プレイヤーは緑チームか青チームのどちらかに属し、「ポータル」と呼ばれる拠点を奪いあい、それぞれの縄張りを増やしていきます。

奪ったポータルを3つ結んで「コントロールフィールド」と呼ばれる三角形を作ります。これが縄張りになるわけです。

 

 

基本的にはこれだけ。

とてもシンプルなゲームですが、現実世界をリアルに動き回る必要があるだけに、サービス開始から3年を経過して想像を絶するようなエピソードが生まれています。

 

Ingressのヘビープレイヤ―の知人から聞いただけでも

・ヘリコプターをチャーターして、上空からポータルを奪う猛者がいる

・自陣営に勧誘するために路面電車に広告を出した人がいる

・巨大なコントロールフィールド(縄張りの三角形)を作るため、アラスカの離島に飛んだ人がいる

などなど、スケールが大きすぎるエピソードだらけです。

 

今回はこの手のエピソードに詳しい「Ingress速報」(外部サイト)管理人のなかぴさんに話を伺ってまいりました。

 

 

焼き鳥屋でお話ししたのですが、七味と湯のみを使ってコントロールフィールドを作る仕組みを教えてくれました。

 

アメリカ、中国、北海道を縦横無人に飛び回る!

ーー Ingressをはじめたのはいつ頃でしょうか

大学生の頃からやりはじめたので3~4年ぐらい経ちます。

伊集院光のラジオで紹介されてて「楽しそうだな」と思ってはじめました。

 

ーー Ingress仲間もいるんでしょうか

僕、仲間いないんですよ。誰かと一緒にやったことないので、いつも物陰でコソコソしてます。

Ingressはコミュニケーションが大切なゲームで、運営会社としても仲間を作って欲しくてやってるようです。

でも僕の場合、Ingress速報をやってるのでエージェント名がバレるといろいろやりづらくなるんですね。

 

陣営がどっちか分かっちゃうと、僕の気持ちとは関係ないところで「あいつは緑だから青だから、そっちの肩入れしているぞ!」ってなりうるので。

当然自分もメディアの中立性を保ってフラットな運営をするために、仲間を作りませんでした。

 

ーー なかぴさんもだいぶストイックですね

仲の良い人ができると自分の陣営が好きになっちゃいますから。

昔は緑についての記事が何%、青の記事が何%と意識して交互に流してました。

 

 

ーー いろんなエピソードや作戦を掲載していますが、とくに印象に残ってるものはありますか

いまとなっては何度もありますけど、初期の頃に日本が沈められたときは目が離せませんでしたね。

Ingressを立ちあげたら一面、緑色になってるんです。縮尺を変えてもずっと緑。日本中が緑に包みこまれていたわけです。

地元の小さな三角形(コントロールフィールド)なら壊しに行けますけど、このときは日本中のほとんどの場所の人にとって、何もできないスケールだったんです。

中国山東省・青島~北海道・襟裳岬~アメリカ・グアム島を結んで、超巨大な三角形が出来てました。

 

▲青は山口県・下関~福岡県・宗像~中国・上海を結んで妨害する(イメージ画像)

三角形の直線状にラインがあると結べないので、どこの3点で三角形にしようとしてるのか敵陣の青チームは予測しながら妨害ラインを結びます。

そこで山口県・下関~福岡県・宗像~中国・上海で妨害のための三角形を作りました。

 

ーー ちょっと、ちょっと! 出てくる地名がワールドワイド過ぎます!

この日に向けて、ひそかに作戦が進行してたんです。

当初、南の1点は八丈島だと思われていたんです。

が、実はそれもフェイクだったんですね。本筋はさらに南、グアムだったわけです。

緑チームの現地勢が福岡県・宗像のポータルを奪って妨害リンクを切って、グアム~青島~襟裳が結ばれ、日本が緑に沈みました。

 

ーー Ingressってそんな規模感のゲームだったのか……。相手チームに作戦がバレたらまずいですよね。どうやって連絡を取りあってるんですか?

チャットツールのSlack(スラック)やGoogleハングアウトなどで、敵チームに見られないようやりとりするチームが多いようです。

エリアごとやプロジェクトごとにチームが組まれていて、大きなプロジェクトでは複数のチームが手を組みこともあります。

 

どこでリンクを結ぼうとしてるのかも重要ですけど、どこに何人配置してるかという情報も重要です。

ポータルを奪う際に壊す側と守る側でやりあいます。ボタンを連打するので、味方の人数が手薄なところに大人数を配置されちゃうと負けちゃいますから。

 

ーー 陣地を取っても、いずれまた奪い返されますよね。そこまで執念を燃やす人たち、すごいですね

私も「こんなとんでもないバカなことやってる! スゴイ! おもしれー!」と感激しまして、歴史の記録のつもりでIngress速報をはじめたんです。

実際にプレイするよりもIngressまわりのトピックが面白くて好きなんです。

 

赤坂の迎賓館(当時)や皇居は決まったときしか一般人は入れないんですけど、外からでは届かないポータルがあるんですね。だから、開放日はIngressプレイヤーもたくさん向かいます。一度、取ってしまえば次の開放日までしばらく安泰ですから。

でも、さらに斜め上を行く人は「空からなら大丈夫だろう」とヘリをチャーターして、普段は手を出せないポータルを上空から攻めるんです。

 

ーー ヘリを使うなんて!

アメリカとか海外だとけっこうヘリ使う人いるんですよ。

あとは年1回しか一般公開されないお寺の本堂とか、週1回しか渡し船が出ない離島とか行く人もいますね。

それを見ているエージェントのみんなも「最高に狂ってんな~」と楽しんでるわけです。

 

ーー いや~、最高に熱い! 人の行動を変えますね

ほんとに変わります。

「発言小町(インターネットの掲示板サイト)」でとある浮気相談の掲示板が立ったんですね。

概要としては「ここ最近、旦那がよなよなスマホ片手に散歩に出かけて、何時間も帰ってこない。もともとそんなに外を歩き回る人じゃなかったのにおかしい。浮気をしてるんじゃないか」という感じです。

ほとんどのコメントが浮気を疑うものだったんですけど、そのなかで1人「もしかして旦那さんはIngressをやられていませんか? 聞いてみてはいかがでしょう」と書いてる人がいまして。

実際、奥さんがたずねてみたら、案の定Ingressにハマってたそうなんです。

 

ーー そりゃあ知らなければ浮気疑いますね

Ingressがバレたあとで「君もやらないか」って自陣に奥さんを勧誘したそうですよ。

 

ーー プレイヤーの鏡! お話しを聞いてたら面白そうなのでやってみたいですけど、あまりにスケールがデカすぎてビビっちゃいますね

1人でやっても楽しめますよ。

リンクを結ぶときは、ポータルの「鍵」が必要なんです。

有名な観光地はたいていポータルになってますから、たとえばエッフェル塔とかの鍵とか持っていると「こんなところに行ったんだ」って記念になります。

三角形を作らないまでも、あちこちの鍵をコレクションすると旅が楽しくなりますね。

 

 

◎文:松澤茂信(Twitter)観光会社「別視点」の代表。「東京別視点ガイド」(外部サイト)を書いてます。

◎写真:齋藤洋平(Instagram)観光会社「別視点」(外部サイト)の副代表。観光カメラマン。

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